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「お嬢様お疲れ様でした」
一緒に行ったパティも疲れただろうに、直ぐにお茶を入れてくれる。
「ありがとうパティ、あなたも休んで」
パティの美味しいお茶を飲んで、ほっと一息着くことが出来ました。
「おかえりなさいお嬢様。
いかがでしたか?」
ドミニクが部屋にやって来ました。
「ただいま。
しっかり見てきたわ。
思っていたより皆元気そうで安心したわ。
きっとこの町の人達が最初から面倒見てくれたからだと思うわ」
「男の人達は人数も多い上に、年齢もバラバラなの。
だから、仕事の斡旋もちょっと時間がかかると思うわ。
だけど、今のところ女性は3人だけで、皆若いの。
だから、ここで働いて貰おうと思うのだけれど、どうかしら?」
「ここで、ですか?」
「ええ、さっき会って来たのだけれど、1人はナラと言って食堂で料理を作る仕事していたそうなの。
私が滞在中は簡単な物はパティが用意してくれていたし、近くの料理屋で作ってもらっていたじゃない?
皆も外に食べに行く事が多かったと思うし…
だからラナにここの料理人になって貰ったらどうかなって」
「それはいい考えですね。
でも、後2人は?」
ドミニクは私の考えに賛成しながら、先を促してくる。
「後の2人はコレットとマルタと言うのだけれど、
コレットは一番町に近い村にいたらしくてね。
町まで出で薬草や花の売り子をしていたって言ってた。
だから、ペリーヌたちのお手伝いをしてもらって、マルタはずっと家の手伝いで家事をしていたらしいから、2階、3階の掃除中心のメイドをしてもらおうかなって」
「ほうほう、なるほどなるほど、とてもいい考えです。
我が商会だけならともかく、お嬢様がいらっしゃる時にお嬢様のお世話が侍女のパティさんだけなのは、私も気になっていたのですよ。
お嬢様は気にしないと仰いますが、私としては旦那様に申し訳なくって」
ドミニクはお父様が私に付けてくれた人だから、やっぱりお父様の手前そう言った事も気にするのね。
私ももっと気を遣って上げればよかったかな?
どうも、ここにいると貴族令嬢の色が薄れてしまうのよね。
:
次の日から3人を迎えるためにパティやドミニクに手伝ってもらって2階の片付けを始めます。
もともとこの建物は商会の規模よりもかなり立派で大きいのです。
1階は店舗兼倉庫として使っているので建物の表側はお店と事務室、休憩室などで裏側半分は在庫置き場として全ての部屋を使っていますが、2階は商会の商談室と執務室以外は全く使っていませんでした。
なので、3人の部屋を整えて、厨房を使えるように整えて少し大きめの部屋を食堂としてあつらえました。
本当は2階に立派な厨房がありましたが、たまにしか使わないとなると反対にメンテナンスをするのが無駄に思えて閉鎖していました。
今まではパティと私が3階の小さなキッチンを使う以外は1階、2階の給湯室以外はあまり必要性を感じていなかった…
と言うより使う人がいなかったのです。
綺麗に掃除して、整えられた厨房や食堂を見て想像を掻き立てられました。
「パティ、ドミニク。
これからはラナにご飯作ってもらって、皆で一緒にご飯たべよう」
「一緒にですか?」
「そう、パティもドミニクもテッドもケイティとペリーヌも皆一緒に。
だって皆は私のもう一つの家族だもの」
「お、お嬢様~ 私感動しちゃいました」
パティが何だか涙を浮かべて見ています。
「あら? 今までだって、マルクスにいる時は2人でご飯食べてたじゃない」
「そうじゃなくて~
か、家族って言ってくれたことですよ~」
「パティさんの気持ちは私も分かります。
とても光栄です、お嬢様」
ドミニクまで感無量みたいに目を閉じて噛み締めている。
「2人とも大袈裟よ。
でも、本当に思っているわよ。
商会の皆は私の家族だって」
「僕も入れてくれるんですか?」
後ろからテッドが現れて笑顔で聞いて来ます。
「あら? テッド
今の話聞いてたの?」
「ええ、様子を見に来たら声が聞こえて来たので」
「もちろん、テッドだってこの商会にはなくてはならない人だもの。
私の家族だわ」
面と向かってそう言うと、
「調子狂っちゃうなぁ」
とちょっと照れて横を向いてしまった。
「いい?3人共。
照れても、泣いても感動してもいいけど、明日からは皆一緒にご飯たべるからね!」
:
北部からマルクスにやって来た3人の女性を我が商会に迎えてしばらく経ちました。
ラナは私の予想よりも料理上手でとても手際もいいのです。
我が伯爵家の料理人も勤まるんじゃないかしら?
