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それぞれの未来に

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ヴォルフ様が私の肩に触れて、微笑まれました。
ヴォルフ様は全て知っていますから、皆に驚かれ同情されそうな雰囲気を察して、私に寄り添っていてくれようとしています。
私は肩に乗ったヴォルフ様の手に自分の手を重ね。
大丈夫と伝えます。

「殿下、昔の私は周りの意思に流されてばかりでした、でも学校に入り同世代の人達が楽しそうに各々のやりたい事見つけ青春を謳歌している様を見せられて、自分がとても愚かで情けない人間に思えたのです。
ちゃんと自分の考えを持ち自分のためにも幸せになろう、なっていいんだって気がついたんです。
私は自分を嫌いにならない為に変わったのです」

「そうか… 私も変わらないとな」
ライアン殿下は、卒業後、アンヌリーブ様の故郷であるファンブールへ副大使として赴く事になったらしい。
アンヌリーブ様と結婚後、隣国に籍を置くための布石だと思います。

そんなこれからの自分の未来に思う所があるようです。

「ライアン殿下、今までこんな不器用で至らない婚約者だった私とお付き合い頂きありがとうございます。
これからはお互い新しい婚約者と上手くいくように、頑張りましょう」

「ああ、今度こそ、お互い幸せになろう」

そう言って笑いあいました。

私とヴォルフ様はその場を後にして、会場ではなく中庭へ足を向けました。

「アンジェ、良かったな
ライアン殿下と話が出来て」

「はい、最後の誤解も解けたようです」

「きっと殿下もファンブールで王女と頑張っていくだろう。
アンジェの話を聞いて、改めて決意をしたようだった」

「ええ、アンヌの為にしっかりしてもらわないといけませんからね」

「私も、君に寂しい思いをさせないように頑張るよ」

「そんなこと…
今日だってちゃんとあの場にいて私を支えてくれていたんですから」

会えなくて寂しく思ってしまった事もあったけど、やっぱりヴォルフ様は私に心を寄せてくれている事がわかるし、私達がちゃんと通じ合えているから耐えられる。
改めてそう思えた。



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