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気の溜まり
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「そうだ、あの者達が破った結界を魔導士に直してもらいたかったのだ。
大掛かりで広範囲の結界を張っているので、我が勝手に手を加えると逆に脆くなりそうなのだ」
神獣様が言うには、人間が使っている魔法の展開方式と神獣様のものとでは似ているモノと反発するものがあるらしい。
様は2つは似て非なるものだから、お互いに力を混ぜない方がいいみたい。
「では、私の力ではどうでしょう?
神獣様、そこへ連れて行ってください。
ちょっと見て下手に手を出さずパドック様の方が最適だとわかったら、内側から破られたところを覆うように違う結界を張ります」
「成る程、そうだな。
そのままにして置くよりは、そこだけ別の結界で補強する方がより安全だ。
後から落ち着いた頃に魔導士にお願いすればよかろう」
私達はまた神獣様の背に乗せられてゲルドー領と森の境を目指します。
同じ森なのに私が入ってきた場所より数段薄暗くて、何だかどんよりしています。
先程、神獣様とお会いした開けた場所とは到底同じ森の中とは思えない重い気です。
「神獣様、ここは随分気が重いですね。 ちょっと刺激すれば魔物が飛び出しそうです」
「聖女もそう感じるか? あの辺だ、一段と邪気が溜まった場所があるだろう?
あそこに無垢な気の溜まりがあったのだ、そこを魔女が踏み荒らした途端あのように変貌し、魔物が涌き出てあの破れた結界より出ていったのだ」
神獣様が教えてくれた場所はどす黒い気が漂う最も暗い場所だった。
「これって、このままにしとくのは不味いですよね?」
「まあな、だが我の力は使えないのだよ」
神獣様がいくらとても大きな力を持っていても、無垢な気に関しては手を出せないらしい。
昔からの決まりだと、残念そうだ。
神様たちには神様のルールがあるのだろ。
「実はこれも聖女にお願いしたかった事なのだ。
是非力を貸してくれ」
それは勿論このままにして置く訳には行かない。
まかり間違ってもう一度邪な人間がここへやって来たら、取り返しの付かない事になりそうだ。
でも、気の溜まりだけでなく周りもどんどん悪い気の方に侵食されて広がっている気がする。
神獣様に聞くと、森自体も良くても悪くても強いモノに寄っていってしまう性質があるらしい。
これはチマチマと力を使っていては終わらなそう。
どうしようかな?
大掛かりで広範囲の結界を張っているので、我が勝手に手を加えると逆に脆くなりそうなのだ」
神獣様が言うには、人間が使っている魔法の展開方式と神獣様のものとでは似ているモノと反発するものがあるらしい。
様は2つは似て非なるものだから、お互いに力を混ぜない方がいいみたい。
「では、私の力ではどうでしょう?
神獣様、そこへ連れて行ってください。
ちょっと見て下手に手を出さずパドック様の方が最適だとわかったら、内側から破られたところを覆うように違う結界を張ります」
「成る程、そうだな。
そのままにして置くよりは、そこだけ別の結界で補強する方がより安全だ。
後から落ち着いた頃に魔導士にお願いすればよかろう」
私達はまた神獣様の背に乗せられてゲルドー領と森の境を目指します。
同じ森なのに私が入ってきた場所より数段薄暗くて、何だかどんよりしています。
先程、神獣様とお会いした開けた場所とは到底同じ森の中とは思えない重い気です。
「神獣様、ここは随分気が重いですね。 ちょっと刺激すれば魔物が飛び出しそうです」
「聖女もそう感じるか? あの辺だ、一段と邪気が溜まった場所があるだろう?
あそこに無垢な気の溜まりがあったのだ、そこを魔女が踏み荒らした途端あのように変貌し、魔物が涌き出てあの破れた結界より出ていったのだ」
神獣様が教えてくれた場所はどす黒い気が漂う最も暗い場所だった。
「これって、このままにしとくのは不味いですよね?」
「まあな、だが我の力は使えないのだよ」
神獣様がいくらとても大きな力を持っていても、無垢な気に関しては手を出せないらしい。
昔からの決まりだと、残念そうだ。
神様たちには神様のルールがあるのだろ。
「実はこれも聖女にお願いしたかった事なのだ。
是非力を貸してくれ」
それは勿論このままにして置く訳には行かない。
まかり間違ってもう一度邪な人間がここへやって来たら、取り返しの付かない事になりそうだ。
でも、気の溜まりだけでなく周りもどんどん悪い気の方に侵食されて広がっている気がする。
神獣様に聞くと、森自体も良くても悪くても強いモノに寄っていってしまう性質があるらしい。
これはチマチマと力を使っていては終わらなそう。
どうしようかな?
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