上 下
57 / 285

ヒロインの行動

しおりを挟む
「ねぇ、アンジェ
ユーリアって転入生の話知っている?」
ランチをしている時にエミリーに聞かれた。

「隣のクラスの転入生でしょ? どうかした?」

「なんかね、アンジェの事を聞き回っているみたいなのよ」
エミリーが眉根をよせて言う

「侯爵令嬢であるアンジェの事を聞き回っているの?
男爵令嬢が?」
クラリッサの声が一段低くなる。
彼女は同じ侯爵家の令嬢だ。

この国の中でも公爵、侯爵は合わせて10数家あるかないかの高位貴族。王家からも貴族のお手本になるべく、行動にはくれぐれも気を配るように…と言われている。

そのため上にいけば、いくほど子息令嬢の立ち居振舞いに関しては厳しい。
目上の人や、位の高い貴族に対しての対応は特にうるさく言われている

うちの両親はそこまでうるさい方ではなかったが、子供の頃はその分侍従長や侍女頭にはよく怒られていたらしいアンジェリーナ。

そしてバートン侯爵家で厳しくしつけられたクラリッサは特に無礼な振る舞いやだらしない態度に関しては他人に対しても厳しい目を向けていた。

クラリッサだけではなく、伯爵家の2人にしてもそれは同じらしく、遺憾だと顔にかいてある

逆にそんな3人を見て、私は嬉しくなって顔が緩む。

「アンジェ、笑い事ではないわよ?」
キャロルに言われたが

「ごめんなさい、だって3人が私の為に怒ってくれているから、嬉しくって」

「もう、話が逸れてしまいましたわよ」
ちょっと照れたクラリッサがわざと怒るように言う

「みんなありがとう でも、まだ直接何かされた訳ではないし、聞き回られたくらいで文句を言いに行くのも余裕なく見られるでしょ?」

「それは確かにそうね」
エミリーが、同意してくれます。

クラリッサはまだ憤慨していますが、何とか宥めその場は終わりました。


放課後、セルビ様がやって来て
ユーリア嬢が接触してきたと言われました。

なんでも、3年生のクラス棟に現れて、目立った挙げ句わざわざセルビ様に声をかけてきたそう
「たまたま殿下は先生に呼ばれていて、私1人でいたのだ。
周りにいくらも人がいるのに、私の所まで近づいてきて、道に迷ったと泣きながら、訴えてきたよ」

「あらあら、随分と強引な手ですわね」

私の事といい、どうやら本格的に行動を、起こし出したようです。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

立派な王太子妃~妃の幸せは誰が考えるのか~

矢野りと
恋愛
ある日王太子妃は夫である王太子の不貞の現場を目撃してしまう。愛している夫の裏切りに傷つきながらも、やり直したいと周りに助言を求めるが‥‥。 隠れて不貞を続ける夫を見続けていくうちに壊れていく妻。 周りが気づいた時は何もかも手遅れだった…。 ※設定はゆるいです。

両親からも婚約者からも愛されません

ララ
恋愛
妹が生まれたことで、私の生活は一変した。 両親からの愛を妹が独り占めをして、私はすっかり蚊帳の外となった。 そんな生活に終わりを告げるように婚約が決まるが……

完結 そんなにその方が大切ならば身を引きます、さようなら。

音爽(ネソウ)
恋愛
相思相愛で結ばれたクリステルとジョルジュ。 だが、新婚初夜は泥酔してお預けに、その後も余所余所しい態度で一向に寝室に現れない。不審に思った彼女は眠れない日々を送る。 そして、ある晩に玄関ドアが開く音に気が付いた。使われていない離れに彼は通っていたのだ。 そこには匿われていた美少年が棲んでいて……

夫の不貞現場を目撃してしまいました

秋月乃衣
恋愛
伯爵夫人ミレーユは、夫との間に子供が授からないまま、閨を共にしなくなって一年。 何故か夫から閨を拒否されてしまっているが、理由が分からない。 そんな時に夜会中の庭園で、夫と未亡人のマデリーンが、情事に耽っている場面を目撃してしまう。 なろう様でも掲載しております。

婚約相手と一緒についてきた幼馴染が、我が物顔で人の屋敷で暮らし、勝手に婚約破棄を告げてきた件について

キョウキョウ
恋愛
 カナリニッジ侯爵家の一人娘であるシャロットは、爵位を受け継いで女当主になる予定だった。  他貴族から一目置かれるための権威を得るために、彼女は若いうちから領主の仕事に励んでいた。  跡継ぎを産むため、ライトナム侯爵家の三男であるデーヴィスという男を婿に迎えることに。まだ婚約中だけど、一緒の屋敷で暮らすことになった。  そしてなぜか、彼の幼馴染であるローレインという女が一緒についてきて、屋敷で暮らし始める。  少し気になったシャロットだが、特に何も言わずに受け入れた。デーヴィスの相手をしてくれて、子作りを邪魔しないのであれば別に構わないと思ったから。  それからしばらく時が過ぎた、ある日のこと。  ローレインが急に、シャロットが仕事している部屋に突撃してきた。  ただの幼馴染でしかないはずのローレインが、なぜかシャロットに婚約破棄を告げるのであった。 ※本作品は、少し前に連載していた試作の完成版です。大まかな展開や設定は、ほぼ変わりません。加筆修正して、完成版として連載します。 ※カクヨムにも掲載中の作品です。

家庭の事情で歪んだ悪役令嬢に転生しましたが、溺愛されすぎて歪むはずがありません。

木山楽斗
恋愛
公爵令嬢であるエルミナ・サディードは、両親や兄弟から虐げられて育ってきた。 その結果、彼女の性格は最悪なものとなり、主人公であるメリーナを虐め抜くような悪役令嬢となったのである。 そんなエルミナに生まれ変わった私は困惑していた。 なぜなら、ゲームの中で明かされた彼女の過去とは異なり、両親も兄弟も私のことを溺愛していたからである。 私は、確かに彼女と同じ姿をしていた。 しかも、人生の中で出会う人々もゲームの中と同じだ。 それなのに、私の扱いだけはまったく違う。 どうやら、私が転生したこの世界は、ゲームと少しだけずれているようだ。 当然のことながら、そんな環境で歪むはずはなく、私はただの公爵令嬢として育つのだった。

私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?

新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。 ※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!

至って普通のネグレクト系脇役お姫様に転生したようなので物語の主人公である姉姫さまから主役の座を奪い取りにいきます

下菊みこと
恋愛
至って普通の女子高生でありながら事故に巻き込まれ(というか自分から首を突っ込み)転生した天宮めぐ。転生した先はよく知った大好きな恋愛小説の世界。でも主人公ではなくほぼ登場しない脇役姫に転生してしまった。姉姫は優しくて朗らかで誰からも愛されて、両親である国王、王妃に愛され貴公子達からもモテモテ。一方自分は妾の子で陰鬱で誰からも愛されておらず王位継承権もあってないに等しいお姫様になる予定。こんな待遇満足できるか!羨ましさこそあれど恨みはない姉姫さまを守りつつ、目指せ隣国の王太子ルート!小説家になろう様でも「主人公気質なわけでもなく恋愛フラグもなければ死亡フラグに満ち溢れているわけでもない至って普通のネグレクト系脇役お姫様に転生したようなので物語の主人公である姉姫さまから主役の座を奪い取りにいきます」というタイトルで掲載しています。

処理中です...