婚約破棄された悪役令嬢が実は本物の聖女でした。

ゆうゆう

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もうセシリアにはなりません

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「待ってくれ、本当にエレーナなのか?」
終わった話を蒸し返してくるバイロン様。

「バイロン、何を言っている」
パドックがまだ諦められないのかと言いたげに聞きます。

「私をからかっているだけなのだろう?
聖女マリナ、あなたがエレーナに何かしてセシリアに変身させたのではないのか?
本当はちゃんとセシリアは別人で存在しているんだろ?」

うーん。信じたくない気持ちは分かるけど、エレーナとセシリアを別人にするために大叔母様が力を使ったと言う考えに至ったのか。


「確かに先程、あなた方の考えが分からなかったから、エレーナがいる事も黙っていたと言いましたね。
だとすれば、エレーナがいることを隠す為にセシリアと言う偽名を付けて変身させていたと考えられませんか?」
と諭すように言う大叔母様。

「偽名? 本当にセシリアは存在しないのですか?」
もうバイロン様は涙目になって大叔母様にすがりつきそうな勢いです。

「存在ねぇ、そこにいるセシリアは紛れもなく存在しているじゃありませんか。
ただもともと外見がエレーナでも、セシリアでも中身は1人だったと言うだけですよ。
あなただって、王子としてのバイロンと本当のバイロンでは周りに見せている姿は違うでしょ?
それと大差ないですよ」
大叔母様すごい煙の巻き方ですね。
なるほどと言ってしまうところでした。

「大差ないって… 」
本当にバイロン様が泣きそうです。

「あなは心の美しさが1番で聖女であるセシリアは心が美しいはずでその上容姿も美しいから好きだったのよね?
でも、中身が大事なんでしょ?
心の美しさが1番なら、見た目がセシリアでも、エレーナでもいいじゃない。
中身は一緒だもの」
と大叔母様は意地悪をいいました。


「どっちでも一緒な訳ないだろ。
私はセシリアを好きになったんだ。
彼女の姿形が好みなんだ。
中身より容姿が大事に決まってるじゃないか!
私のセシリアを返してくれよー!
わぁ~ん」

あ~あ~
とうとう泣き出しちゃった。

そして本音が出ちゃったな~
私は見た目が全てだって。

いくらセシリアの前で繕って見せていても私は見た目が好きって駄々漏れでしたもんね。


「大叔母様の言う通りアランソルからの追手が掛かっていたら困るからセシリアと言う偽名を作り容姿を、変えていました。
でも、もう隠れる必要もないですよね?パドック様」

「え? はい、ありません」
いきなりパドック様に振ってごめんなさいね。

「パドック様も保証してくださいましたので、もうセシリアになる事はありません。
私はあなたが気に入ってくれなかったエレーナとして生きていきます。
私はこの国に来て、大叔母様とカイラード殿下のお陰で今の自分に自信が持てました。
私はやっとエレーナの容姿が好きになれました。
もうあなたには振り回されません」

とバイロン様の前で宣言して、私はセシリアの姿を解きエレーナに戻りました。


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