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心の澱
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「一目惚れって…
何ですか!それは!」
怒りで、大声をあげてしまいました。
「セシリア、落ち着け。
別に何かされた訳ではないだろ」
とカイルに宥められました。
「だって、散々人の事を地味だ、華がない。暗いだ、陰険だと文句しか言うことがなかった相手に一目惚れって…」
「だから落ち着け、ひどい事を言われていたエレーナと今のお前は別人の様な見た目なんだから」
「そんな事は分かっているわよ。
でも、中身は一緒なの。
私はずっと栗毛色の平凡な顔立ちのエレーナのままなのよ。
今さらバイロン様が美しいだの、可憐だの言ってきても虚しいだけよ。
言われれば言われる程心が冷えて怒りがこみ上げてくるわ」
そのくらい、長い間苦しめられて来たバイロン様の言葉。
呪文の様に私をがんじがらめにしてどんどん笑えなくなっていった。
私は気が付かないうちに立ち上がり怒りのあまり体が震えていました。
大叔母が何も言わずに、その私をそっと抱きしめて背中を擦ってくれました。
「お、大叔母様…」
「大丈夫よ。落ち着いて、あなたの傷ついた心はもう癒されているの。
今の怒りは心の底に残ってい澱の様な物です」
心の底のお‥り…
淀んだ感情が生んだ澱。
「さぁ、大きく息を吸って吐き出しなさい。
あなたはもう彼に傷つけられる事も干渉される事もないわ」
私は思い切り息を吸って吐き出しました。
「ごめんなさい。
バイロン様が見たこともないような様子で聖女に覚醒した私に会いたいと言っていたのを思い出したら、腹が立って腹が立って」
人の美醜に対してあんなに態度を変えるバイロン様が愚かに見えつつ、あの頃のエレーナが、私が不憫過ぎて…
「ええ、分かっていますよ。
あなたは何も悪くないのですから。
だけど今は、あなたの気持ちは心にしまっておきましょうか。
これからの事を考えなくてはいけないのだから」
そ、そうだった。
2日後にまたバイロン様はここに来るのだから、これからどうするか考えなければいけなかった。
「そうでしたね… もう大丈夫です。
カイルもごめんなさい」
私達の様子を見守っていてくれたカイルにも謝ります。
「いや、私はあの頃のエレーナも素敵だと思っているから、それを忘れないでいてほしい」
そうボソッっと言われました。
ありがとうカイル。
澱を吐き出した心の底にカイルのあたたかい気持ちが染みるようです。
何ですか!それは!」
怒りで、大声をあげてしまいました。
「セシリア、落ち着け。
別に何かされた訳ではないだろ」
とカイルに宥められました。
「だって、散々人の事を地味だ、華がない。暗いだ、陰険だと文句しか言うことがなかった相手に一目惚れって…」
「だから落ち着け、ひどい事を言われていたエレーナと今のお前は別人の様な見た目なんだから」
「そんな事は分かっているわよ。
でも、中身は一緒なの。
私はずっと栗毛色の平凡な顔立ちのエレーナのままなのよ。
今さらバイロン様が美しいだの、可憐だの言ってきても虚しいだけよ。
言われれば言われる程心が冷えて怒りがこみ上げてくるわ」
そのくらい、長い間苦しめられて来たバイロン様の言葉。
呪文の様に私をがんじがらめにしてどんどん笑えなくなっていった。
私は気が付かないうちに立ち上がり怒りのあまり体が震えていました。
大叔母が何も言わずに、その私をそっと抱きしめて背中を擦ってくれました。
「お、大叔母様…」
「大丈夫よ。落ち着いて、あなたの傷ついた心はもう癒されているの。
今の怒りは心の底に残ってい澱の様な物です」
心の底のお‥り…
淀んだ感情が生んだ澱。
「さぁ、大きく息を吸って吐き出しなさい。
あなたはもう彼に傷つけられる事も干渉される事もないわ」
私は思い切り息を吸って吐き出しました。
「ごめんなさい。
バイロン様が見たこともないような様子で聖女に覚醒した私に会いたいと言っていたのを思い出したら、腹が立って腹が立って」
人の美醜に対してあんなに態度を変えるバイロン様が愚かに見えつつ、あの頃のエレーナが、私が不憫過ぎて…
「ええ、分かっていますよ。
あなたは何も悪くないのですから。
だけど今は、あなたの気持ちは心にしまっておきましょうか。
これからの事を考えなくてはいけないのだから」
そ、そうだった。
2日後にまたバイロン様はここに来るのだから、これからどうするか考えなければいけなかった。
「そうでしたね… もう大丈夫です。
カイルもごめんなさい」
私達の様子を見守っていてくれたカイルにも謝ります。
「いや、私はあの頃のエレーナも素敵だと思っているから、それを忘れないでいてほしい」
そうボソッっと言われました。
ありがとうカイル。
澱を吐き出した心の底にカイルのあたたかい気持ちが染みるようです。
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