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年越しパーティー(3)

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久しぶりのお父様とのダンスです
「この頃のアンジェはずいぶん雰囲気が柔らかくなったね」
踊りながら、お父様が言いました。

「前より楽しそうなのは、友達のお陰かい?」

「それも、ありますし
もう殿下に振り回されるのはやめました。王妃様からも認めてもらってます」

「え?王妃様も?
それであのような事を?」

「まあ、そうかもしれません」

「アンジェはこの婚約が嫌だったのかい?そうだとしたら私たちはアンジェにすまない事をしたなぁー」

「そんなことは…ただ相手の事が分からなすぎて、悩んではいました。だから、王妃様がもう頑張らなくていいっておっしゃって下さいました」

「そうか」
何となく考え込んでしまったお父様
ちょうど曲も終わりました。

「娘との楽しい時間はあっという間だねぇー」

お父様はそうおどけるように言って
お兄様と交代した。

次の曲が始まる

「父上なんか、難しい顔してなかった?」

私は苦笑いしながら、先ほどの会話を説明した。

「ふーん、アンジェは今までライアン殿下の話を家族にしなかったもんね」

「言ったところで婚約はなくならないと思って諦めてました」

「そうか、だから父上は反省したのかもね」

「そうなのですか?」

「う~ん なんて言うか、あまりに幼い時から決まってしまった婚約の話だから、大人たちもそれを疑問に思ってなかったのかもしれないな。
2人の仲や相性なんて考えてなかったんだよ。
小さい頃から一緒にいれば上手くいくとでも思ってたんだろ」

「兄様、すごい 当たってますね
ふふふ
ライアン殿下は小さい頃から私を見ると眉をひそめていました
きっと殿下のタイプはもっと可愛いい素直そうな子なんですよ」

私は頭の中で前世で読んだヒロイン像を想像しながら言った

「ふん、だとしてもお互いの親睦を深めようとする努力を怠っていい事にはならないさ」

まあ、その通りなんですけどね。

「王妃様は自分に任せておけ、悪いようにはしないとおっしゃってました
ウォル兄様、わたしは王妃様におまかせします」

兄様は私を見ながら微笑んで
「決意を決めたから、この頃のアンジェは昔と違ってイキイキしていたのか…」
そう呟いた

ウォルターお兄様にはそう見えていたのですか、なるほど。

家族はみんな各々に私の変化に気付き、それをいい変化として受け止めていてくれる。
それはアンジェリーナにとっても、とても嬉しい事だろう。

これなら、もし婚約破棄となっても、味方をしてくれる人はいるのではないか?
少なくとも王妃様は動いてくれそうだし、家族も見放しはしないだろう。
もとの話のように1人孤独に追放されたり、修道院に入れられたりと流れがすすんでも、きっと阻止してもらえそうだ。

いや、そうならないように、私はもっと頑張るけどね!
そして、ヴォルフ様ともっと仲良くなりたい!
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