王女殿下は家出を計画中

ゆうゆう

文字の大きさ
上 下
22 / 87

闇属性の魔法とは(2)

しおりを挟む
私は図書室を後にして、お姉様の部屋へ急ぎました。

「シルビアご苦労様、首尾はどう?」
お姉様は侍女や護衛に聞こえないように、小さな声で聞いてきます。

私はニッコリ笑って頷きます。

そこへノックが聞こえ、エマリアが大きなお菓子の箱を抱えて入ってきました。
「お姉様、大好きな城下のお菓子をエマリアに買いに行ってもらいました。一緒に食べましょう」

そうなんです、今日エマリアが一緒に図書室へ付いてこないように王都の有名なお菓子屋さんにお使いに行ってもらいました。

ごめんねエマリア

「まあ私の大好きな焼き菓子を?
シルビアありがとう。そうだわお兄様も呼びましょう」

「お姉様大丈夫ですよ、さっき図書室でお兄様にお会いしましたから、ちゃんとお誘いしました」

私たちは偶然3人で集まる事を印象付けるような会話をわざとします。

「あら?そうなの?
よかった、3人でお茶をするのも久しぶりね。
お兄様すぐに来られるかしら?」

「何か調べものをされていたので、もう少しかかるかもしれません」

「そう… エレン、お兄様もいらっしゃるから3人分お茶の用意をお願いね」

お姉様が侍女たちに指示を出します。

「エマリアお菓子を。
後あなたもエレンたちと食べてね」

「「シルビア様ありがとうございます」」

みんなにお礼を言われましたがお菓子を別室で食べてもらって、私たちが3人になりたいだけなんですけどね。

「エレン、お兄様は直ぐには来られないみたいだから、先に私たちにお茶をお願い。お菓子はお兄様が来られてからでいいわ」

お姉様ととりとめのない雑談をしていると、本を持ってお兄様がやってきました。

改めてエレンたちにお茶を入れ直してもらいお菓子を出してもらいます。

そこで、お姉様から侍女たちにお茶の許可をあげて護衛も部屋から下がらせました。

そしていつもの盗聴防止魔法をかけてもらいます。

わたしは写しの紙を出します。

「お兄様と調べて気になる魔法を、いくつか写して来ました。
闇魔法の中に呪の魔法と言うのがあるみたいで、これは相手に呪いをかけるとその人が事故にあったり、不治の病にかかったりして死に至ると書かれています」

「それじゃシルビアはお母様の病はその魔法かもしれないって思ってるの?」

「何の証拠もないし、イザベラ様が闇魔法を使えたなんて聞いたことはないのだけど…」

「ただね、ここに呪の魔法を使うときの注意ってあるでしょ?」
私はある文面を指差して言います。

「ああ、えーともし使う相手が聖光魔力をもっている場合、この呪いを弾かれる恐れあり、弾かれるほどの魔力がなくても、普通より半減され、その分自分へ返される…」

「どういう意味?」
お姉様が眉をひそめて考えている。

「たぶんね、聖光魔力を体に宿している人にこの魔法を使うと弾かれたり、弱くしか効かない上に自分にも同じだけ返ってきちゃうって事だと思うの」

「そうか母上は魔法としては、微力だったけど、聖光魔力があった。」

「もしイザベラ様が闇魔法を使えてこの呪の魔法をお母様に使って、自分にも跳ね返ってきたなら…」

「それで同じ頃に病に倒れたってこと?」

「でも、同じではなかっただろ?母上は命を落とした」

「もしお母様が普通の体だったら、どうなってたと思う?」

「シルビアはお母様が妊婦だったから、命を落とされたといいたいの?
…確かに妊婦のが普通の体より弱ってしまっても不思議じゃないわよね」

「それに、病の所為で出産が早まったのでしょう?
そして病で体には出産に耐えられる力が残ってなかったから…」

お兄様もお姉様も私が言ったことを頭の中で思案しているのか、黙って厳しい顔をしていた。

「まだ仮説だけれど、そう考えられなくもないと思うの。
後はどうやってイザベラ様が闇魔法を使えたか…」

これ以上はまだ分からないことが多すぎる。

しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

老女召喚〜聖女はまさかの80歳?!〜城を追い出されちゃったけど、何か若返ってるし、元気に異世界で生き抜きます!〜

二階堂吉乃
ファンタジー
 瘴気に脅かされる王国があった。それを祓うことが出来るのは異世界人の乙女だけ。王国の幹部は伝説の『聖女召喚』の儀を行う。だが現れたのは1人の老婆だった。「召喚は失敗だ!」聖女を娶るつもりだった王子は激怒した。そこら辺の平民だと思われた老女は金貨1枚を与えられると、城から追い出されてしまう。実はこの老婆こそが召喚された女性だった。  白石きよ子・80歳。寝ていた布団の中から異世界に連れてこられてしまった。始めは「ドッキリじゃないかしら」と疑っていた。頼れる知り合いも家族もいない。持病の関節痛と高血圧の薬もない。しかし生来の逞しさで異世界で生き抜いていく。  後日、召喚が成功していたと分かる。王や重臣たちは慌てて老女の行方を探し始めるが、一向に見つからない。それもそのはず、きよ子はどんどん若返っていた。行方不明の老聖女を探す副団長は、黒髪黒目の不思議な美女と出会うが…。  人の名前が何故か映画スターの名になっちゃう天然系若返り聖女の冒険。全14話+間話8話。

