婚約破棄された悪役令嬢が実は本物の聖女でした。

ゆうゆう

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林の中の泉(2)

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林の中心に近付くとパドック様も何か感じた様子です。
「確かにエレーナ様が言う様に何かおかしな気配がありますね」

「パドック様は何だと思いますか?」

「うーん、何だろう。魔物の気配とは違うような… どちらかと言えば精霊や妖精などの自然霊の類いの気配に近いと思いますが… 明らかに怒りや恨みの波動の様です」

流石、魔法省の長であるパドック様です。
私もパドック様の感じたものと同じ印象です。

「概ね私の見解と一緒です。
獣、魔物の気配にしては清らかと言うか、神々しい何かが混ざっていると言うか」
私は立ち止まり皆に向けて話します。
「セレンそろそろ泉の場所ですよね?」

「ええ、そうです」

「ここで隊列を整えたいわ、思ったより何が起こるか分からない状況よ。
カイル、ルネさんセレンをお願いね。
パドック様、私の支援お願いします」

「「わかった」」「わかりました」

枯れてしまった泉に着いた。

林の中の開けた草むらの中に、半径5メートル程の大きさの乾いた粘土質の地面が剥き出しになっている場所。

ここから水が沸きだしいつも青々とした水を湛えていたと言う。

泉の跡に先程の気配はなかった。

私は泉の前に立ち、周辺を探る様に聖女の力を地面スレスレから流していく。
霧が周りを這い回る様にゆっくりと広がる力。

「パドック様、前方右側に先程の気配を感じます」
私が言うとパドック様もそちらに意識を向けて、構えます。

私もそちらに多くの魔力を送ります。
その時、何かが飛び出して来ました。

私達とそれは泉のこちら側とあちら側で対峙している状態です。

「なんだ?あれは…」
カイルが言います。

真っ白い体に大きな青い瞳をもつ美しい生き物… 狼とも狐とも熊とも違う…

「神獣か?」
パドック様が呟く。

その時頭の中に声が響いた。

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