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子爵令嬢のステラです
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私の名前はステラ・アンダーソン。
子爵令嬢です。
1年前にダートン伯爵様との婚約話を頂きました。お父様は大変乗り気で直ぐに婚約が整いました。
あちらの希望で行儀見習いも兼ねて伯爵家に同居する事になり、ある程度の荷物と共に伯爵家へ引っ越しして早10か月。
同居して分かった事ですが伯爵家は
子爵家のうちよりもお金に困っている家でした。
うちはお父様が商才があり、子爵家の割には成功している家なのです。
働いている使用人の数も子爵家のうちの半分ぐらい。
しかも給金も低いらしく、有能な人も集まりにくそうでした。
決して領地経営が悪い訳でもないみたいでしたが、伯爵家の3人の女達の金使いが荒いのです。
そして早くに亡くなられたお父上の跡を継いだエドガー様はそんな母親や姉に文句も言えない様子です。
何でも3人の言いなりのエドガー様はちょっと頼りないし、不安が過りましたが、家同士で決めた婚約を私が嫌とは言えませんでした。
行儀見習いで同居と言うのも、何かと物入りだからと、子爵家から援助金を毎月渡す事になっており、そのお金は3人が使ってしまうので、私には自由になるお金はありませんでした。
そしてこの10か月の間いろいろと我慢をしながら伯爵家で過ごして来て、最後にこんな事になるとは思いもしませんでした。
私はラウンジのソファーに崩れ落ちる様に座り込みます。
脱力感で身体が鉛の様に重くなりもう動ける気がしません。
これからどうすればいいのか… 何も考えられない。
お客様の少ない時間のラウンジでは従業員以外の人に見られずに済んだことが唯一の幸いです。
「大丈夫かい?」
声を掛けて来たのはさっきまで一緒にいた、ジュリアンと言う男性でした。
「あ、あなた逃げたのではなかったの? あなたのお陰でこっちは大変な目にあったと言うのに…」
と恨み節をぶつけてしまったわ。
「ごめん ごめん。
だって依頼主が出てくるから、バレたらいけないと思ってさ。
陰から見ていたんだよ。
それに、何か聞いてた話と違う気がしてね。
気になったから、こうして戻って来たんだよ」
「何の事?
依頼主ってデボラ様の事?
教えて下さい、どんな事を頼まれたのですか?」
どうやら、これは最初から仕組まれた事なのかもしれないと思い至りました。
「いいよ。教えちゃいけないとは言われてないからね。
その代わり君もどんな立場の人なのか教えてくれる?」
私達は自分の知っていることをお互いに教え合う事にしました。
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