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とうとう対面です
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カイルが手振りで隣の部屋へ移動を促します。
私は頷きながらカイルの後をついて行きます。
コンコン
「マリナ様。
エレーナ嬢をお連れしました」
ドア越しにカイルが声を掛けます。
「どうぞお入り下さい」
大叔母様は許可をくれました。
「失礼いたします」カイルがいい部屋に入ると、大叔母様が立ち上がりこちらに近付いてきました。
大叔母様は私の手を取り、そしてカイルの紹介をしました。
これまではセシリアの付き人の様にひっそりと部屋の隅に佇んでいた人物ですから、パドック様たちも今日のカイルの出で立ちは気になるところでしょう。
「ご紹介いたしますね。
この国の第二王子。カイラード殿下です」
「え? 殿下?」「なんだって、第二王子…」
「パルフィート国第二王子のカイラードだ。
アランソルの魔導士殿、バイロン殿挨拶が遅れて申し訳なかった。
マリナ様から理由は聞いていると思うがエレーナ嬢を守るためだったのだ許してほしい」
そう言ったカイルはいつもとは違って堂々として、とても威厳のある様子です。
バイロン様をチラッと見ます。
呆気に取られたようにカイルを眺めています。
一応この人だって同じ王子だったのよね。
目の前のカイルと比べると、今は見る影もない。
まぁカイルもいつもは王子としての品格や威厳は隠しているけど、いざっと言う時は全開で出せるのは流石ね。
バイロン殿、隣国の王子の前なんだから、いくら元とは言えもう少しマシな態度を取って下さいよ。
「カイラード殿下はエレーナを助けてここまで連れて来てくれた恩人なの」
大叔母様は私が魔物に襲われて覚醒したのはパドック様の予想通りでその後たまたま国境近くてカイラード殿下に保護されたと言う事にして、説明してくれました。
「そうですか、カイラード殿下ありがとうございました。
アランソルを代表してエレーナ嬢を助けて頂いた事にお礼を申し上げます」
パドックがカイルに頭を下げました。
「いや、もともと私はマリナ様と面識もあり、この国で聖女は神にも等しく大切にされる者だから、エレーナ嬢を保護し丁重に扱うのは当たり前のことだ」
とカイルは感情を表に出さず淡々と会話をしています。
「正直、エレーナ嬢を探していると聞いた時はこちらもどんな目的で探しているのか分からなくて素直に話せなかった。
だから、マリナ様に会って頂いたのだ」
「私共を信用してくださったと思っていいのですね?」
とパドックがカイラード殿下に念を押します。
「そうだな。マリナ様がそうおっしゃるのだから、間違いないと思っている」
「なるほど」
お互い聖女様に対しての信用度高い者同士だから分かり合っているような雰囲気ですね。
私は頷きながらカイルの後をついて行きます。
コンコン
「マリナ様。
エレーナ嬢をお連れしました」
ドア越しにカイルが声を掛けます。
「どうぞお入り下さい」
大叔母様は許可をくれました。
「失礼いたします」カイルがいい部屋に入ると、大叔母様が立ち上がりこちらに近付いてきました。
大叔母様は私の手を取り、そしてカイルの紹介をしました。
これまではセシリアの付き人の様にひっそりと部屋の隅に佇んでいた人物ですから、パドック様たちも今日のカイルの出で立ちは気になるところでしょう。
「ご紹介いたしますね。
この国の第二王子。カイラード殿下です」
「え? 殿下?」「なんだって、第二王子…」
「パルフィート国第二王子のカイラードだ。
アランソルの魔導士殿、バイロン殿挨拶が遅れて申し訳なかった。
マリナ様から理由は聞いていると思うがエレーナ嬢を守るためだったのだ許してほしい」
そう言ったカイルはいつもとは違って堂々として、とても威厳のある様子です。
バイロン様をチラッと見ます。
呆気に取られたようにカイルを眺めています。
一応この人だって同じ王子だったのよね。
目の前のカイルと比べると、今は見る影もない。
まぁカイルもいつもは王子としての品格や威厳は隠しているけど、いざっと言う時は全開で出せるのは流石ね。
バイロン殿、隣国の王子の前なんだから、いくら元とは言えもう少しマシな態度を取って下さいよ。
「カイラード殿下はエレーナを助けてここまで連れて来てくれた恩人なの」
大叔母様は私が魔物に襲われて覚醒したのはパドック様の予想通りでその後たまたま国境近くてカイラード殿下に保護されたと言う事にして、説明してくれました。
「そうですか、カイラード殿下ありがとうございました。
アランソルを代表してエレーナ嬢を助けて頂いた事にお礼を申し上げます」
パドックがカイルに頭を下げました。
「いや、もともと私はマリナ様と面識もあり、この国で聖女は神にも等しく大切にされる者だから、エレーナ嬢を保護し丁重に扱うのは当たり前のことだ」
とカイルは感情を表に出さず淡々と会話をしています。
「正直、エレーナ嬢を探していると聞いた時はこちらもどんな目的で探しているのか分からなくて素直に話せなかった。
だから、マリナ様に会って頂いたのだ」
「私共を信用してくださったと思っていいのですね?」
とパドックがカイラード殿下に念を押します。
「そうだな。マリナ様がそうおっしゃるのだから、間違いないと思っている」
「なるほど」
お互い聖女様に対しての信用度高い者同士だから分かり合っているような雰囲気ですね。
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