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バイロン様の謝罪?
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「エ、エレーナ元気だったか?
その、私がリリアーヌの魅了にやられていた事は知っているだろうか?」
カイルとパドック様の話しているのを何気なく見ていると、バイロン様がいきなり話し掛けてきました。
この人はいつもいつも…
この前セシリアと会った時もそうだった。
周りを気にしてないというか、空気を読まないというか、自分が話したい時に自分のタイミングのみで話し出すから唐突な感じになってしまう。
そう言う意味では正に王子様なのね。
王子様には周りが気にしてくれて、忖度が働くものね。
皆が自分に注目しているのが当たり前だから、いつでも自分のタイミングて話をすればいいんだもん。
でも、もう王子じゃないから変な空気になるのね。
と質問されているのに考えに沈みそうになってしまった。
「エレーナ?」
そっと大叔母様が握っている手に力を入れている。
私がバイロン様の前で緊張したと思われたのかな?
私は大叔母様を見てニッコリ笑って頷くと、バイロン様向き直りカーテシーをしてみせました。
「お久しぶりです。バイロン様
お陰さまでこうして生きております。
リリアーヌの事は聞いておりますわ。
お父様にも魔法を掛けて操っていたなんて、怒りで私が魔法を使ってしまいそうですわ」
と冗談のつもりで言いましたが、バイロン様は顔を青くしています。
「魅了魔法に掛かっていたとは言え、エレーナには申し訳ない事をした。
そもそも私は王都追放なんて考えていなかったのに、あの時もリリアーヌがお前の事を怖がった途端何だか怒りが湧いて来て、国外れの修道院へ入れると言ってしまったんだ。
それにまさか修道院へ行く途中で魔物に襲われるとは思ってもいなかったのだ。
父上から聞いた時には流石にショックで目の前が真っ暗になったよ。
エレーナが生きていてくれて、本当に良かった」
とバイロン様は早口で捲し立てました。
今のは一応謝罪したつもりかしら?
最初に申し訳ないって言葉があったからそうなのよね?
でも、言い訳にしか聞こえなかったのだけれど…
「バイロン様は魅了魔法などに掛かっていなければ、婚約破棄も追放もしなかったと仰るのですか?」
私はバイロン様につっこんで聞きます。
意地悪な質問かしらね。
「それは…」
バイロン様はもともと王子である。
わざわざ嘘をついたり、小狡い事を考える必要がない。
だから、取り繕うように素直に即答出来ず言い澱んでしまう。
「まあ今さらそんな事聞いた所で私達の婚約が戻る訳ではありませんでしたわね」
と言うと、あからさまに安堵している。
やれやれ。
私がため息をついたその時
「マリナ様、セシリア嬢も呼ぶのではありませんでしたかな?」
と私達のやり取りを聞いていたパドック様が大叔母様に向かって囁きました。
━━━━━━━━━━━━━━
お読み頂きありがとうございました。
本日より、「不貞の濡れ衣を着せられて婚約破棄されましたがお陰で素敵な恋人が出来ました」
の投稿始めました。
よろしければ、そちらも一読いただけると幸いです。
よろしくお願いいたします。
その、私がリリアーヌの魅了にやられていた事は知っているだろうか?」
カイルとパドック様の話しているのを何気なく見ていると、バイロン様がいきなり話し掛けてきました。
この人はいつもいつも…
この前セシリアと会った時もそうだった。
周りを気にしてないというか、空気を読まないというか、自分が話したい時に自分のタイミングのみで話し出すから唐突な感じになってしまう。
そう言う意味では正に王子様なのね。
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皆が自分に注目しているのが当たり前だから、いつでも自分のタイミングて話をすればいいんだもん。
でも、もう王子じゃないから変な空気になるのね。
と質問されているのに考えに沈みそうになってしまった。
「エレーナ?」
そっと大叔母様が握っている手に力を入れている。
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私は大叔母様を見てニッコリ笑って頷くと、バイロン様向き直りカーテシーをしてみせました。
「お久しぶりです。バイロン様
お陰さまでこうして生きております。
リリアーヌの事は聞いておりますわ。
お父様にも魔法を掛けて操っていたなんて、怒りで私が魔法を使ってしまいそうですわ」
と冗談のつもりで言いましたが、バイロン様は顔を青くしています。
「魅了魔法に掛かっていたとは言え、エレーナには申し訳ない事をした。
そもそも私は王都追放なんて考えていなかったのに、あの時もリリアーヌがお前の事を怖がった途端何だか怒りが湧いて来て、国外れの修道院へ入れると言ってしまったんだ。
それにまさか修道院へ行く途中で魔物に襲われるとは思ってもいなかったのだ。
父上から聞いた時には流石にショックで目の前が真っ暗になったよ。
エレーナが生きていてくれて、本当に良かった」
とバイロン様は早口で捲し立てました。
今のは一応謝罪したつもりかしら?
最初に申し訳ないって言葉があったからそうなのよね?
でも、言い訳にしか聞こえなかったのだけれど…
「バイロン様は魅了魔法などに掛かっていなければ、婚約破棄も追放もしなかったと仰るのですか?」
私はバイロン様につっこんで聞きます。
意地悪な質問かしらね。
「それは…」
バイロン様はもともと王子である。
わざわざ嘘をついたり、小狡い事を考える必要がない。
だから、取り繕うように素直に即答出来ず言い澱んでしまう。
「まあ今さらそんな事聞いた所で私達の婚約が戻る訳ではありませんでしたわね」
と言うと、あからさまに安堵している。
やれやれ。
私がため息をついたその時
「マリナ様、セシリア嬢も呼ぶのではありませんでしたかな?」
と私達のやり取りを聞いていたパドック様が大叔母様に向かって囁きました。
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お読み頂きありがとうございました。
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よろしくお願いいたします。
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