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ごめんなさい

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風が心地いい。

目が覚めると、木陰で柔らかい敷物の上に横になっていたのだとわかった。

「気がついたかい」
ゆっくり体を起こしたら側で声が聞こえた。

「カイル… 私気を失ったの?
どのくらいたった?」


「1時間くらいかな。 最初はどうしようかと思ったよ。
パドックに知らせようか、馬で戻ろうか、いろいろ頭を巡ったけど、スウスウ寝息が聞こえたから、ちょっと様子を見てたんだ」

「ご、ごめんなさい。自分でもこんなに疲れると思わなくて…
ちょっと頑張り過ぎたみたい」

「あまり驚かせないで。
エレーナの好きにさせてあげたいけど、僕が近くにいるのにもしもの事があったら…」
カイルがとても苦しそうな顔をして、私を見る。

「ホントにごめん…」
どうしよう、凄く心配させてしまった。
確かにちょっとムキになって頑張っていた様だ。
神獣様に会ったのは偶然だけど、使命を貰ったようで頑張ってしまった。
一度は私を捨てた国に帰る事で余計に自分の価値を高めたかったのかもしれない。

「ここへ来てから全然君を守れない。君の力にもなれていない自分にちょっとイライラしてる。
何のために君と一緒に来たのか…」

悲しそうに笑うカイルを見て自分が一人で突っ走って大事な人を省みなかった事に気づいた。

「ごめん、ごめんなさい」
私はカイルに抱きついて、思い切り抱きしめる。

「エレーナ?」

「私、もう地味で目立たなかった要らない私じゃないって認めて貰おうとしていたの。
私は聖女で力を授かったから、本当はあなた達が欲しくてたまらない存在なんだって示したかった。
でも、決してこの国のモノにはなりはしないんだって。
馬鹿みたいよね?
そんな事をどうでもいい人達に見せつけて、私が一番大切な人が悲しがったら意味がないのに。
カイルごめんなさい」

「いいんだ、僕こそ弱音吐いてごめん。
もしも君の身に何かあったらどうしようって恐怖と、この国に来てあまりに頑張る君を見ていたら不安になったのかもしれない。
エレーナが本当に僕とまたパルフィートに帰ってくれるのかって。
君が僕の元からいなくなるなんて考えたくなかったから」

うん、うん、そうだね。
私はちゃんと帰るよパルフィートへ
あなたと一緒にみんなの待つあの国へ。

「もう無茶はしない。約束する」
私はカイルにそう誓った
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