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父の喜びと苦悩

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「パドック、我は子供の育て方を間違えたのかもしれんな…」
そう言われたパドックも返事に困ってしまった。

三者三様気まずい雰囲気の中、兵士がやって来てパシュレーヌ侯爵来訪をつげました。

入ってきたパシュレーヌ侯爵はバイロンにチラッと目線を向けた後、ゲルハルト国王に向かい挨拶をしました。

「パシュレーヌ侯爵、今日呼んだのはエレーナ嬢のことだ。
隣国パルフィートでエレーナ嬢の無事が確認された。
その報告を今、魔導士パドックに受けていたところだ」

「なんと、陛下のおっしゃった通り娘は生きておりましたか…」
パシュレーヌ侯爵は驚きと喜びでなんとも言えない顔をしたが国王の御前であるが為、感情を抑えようと必死な様子だ。

「侯爵、我に気を遣う必要はない。
愛する娘が生きておったのだ、存分に喜べ」

「あ、ありがとうございます。

パドック殿、世話をかけた。
お礼を言わせて貰う。
エレーナに怪我などはないのだろうか?」

「ええ、お元気ですよ。
こちらに侯爵宛の手紙も預かっております」
パドックはパシュレーヌ侯爵に手紙を渡します。

「おお、エレーナから私に手紙が…」

「はい。
エレーナ嬢はやはり聖女に覚醒されていて、大叔母であるマリナ聖女の元に庇護され、そこで聖女としての修練を積んでおりました。
また、マリナ聖女の元でこのまま過ごされたい。
そして1度アランソルへ戻り国王陛下とパシュレーヌ侯爵に挨拶をしたいと言っておられます」

「やはりエレーナは私を許してはくれないか…」
と落胆する侯爵。

「エレーナ嬢には、パシュレーヌ侯爵が魔法にかかり正気ではなかった事も伝えております。
 親子の誤解は解けておりますが聖女になってしまったエレーナ嬢には考える事があるのでしょう」
パドックが取り成すようにいいました。
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