王女殿下は家出を計画中

ゆうゆう

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闇の魔法

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「あ、あの原因とか、分かっているのですか?」

「いや、それが全くの不明でな、ただ王妃様が原因不明の病に倒れられた時に、時を同じくしてイザベラ様も、高熱を出されておった。あの時はイザベラ様も王妃様と同じ病かと王宮内が、騒然としたのを覚えております。」

あの時イザベラ様がそのような事になっていたとは。

「お兄様、あの時イザベラ様がご病気だったと知っていましたか?」

「いや、記憶にない。
隣国から帰ってきたら、もう母上がお亡くなりになっていたと知りその後の記憶が曖昧なのだ。」

「私も一緒です。お母様の葬儀もあまり覚えてなくて…」

「お2人には辛い思い出でしょうからな。
無理もないことです。」

ルカルク様は納得したように頷く。

「王妃様の葬儀にイザベラ様はご出席出来なかったはずです。
まだベッドから起き上がれない程衰弱していたと聞いた記憶がございます。」

「3ヶ月後、回復されたイザベラ様に呼ばれました。ご自分の魔力の、流れが感じられないとおっしゃって魔法鑑定を密かにやりたいと言われました。
私はその場で水晶を取り出し、鑑定致しました。
あれ程膨大だった魔力がなくなっておりました。
まるで別人かと思うほどです。唯一魔法の特徴や質がイザベラ様だと認識できましたので、それがなければ本当に誰かがイザベラ様に成り代わってしまったと思ったでしょう。」

ルカルク様はこの国で唯一魔法で人物の特定が出来ます。
前世で言うところの指紋鑑定やDNA鑑定のように。

「私は魔力がなくなるなんて、聞いたことがないです。よく起こる事なのですか?」

「いいえ、今まで私もこんな事例は聞いたこともなかったです。ただ遥か昔まだこの国に闇属性が存在し禁忌魔法を使った者が魔力を失ったと何かで読んだような。」

「闇属性?」

「シルビアは聞いた事なかったか?
昔この国では聖光魔法の対極にあるとされる闇魔法が存在したらしい。」

「その通りです。殿下よく勉強されていますな。
ただ、闇魔法は邪悪な物としてこの国では禁忌とされていました。闇属性を持って生まれた者は国の管理下に置かれ、闇魔法を封印されていました。子孫を残すことも禁じられていたので、その継承は途絶えていきました。
ですから、今はほとんど闇属性の者は誕生しなくなっております。」

「そんな事が…
知らなかった…」

「まあイザベラ様には闇属性はなかったし、魔力を失ったこととは関係ありますまい。」

ルカルク様そう締め括りました。

でも、何となく私にはイザベラ様と闇魔法が無関係には思えませんでした。

いわゆる第六感が訴えているのです。
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