白い結婚を言い渡されたお飾り妻ですが、ダンジョン攻略に励んでいます

時岡継美
ファンタジー
 初夜に旦那様から「白い結婚」を言い渡され、お飾り妻としての生活が始まったヴィクトリアのライフワークはなんとダンジョンの攻略だった。  侯爵夫人として最低限の仕事をする傍ら、旦那様にも使用人たちにも内緒でダンジョンのラスボス戦に向けて準備を進めている。  しかし実は旦那様にも何やら秘密があるようで……?  他サイトでは「お飾り妻の趣味はダンジョン攻略です」のタイトルで公開している作品を加筆修正しております。  誤字脱字報告ありがとうございます!

最強令嬢とは、1%のひらめきと99%の努力である

megane-san
ファンタジー
私クロエは、生まれてすぐに傷を負った母に抱かれてブラウン辺境伯城に転移しましたが、母はそのまま亡くなり、辺境伯夫妻の養子として育てていただきました。3歳になる頃には闇と光魔法を発現し、さらに暗黒魔法と膨大な魔力まで持っている事が分かりました。そしてなんと私、前世の記憶まで思い出し、前世の知識で辺境伯領はかなり大儲けしてしまいました。私の力は陰謀を企てる者達に狙われましたが、必〇仕事人バリの方々のおかげで悪者は一層され、無事に修行を共にした兄弟子と婚姻することが出来ました。……が、なんと私、魔王に任命されてしまい……。そんな波乱万丈に日々を送る私のお話です。

あなたがそう望んだから

まる
ファンタジー
「ちょっとアンタ!アンタよ!!アデライス・オールテア!」 思わず不快さに顔が歪みそうになり、慌てて扇で顔を隠す。 確か彼女は…最近編入してきたという男爵家の庶子の娘だったかしら。 喚き散らす娘が望んだのでその通りにしてあげましたわ。 ○○○○○○○○○○ 誤字脱字ご容赦下さい。もし電波な転生者に貴族の令嬢が絡まれたら。攻略対象と思われてる男性もガッチリ貴族思考だったらと考えて書いてみました。ゆっくりペースになりそうですがよろしければ是非。 閲覧、しおり、お気に入りの登録ありがとうございました(*´ω`*) 何となくねっとりじわじわな感じになっていたらいいのにと思ったのですがどうなんでしょうね?

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

【完結】ポーションが不味すぎるので、美味しいポーションを作ったら

七鳳
ファンタジー
※毎日8時と18時に更新中! ※いいねやお気に入り登録して頂けると励みになります! 気付いたら異世界に転生していた主人公。 赤ん坊から15歳まで成長する中で、異世界の常識を学んでいくが、その中で気付いたことがひとつ。 「ポーションが不味すぎる」 必需品だが、みんなが嫌な顔をして買っていく姿を見て、「美味しいポーションを作ったらバカ売れするのでは?」 と考え、試行錯誤をしていく…

冤罪で山に追放された令嬢ですが、逞しく生きてます

里見知美
ファンタジー
王太子に呪いをかけたと断罪され、神の山と恐れられるセントポリオンに追放された公爵令嬢エリザベス。その姿は老婆のように皺だらけで、魔女のように醜い顔をしているという。 だが実は、誰にも言えない理由があり…。 ※もともとなろう様でも投稿していた作品ですが、手を加えちょっと長めの話になりました。作者としては抑えた内容になってるつもりですが、流血ありなので、ちょっとエグいかも。恋愛かファンタジーか迷ったんですがひとまず、ファンタジーにしてあります。 全28話で完結。

偽夫婦お家騒動始末記

紫紺
歴史・時代
【第10回歴史時代大賞、奨励賞受賞しました!】 故郷を捨て、江戸で寺子屋の先生を生業として暮らす篠宮隼(しのみやはやて)は、ある夜、茶屋から足抜けしてきた陰間と出会う。 紫音(しおん)という若い男との奇妙な共同生活が始まるのだが。 隼には胸に秘めた決意があり、紫音との生活はそれを遂げるための策の一つだ。だが、紫音の方にも実は裏があって……。 江戸を舞台に様々な陰謀が駆け巡る。敢えて裏街道を走る隼に、念願を叶える日はくるのだろうか。 そして、拾った陰間、紫音の正体は。 活劇と謎解き、そして恋心の長編エンタメ時代小説です。

処理中です...