婚約破棄された悪役令嬢が実は本物の聖女でした。

ゆうゆう

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対面(2)

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「あ、あのセシリア嬢はこの国の方ですか?」
唐突にバイロンが大きな声で質問をしてきた。

「え? いいえ、違います。他国から聖女様を頼ってきました」

私達は今日の事を相談した時に決めたことがある。知られたくない事以外は本当の事を言う。

嘘を塗り固めると逆に脆くなると大叔母様が言ったからだ。

だから、エレーナと言う名前とアランソル出身と言う事は伏せて、本当の事を言った。

今のようないきなりの質問も嘘を言う気がないと、びっくりはしたけど挙動不審になったり言い淀んだりはしなくて済んだ。

パドックも何をいきなり大声を出しているのかと睨みながら、話を続けた。
「この国の方ではなかったのですね。どこの出身なのですか?」

「すみません、それは教えられません。私も祖国から逃れて来た身なので」

「え?」

「覚醒によって捕まりそうになり、逃げてきました。私の国では聖女と言う言葉はないに等しいのでこの国で聖女と呼ばれていても私だとは思われないと思います。
しかし国が分かれば怪しまれます。
あなた方が言いふらすと思っている訳ではありませんが、念には念を入れておきたいのです。
失礼とは承知していますが、お許し下さい」

「そうでしたか… いや、こちらも失礼しました。
そう言った理由なら無理強いするつもりはありません」

「ありがとうございます」

「セシリア嬢は貴族の出ですか?」
またバイロンが質問してきた。

「確かに貴族でした。しかし家から絶縁されましたので、今はただのセシリアです」

「そ、そうですか、し、失礼しました」
バイロンをしっかり見つめて答えれば、相手の方がどぎまぎと狼狽える。


「あの、もうよろしいでしょうか?
シスターの手伝いの途中でして…」
今度はパドックに視線を移して言います。

「すみません、お忙しいのにお呼びして、ありがとうございました」
とパドックが終了を了承してくれる。

「え、もう…」バイロンの呟きが聞こえたけれど、無視をしてお辞儀をして退出する事にします。
「それでは失礼いたします」

壁際に黙って控えていたカイルと共に部屋を出た。

バイロンは未練がましく、セシリアが出て行ったドアを見つめていた。
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