朝はパティと私とラナ達と朝食を食べようと思っていましたが、3人は頑なに首を縦には振ってくれませんでした。
庶民の自分たちが主である貴族令嬢とテーブルを共にするなど、恐れおおくて食べ物も喉を通らないから勘弁してくれと、懇願されてしまい断念することになりました。
ここでは無礼講で気にしなくてもいいと言ったんですけどね。
その代わりお昼はテッドやドミニク、それにケティ、ペリーヌ、パティと6人で食堂に集まって昼食を取るのが習慣になってきました。
商会で繋がったもう一つの家族たちとの大切な時間が持てて、これにはとても満足しています。
お昼の時間はコレットとマルタがパティに教わって給仕をしてくれるようにもなりました。
本当に3人共、勤勉でとても真面目です。
マルタのお陰で商会の建物はどこもピカピカになっているし、コレットはケティ達の手伝いをして商会で扱っている商品を整理整頓したり、お客様のおもてなしを頑張ってしてくれています。
3人が望むならそのうちに、文字の書き方や簡単な計算も教えてもいいかな。
この国の庶民の識字率はまだまだ高くないのが現実です。
そろそろ、宿泊所に残っている男の人達の事も考えないといけません。
今は大半の人が港で日雇いの仕事をもらって生活をしているようですが、日々の必要な人材の数はまちまちなので、全員を満足させられる程の仕事が毎日あるとは限らないようです。
「どうしようかしら?」
執務室で思案していると、ドアがノックされてドミニクが大きな荷物を抱えて入ってきました。
「お嬢様、失礼します。
お屋敷からの手紙とお荷物が届いてますよ」
「荷物?」
私は手紙を受け取り、荷物を確かめました。
「まだ店の方にいくつか置いてあります。
全部運びますか?」
「ちょっと待ってね」
荷解きをして中身を見ると、日持ちする焼きお菓子がたくさん入っていました。
「お菓子? まだいっぱいあるの?」
「ええ、でも木箱もありますから全て同じものではないと思いますよ」
「手紙を呼んでから見に行くわ。お店では邪魔でしょ?
2階の踊場にでも運んでおいて」
「畏まりました」
手紙は2通、1つはお母様から、もう1つはテオバルト様からでした。
先にお母様からの手紙を開くと、マルクスにくる前に相談していた事への回答でした。
我がジャルジェ領の中心にある大きな町マロクーリエに私の家はあります。
王都のタウンハウスから領地に戻るとまずはマロクーリエの本宅に寄り、そこからマルクスに来ることが常ですが、今回は長く留守にしたので商会が気になって、家には寄らずここへ戻ってきました。
いつもは王都やマロクーリエで流行っているものを調べてくるのですが、今回は時間も暇もなかったので、私よりも後から本宅に戻るお母様に王都とマロクーリエで流行っているお菓子は何か調べて欲しいとお願いして置いたのです。
そこでこのお菓子。
お母様の話では王都の貴族の間でナッツを使ったお菓子が人気になっているとか…
この国の流行は王族や高位貴族の方達が気に入った物をパーティーやお茶会で進めたり自慢したりした事で広がっていきます。
貴族の間で話題になるとそこから貴族の家で働く者たちに広がり、庶民にも拡がっていくのです。
王都で流行ったものは数日から数週間か数ヶ月かかって国全体にも拡がっていくのですが、マルクスの様な最南端まで王都の話が伝わってくるのは遅いですから、出来るだけ私が話を仕入れて来て、町の人にも伝えています。
今回はパン屋のおばさんに頼まれていたので、新しいお菓子の情報を仕入れてもらったと言う訳です。
「ナッツ類を使ったお菓子が流行りだしたのね…」
私は箱の中からお菓子を取り出して1つ食べてみる。
お母様曰く、いくら日持ちすると言っても王都のお菓子を送るのは時間が経ちすぎると思い、知り合いのパティシエのレシピを教えてもらい、我が家の料理人が作ったものを送って下さったようです。
「美味しい…今まであったクッキーよりナッツの量がとても多い」
たっぷりの砕いたアーモンドが入ったのクッキーはとても香ばしく、口の中に入れるとホロホロとほどける口溶けでとても美味しかった。
早速パン屋のおばさんに教えてあげよう。
一緒に行ったパティも疲れただろうに、直ぐにお茶を入れてくれる。
「ありがとうパティ、あなたも休んで」
パティの美味しいお茶を飲んで、ほっと一息着くことが出来ました。
「おかえりなさいお嬢様。
いかがでしたか?」
ドミニクが部屋にやって来ました。
「ただいま。
しっかり見てきたわ。
思っていたより皆元気そうで安心したわ。
きっとこの町の人達が最初から面倒見てくれたからだと思うわ」
「男の人達は人数も多い上に、年齢もバラバラなの。
だから、仕事の斡旋もちょっと時間がかかると思うわ。
だけど、今のところ女性は3人だけで、皆若いの。
だから、ここで働いて貰おうと思うのだけれど、どうかしら?」
「ここで、ですか?」
「ええ、さっき会って来たのだけれど、1人はナラと言って食堂で料理を作る仕事していたそうなの。
私が滞在中は簡単な物はパティが用意してくれていたし、近くの料理屋で作ってもらっていたじゃない?
