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初めての接触。

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朝、教室へ行くといつもの如く2人がやって来た。
「アンジェリーナ様おはようございます!」
「おはようございます、お約束のものは持ってきまして?」

「おはようございます。ちゃんと持ってきましたわ」
私はバスケットを見せる。

「ふふ、楽しみですわね」
「早くお昼にならないかしら」

今日は午後の授業がないので、
皆でお弁当を持ってきて、園芸部の管理するガゼボを借りる予定だった。

あれから、ランチはいつも彼女たちと一緒に取っていた。
そこへエミリーも交ざり4人でいるようになった、昨日この提案をしてくれたのもエミリーだった。

エミリーとキャロルは伯爵家同士でもともと顔見知りだったみたい。
2人のうち1人がキャロル・ダウエル伯爵令嬢、もう1人がクラリッサ・バートン侯爵令嬢と言った。

キャロルは見た目大人しそうなのに、おしゃれの話や恋愛小説のことになると、お喋りがとまらなくなる。

クラリッサは一見クールビューティーなのに、何かスイッチが入ると突っ走ってしまう性格をしていて、私に初めて話しかけた時もクラリッサの暴走だとキャロルが言っていた。

まあそのお陰で今女子会が出来てとても楽しんでいる。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

お昼の鐘がなった。

3人で庭園の西にあるガゼボへ向かう、ガゼボのあるのは薔薇の庭園と呼ばれていて、入口に鍵つきの門がある。
エミリーはそこを開けるために職員室へ鍵を取りに行ってから門の前で合流する事になっていた。

校舎を出て歩いていると、後ろから声をかけられた。
「ラフォール侯爵令嬢、ちょっとよろしいですか?」
「はい?」
振り返ると背が高く長い髪を1つに束ねた青年が立っていた。
記憶が流れ込んでくる。ん?ライアン殿下の側近?
ふーん。
見ると彼の後ろの少し離れた所に他の側近とライアン殿下もいてこちらを見ていた。

「ごめんなさい、先に行ってて」私は2人に断り、
後ろの青年に向き直る。
「セルビ伯爵令息様、何かご用ですか?」
何となく予想は付くが聞いてみた。

「いや、用事と言うかちょっと聞きたかったんだが…」

「はい」

「この1週間殿下の所へ来ないので、何かあったのかと、これまでお昼には毎日顔を出しておいでだったと思うのだが…」

何やら言いにくそうに、そう言いながら殿下を気にしている。

やっぱり、そう言う事か…
断る癖に誘いに来なければ、気に入らない。
なぜ来ないのだ?聞いて来いとでも言われて来たのね。

アホくさっ!どれだけ自分勝手なんだか。
だからって明日から日参しても、断られるだけなんでしょ?
ふざけんな!

「その事でしたら、私やっと気付きましたの。
殿下はこれからのために、少しでも多くの人と交流を持つことが大事なんだと。そのために毎日多くの令嬢とランチをご一緒する必要があるのですね」

「え?い、いやそれは…」

「私は殿下の婚約者ですもの、いつでもお話出来ますし、どうぞこれからは私の事は気にせず、残り少ない学校生活を有意義に送ってくださるようお伝え下さい。
もう、お忙しい殿下を煩わせるような事はいたしませんわ」

そう言って、ニッコリ笑った。

チラッと殿下を見れば目を丸くしている…
聞こえたとは思えないけど、なんでだろう?

「では失礼いたします。」

そう言って踵を返した。

毎日アンジェリーナがお昼休みに来ることが分かっていて、いろんな令嬢を侍らせて、「ああ、悪いな今日は彼女らとお昼の約束をしてしまったから、お前とはまた今度だな」などと全く悪いと思ってない口調で言われ、一緒にいる令嬢からも鼻で笑われてさ!

アンジェリーナはそんな扱いを受けるような子じゃないのに。失礼しちゃう。

ちょっとは嫌み通じるかしら?

さて、どう出るかしらね…
でも、今さら王子となんてランチしたくないから、ほっといてくれるのが1番だけど、あまり接点がなくなると、婚約解消に持っていけないかしら?
悩みどころだわ。

でも、とりあえず今日はみんなと楽しい女子会!
私は急いで薔薇の庭園を目指した。
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