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子爵家と叔父様
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カミラ様が上手く言い訳出来ずに、口ごもっている姿を少し虚しく感じながら、私は伯爵家に行く前、まだお父様が生きていてカミラ様と弟のジュードと4人で生活していた時の事を思い出していた。
あの頃先妻の子供である私をカミラ様がもて余している事は感じていたけど、カミラ様もお父様の手前面と向かって私に嫌みを言ったり、邪険に扱ったりする事はなかった。
いつもお父様の前でお互いに仮面を被っているような、なんとも不自然な家族関係だった。
それでも何年も家族として一緒に生活していた訳だから愛情はなくても、情はある。
私はお父様の葬儀の時、初めて面と向かってカミラ様から拒絶する言葉を言われて、少なからずショックを受けた。
それと同時にやっぱり嫌われていたのだと納得もした。
「も、申し訳ありません。
ステラの事にまで思いが至っておりませんでした。
子爵家を維持管理する事が大変で毎日奔走していたのです」
カミラ様の声に、我に帰る。
確かに今まで子爵家の事は関与していなかったものね。
お父様の留守は私が8才の時から侍従長と一緒に守っていた。
お父様も婿を取り私に家を継がせるつもりだったから、一からいろんな事を教えられていた。
お父様が結婚してもそれは変わらなかった。
お父様はカミラ様に女主人としての仕事は任せなかったし、カミラ様も興味を示さなかった。
私が伯爵家に行ってからカミラ様がいろいろと女主人として家の事をやり始めたらしいけど、上手くいっていなかった事はこの前ニコルに聞いた。
使用人とも衝突して結局昔からいた者達を追い出してしまったらしい。
今日子爵家に足を踏み入れた時、見慣れた顔が殆んどいない事が悲しかったものね。
我が家は子爵家と言っても任されている領地は大してなく、少ない領地経営はお父様の従兄弟である分家の叔父様がやってくれている。
お父様は商会に専念して2人で子爵家を維持してきた。
そんな事もカミラ様は知らなかったらしい。
そんな子爵家をいきなり赤の他人の後妻が大きな顔しようとしたら、商会はニコルが、領地は叔父様がいる、衝突しない訳がない。
カミラ様にはこの2人が邪魔だろうな。
何をしようとしても、障害になる。
ジュードが子爵を継がない限りはカミラ様が動かせるお金もこの邸を維持するためのお金がやっとなのだろう。
お父様と叔父様はとても仲が良く、叔父様は私にとっても、もう一人の父の様なのだ。
婚約破棄された時、叔父様を頼ろうと思ったけど、何せ我が家の領地は遠い。
先ずは自分で出来るか考えてみて、叔父様に頼るのは最終手段と思っていた。
コンコン
「失礼いたします。奥様お客様が」
「え? だ、誰? こんな時に」
「ああ、多分我々が呼んだ人でしょう」
ジュリアン様が言って使用人と一緒に出ていく。
戻って来たジュリアン様と一緒に部屋に入って来たのは叔父様だった。
あの頃先妻の子供である私をカミラ様がもて余している事は感じていたけど、カミラ様もお父様の手前面と向かって私に嫌みを言ったり、邪険に扱ったりする事はなかった。
いつもお父様の前でお互いに仮面を被っているような、なんとも不自然な家族関係だった。
それでも何年も家族として一緒に生活していた訳だから愛情はなくても、情はある。
私はお父様の葬儀の時、初めて面と向かってカミラ様から拒絶する言葉を言われて、少なからずショックを受けた。
それと同時にやっぱり嫌われていたのだと納得もした。
「も、申し訳ありません。
ステラの事にまで思いが至っておりませんでした。
子爵家を維持管理する事が大変で毎日奔走していたのです」
カミラ様の声に、我に帰る。
確かに今まで子爵家の事は関与していなかったものね。
お父様の留守は私が8才の時から侍従長と一緒に守っていた。
お父様も婿を取り私に家を継がせるつもりだったから、一からいろんな事を教えられていた。
お父様が結婚してもそれは変わらなかった。
お父様はカミラ様に女主人としての仕事は任せなかったし、カミラ様も興味を示さなかった。
私が伯爵家に行ってからカミラ様がいろいろと女主人として家の事をやり始めたらしいけど、上手くいっていなかった事はこの前ニコルに聞いた。
使用人とも衝突して結局昔からいた者達を追い出してしまったらしい。
今日子爵家に足を踏み入れた時、見慣れた顔が殆んどいない事が悲しかったものね。
我が家は子爵家と言っても任されている領地は大してなく、少ない領地経営はお父様の従兄弟である分家の叔父様がやってくれている。
お父様は商会に専念して2人で子爵家を維持してきた。
そんな事もカミラ様は知らなかったらしい。
そんな子爵家をいきなり赤の他人の後妻が大きな顔しようとしたら、商会はニコルが、領地は叔父様がいる、衝突しない訳がない。
カミラ様にはこの2人が邪魔だろうな。
何をしようとしても、障害になる。
ジュードが子爵を継がない限りはカミラ様が動かせるお金もこの邸を維持するためのお金がやっとなのだろう。
お父様と叔父様はとても仲が良く、叔父様は私にとっても、もう一人の父の様なのだ。
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先ずは自分で出来るか考えてみて、叔父様に頼るのは最終手段と思っていた。
コンコン
「失礼いたします。奥様お客様が」
「え? だ、誰? こんな時に」
「ああ、多分我々が呼んだ人でしょう」
ジュリアン様が言って使用人と一緒に出ていく。
戻って来たジュリアン様と一緒に部屋に入って来たのは叔父様だった。
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