皆も外に食べに行く事が多かったと思うし…
だからラナにここの料理人になって貰ったらどうかなって」
「それはいい考えですね。
でも、後2人は?」
ドミニクは私の考えに賛成しながら、先を促してくる。
「後の2人はコレットとマルタと言うのだけれど、
コレットは一番町に近い村にいたらしくてね。
町まで出で薬草や花の売り子をしていたって言ってた。
だから、ペリーヌたちのお手伝いをしてもらって、マルタはずっと家の手伝いで家事をしていたらしいから、2階、3階の掃除中心のメイドをしてもらおうかなって」
「ほうほう、なるほどなるほど、とてもいい考えです。
我が商会だけならともかく、お嬢様がいらっしゃる時にお嬢様のお世話が侍女のパティさんだけなのは、私も気になっていたのですよ。
お嬢様は気にしないと仰いますが、私としては旦那様に申し訳なくって」
ドミニクはお父様が私に付けてくれた人だから、やっぱりお父様の手前そう言った事も気にするのね。
私ももっと気を遣って上げればよかったかな?
どうも、ここにいると貴族令嬢の色が薄れてしまうのよね。
:
次の日から3人を迎えるためにパティやドミニクに手伝ってもらって2階の片付けを始めます。
もともとこの建物は商会の規模よりもかなり立派で大きいのです。
1階は店舗兼倉庫として使っているので建物の表側はお店と事務室、休憩室などで裏側半分は在庫置き場として全ての部屋を使っていますが、2階は商会の商談室と執務室以外は全く使っていませんでした。
なので、3人の部屋を整えて、厨房を使えるように整えて少し大きめの部屋を食堂としてあつらえました。
本当は2階に立派な厨房がありましたが、たまにしか使わないとなると反対にメンテナンスをするのが無駄に思えて閉鎖していました。
今まではパティと私が3階の小さなキッチンを使う以外は1階、2階の給湯室以外はあまり必要性を感じていなかった…
と言うより使う人がいなかったのです。
綺麗に掃除して、整えられた厨房や食堂を見て想像を掻き立てられました。
「パティ、ドミニク。
これからはラナにご飯作ってもらって、皆で一緒にご飯たべよう」
「一緒にですか?」
「そう、パティもドミニクもテッドもケイティとペリーヌも皆一緒に。
だって皆は私のもう一つの家族だもの」
「お、お嬢様~ 私感動しちゃいました」
パティが何だか涙を浮かべて見ています。
「あら? 今までだって、マルクスにいる時は2人でご飯食べてたじゃない」
「そうじゃなくて~
か、家族って言ってくれたことですよ~」
「パティさんの気持ちは私も分かります。
とても光栄です、お嬢様」
ドミニクまで感無量みたいに目を閉じて噛み締めている。
「2人とも大袈裟よ。
でも、本当に思っているわよ。
商会の皆は私の家族だって」
「僕も入れてくれるんですか?」
後ろからテッドが現れて笑顔で聞いて来ます。
「あら? テッド
今の話聞いてたの?」
「ええ、様子を見に来たら声が聞こえて来たので」
「もちろん、テッドだってこの商会にはなくてはならない人だもの。
私の家族だわ」
面と向かってそう言うと、
「調子狂っちゃうなぁ」
とちょっと照れて横を向いてしまった。
「いい?3人共。
照れても、泣いても感動してもいいけど、明日からは皆一緒にご飯たべるからね!」
:
北部からマルクスにやって来た3人の女性を我が商会に迎えてしばらく経ちました。
ラナは私の予想よりも料理上手でとても手際もいいのです。
我が伯爵家の料理人も勤まるんじゃないかしら?
