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「お待たせ、カイル。
遅れてごめんなさい」

「別に遅くないさ。さあ、どこから行こうか?
何度もアランソルの城下には来ているから、邸や城にいることの多かった侯爵令嬢の君より町には詳しいと思うぞ」

カイルはそう言ってくれたけど、絶対待たせたわよね。

私はお父様と随分話し込んでしまっていた。
外で待っていた侍女達が申し訳なさそうに頼んでいた町に行けそうな軽装のワンピースを持って来て、声をかけてくれた事で慌てて支度をして出てきたのだ。

父にはゲルドー領から戻ったら1度侯爵家に戻ると約束をして別れた。

父と和解も出来て気持ちもスッキリ新たな力も沸き上がる様です。

「うーん。何か冒険者までとはいかなくても、旅をするのに適した服装を考えたいな」

王都に戻るつもりだったので、普通のワンピース姿だった私ですが、明日からは最果ての地までの旅ですし、いくら神獣様と一緒とか、聖女の力もやパドック様の魔法があるとしても、場違いなヒラヒラした格好は違う気がする。

「そうだな、じゃあ冒険者ギルドに行って聞いてみるか、この国は結構女性の冒険者も多いし、気軽に普通の人も近くの森に素材集めに行くらしいから」

「そうなの? 私全然知らなかった」

「まぁ貴族令嬢は普通そんなこと知らないだろ」

そう言うあなたは隣国の王子様ナンですけどね。
まったく、直ぐに自分の立場を忘れて庶民の様な仮面を被るんだから。
どっちのカイルもカッコいいけど…

!?やだ、私ったら何を考えてるのかしら。

赤くなった顔をカイルに気づかれないようにうつむきながら話しているうちにギルドに着いたようです。
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