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呪の処理

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邸に入った途端周りのトーンが一段暗くなったような錯覚に落ちた。

本当なら邸の方が灯りが所々にあるから明るい筈なのに。

これがパドック様の言った重い空気と言うことかしら?

二階に上がって突き当たり奥にある部屋。
両開きの扉は両方とも開け広げられている。
その両側にパドック様の部下が2人立っていた。

「様子は?」
パドック様の問いに変わらないと答える2人の顔色はよくなかった。

普通の防御魔法だとやっぱりきついのかしら?
私は2人に聖女魔法を上から掛けます。

「あっ」「ふー」
みるみる顔色が良くなる。
「大丈夫?」

「はい、ありがとうございます」
「エレーナ様の力ですか? とても楽になりました」

「中には外に誰か付いてるのか?」

「いえ、今は誰も。
入り口はここだけですし、ここからでもベッドは見えますので」

部屋に足を踏み入れる。
また目に見えない闇が深くなったのを感じる。

私はゆっくり目の前のベッドへ近付く。
大きなベッドの、真ん中に細い枝きれの様な女が横たわっていた。

女だよね? この人がサリーナだよね?

私は着ている寝間着と、長い髪で女だと認識したに過ぎなかった。

顔は半分以上が爛れて判別がむずかしかったし、これで本当に生きているのかと疑う程だった。

胸が微かに上下している事で生きていると辛うじてわかった。

「男爵はどこに?」
隣にいるパドック様に聞く。
「あそこで横たわっている」

示された先にはサリーナが寝ているベッドの半分もない細い長椅子に項垂れた様に横たわっている。

「彼は怪我をしているの?」

「大した怪我ではない。
しかし使用人と違いずっとサリーナについてここに居る事でどんどん呪いに蝕まれているようだ」

なるほどね。

この部屋に入って来て分かった事がある。
この部屋の呪いによる空気の重さと人に与える影響を私はついこの前体験したばかりだと言う事。

それは穢れてしまった神獣の森に行った時。
あそこの無垢な気が邪な物に変わったから、ああなった訳ではなかったのね。
あそこには神獣様の怒りと憎しみの呪が影響していたんだ。

だとすれば、ここはやっぱりあれの出番かな。
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