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大丈夫

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「カイル」

ゆっくり私の前まで来たカイルは、ちょっと緊張しているように見えました。

「私にはエレーナはエレーナだよ。
最初にあった時のどこか寂しげな君にはそっと寄り添いたかったし、聖女セシリアとして皆を癒して頑張る君には敬愛の気持ちをもって見守りたかった。
今、聖女で侯爵令嬢のエレーナは全てを自分で乗り越えここにいる。
そんな君を私は誇りに思うよ。
そしてこれからも共に歩んで生きたい」

そう言ったカイルは私の前に跪く。
「好きだよエレーナ。
どうか私の伴侶となり一緒にこの国を私を支えてほしい」
そう言って手を差し出す。

この手を取ってもいいの?
一瞬弱気になった時大叔母様の声が聞こえた気がした。
「怖がらないで、もうあなたの心の傷は癒えているわ」
そんな声が。

私は勇気を出して手を取った。
「本当に私でいいのですね?
途中で破棄なんてされたら、私もう立ち直れない」

「そんなのあり得ないって分かっているだろ?
エレーナがどこか臆病になる気持ちは分かるけど、今までずっと君が苦しんでた所も見てきたんだ。
私はエレーナを傷付ける様な事はしないと誓うよ」
手を握りながら、立ち上がったカイルはしっかりと私を見つめながら言った。

そうよね、カイルはいつも私を理解して、側にいてくれたんだから彼はバイロンみたいな人ではないって分かっているのに、何を恐れていたんだろう。

「私もカイルとずっと一緒にいたい。
カイルのお嫁さんになりたい」


「エレーナ、愛してる!」
そう叫びながら、抱きしめられた。

「私も」

もう迷いはなかった。


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