婚約破棄された悪役令嬢が実は本物の聖女でした。

異常に速い神獣の移動

「まるで風にでもなったみたいですね」
今、私達は神獣様の背に乗せられて空を飛んでいる状態です。

見た目は犬か狼の様な出で立ちなのに、なぜ翔べるのか？
考えても仕方ないけど、不思議です。
ドラゴンとかなら翼もあって分かりやすいのに。

背に乗っているのは私とカイル、パドック様の３人です。

セレンは教会に残るし、ルネさんはパドック様の部下達とパルフィートの護衛騎士達を連れてゲルドー男爵領の近くまで移動してもらいました。

王都に向かうのは私達３人だけです。
国王陛下からは直ぐに返事が来て、国の外れの森に神獣がいたことに驚かれながらも、歓迎の意を伝えてこられました。

それを確認した私達は直ぐに出発しました。

１時間後、向かっている空に小さく建物が見えてきました。

「あれって王都ですよね？　思ったより早くないですか？」

「王都で間違いありませんね。
エレーナ様に聖女の保護魔法をかけて頂いているので風の抵抗がそよ風程度に感じているから速さの感覚が麻痺しているのでしょう。
私達随分と速いスピードの中移動していますよ。
本来なら背中から吹き飛ばされていてもおかしくないです」
とパドック様が教えてくれました。

なるほど、自分で魔法を使っておいてなんですが、私としては落ちないように神獣様の背中と自分達を離れないようにするイメージと風抵抗を緩和するイメージを一緒に使ってみた結果なんですけどね。

「言われてみれば、周りの景色の流れ方が異常に速いな」とカイルもパドック様の言った事に納得しています。

王都到着は思ったより早そうです。