朝はパティと私とラナ達と朝食を食べようと思っていましたが、3人は頑なに首を縦には振ってくれませんでした。
庶民の自分たちが主である貴族令嬢とテーブルを共にするなど、恐れおおくて食べ物も喉を通らないから勘弁してくれと、懇願されてしまい断念することになりました。
ここでは無礼講で気にしなくてもいいと言ったんですけどね。
その代わりお昼はテッドやドミニク、それにケティ、ペリーヌ、パティと6人で食堂に集まって昼食を取るのが習慣になってきました。
商会で繋がったもう一つの家族たちとの大切な時間が持てて、これにはとても満足しています。
お昼の時間はコレットとマルタがパティに教わって給仕をしてくれるようにもなりました。
本当に3人共、勤勉でとても真面目です。
マルタのお陰で商会の建物はどこもピカピカになっているし、コレットはケティ達の手伝いをして商会で扱っている商品を整理整頓したり、お客様のおもてなしを頑張ってしてくれています。
3人が望むならそのうちに、文字の書き方や簡単な計算も教えてもいいかな。
この国の庶民の識字率はまだまだ高くないのが現実です。
そろそろ、宿泊所に残っている男の人達の事も考えないといけません。
今は大半の人が港で日雇いの仕事をもらって生活をしているようですが、日々の必要な人材の数はまちまちなので、全員を満足させられる程の仕事が毎日あるとは限らないようです。
「どうしようかしら?」
執務室で思案していると、ドアがノックされてドミニクが大きな荷物を抱えて入ってきました。
「お嬢様、失礼します。
お屋敷からの手紙とお荷物が届いてますよ」
「荷物?」
私は手紙を受け取り、荷物を確かめました。
「まだ店の方にいくつか置いてあります。
全部運びますか?」
「ちょっと待ってね」
荷解きをして中身を見ると、日持ちする焼きお菓子がたくさん入っていました。
「お菓子? まだいっぱいあるの?」
「ええ、でも木箱もありますから全て同じものではないと思いますよ」
「手紙を呼んでから見に行くわ。お店では邪魔でしょ?
2階の踊場にでも運んでおいて」
「畏まりました」
手紙は2通、1つはお母様から、もう1つはテオバルト様からでした。
先にお母様からの手紙を開くと、マルクスにくる前に相談していた事への回答でした。
我がジャルジェ領の中心にある大きな町マロクーリエに私の家はあります。
王都のタウンハウスから領地に戻るとまずはマロクーリエの本宅に寄り、そこからマルクスに来ることが常ですが、今回は長く留守にしたので商会が気になって、家には寄らずここへ戻ってきました。
いつもは王都やマロクーリエで流行っているものを調べてくるのですが、今回は時間も暇もなかったので、私よりも後から本宅に戻るお母様に王都とマロクーリエで流行っているお菓子は何か調べて欲しいとお願いして置いたのです。
そこでこのお菓子。
お母様の話では王都の貴族の間でナッツを使ったお菓子が人気になっているとか…
この国の流行は王族や高位貴族の方達が気に入った物をパーティーやお茶会で進めたり自慢したりした事で広がっていきます。
貴族の間で話題になるとそこから貴族の家で働く者たちに広がり、庶民にも拡がっていくのです。
王都で流行ったものは数日から数週間か数ヶ月かかって国全体にも拡がっていくのですが、マルクスの様な最南端まで王都の話が伝わってくるのは遅いですから、出来るだけ私が話を仕入れて来て、町の人にも伝えています。
今回はパン屋のおばさんに頼まれていたので、新しいお菓子の情報を仕入れてもらったと言う訳です。
「ナッツ類を使ったお菓子が流行りだしたのね…」
私は箱の中からお菓子を取り出して1つ食べてみる。
お母様曰く、いくら日持ちすると言っても王都のお菓子を送るのは時間が経ちすぎると思い、知り合いのパティシエのレシピを教えてもらい、我が家の料理人が作ったものを送って下さったようです。
「美味しい…今まであったクッキーよりナッツの量がとても多い」
たっぷりの砕いたアーモンドが入ったのクッキーはとても香ばしく、口の中に入れるとホロホロとほどける口溶けでとても美味しかった。
早速パン屋のおばさんに教えてあげよう。
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