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襲われた村

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魔物に襲われた村に着いた。

確かに酷い有り様で、家は瓦礫の様になり、周りの畑や木々は瘴気のせいか枯れたり腐ったりしている。
近くの川もヘドロや汚泥に溢れ、流れも止まっている。

村人達は果たして逃げれたのか、魔物に襲われてしまったのか…

どちらにしても人の気配は皆無の様だ。

「ひどいわね」

「ああ、この様な村がここだけではなく、あの先に見える森まで続いているわけか」
カイルは遠くにみえる森の影を見ながら行った。

「1日で全ては浄化出来そうもないわね…」

「え? エレーナまさか、荒廃した村を全て浄化するつもりか?
もう村人も、いない場所だぞ?」

「今はいなくても、いつか村を作り直す人達が出てくるかもしれないでしょ?
その時に土地が魔物の瘴気に汚染されていたら、困るじゃない」

「そうだけど、君がそこまでする必要があるのかい?
ゲルドー男爵は自業自得だろ?」

「確かに今ここはゲルドー男爵の領地だけど、きっとこの先は国の管理下になると思わない?」

多分ゲルドー男爵は何らかの処罰の対象になるだろう。
そして領地も没収される。

でも、ここに、住んで生活している人達がいなくなる訳ではない。
彼らに取っては、自分達の住む地を治める人物が代わるだけなのだ。

民はどうせ代わるならより良い地にしてくれる人を望むだろう。

そして領地の復興を早められれば、民のためになる。

「私はゲルドー男爵の為にするのでも、国の為にするのでもないの。
ここで生きている民の為に少しでも早くこの地が元の平和な場所に戻る様にしたいの」

私はこの気持ちが胸の奥にある私の力の源を揺り動かしてくれるのを感じた。
そしてそこからあたたかな力が溢れ出してくるのを。

その力をしっかり歌に乗せて魔力を解放する。
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