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バイロン視点(2)

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バイロンは小屋に戻った後もずっと考えていた。

エレーナは栗毛色の髪をしていた。
自分はよくその事にも文句を言った。
アランソルの貴族では、ブロンドやプラチナブロンドの者が多いが茶髪も結構いる。
私は自分の婚約者はプラチナブロンドがよかった。
だから、そのまま文句を言った。
エレーナの瞳は、淡い青だった。
でも、私は自分の婚約者はエメラルドのような翠目がよかった。
だから、エレーナに文句を言った。

エレーナはいつも悲しそうな顔をして下を向いた。
それも気に食わなかった。

なんで、気に食わなかったんだ?
なんで、プラチナブロンドでエメラルドの瞳がよかったんだ?

よく考えたら、リリアーヌだってプラチナブロンドでもエメラルドの瞳でもなかったよな?
どうして私はエレーナにそれを求めて会うたびに、文句を言っていたのだろう…

今更ながらに、その理由が分からなかった。

でも、その変なこだわりのせいで、今のような状態を招いたんだよな…

「はあー」
自分が情けなくて、ため息がでた。

「帰って来てからずっとおとなしいですね」
パドックがもらった栞を調べながら聞いてきた。
帰って来てからずっと机の上に栞を置いて眺めたり触ったりひとりでぶつぶつ言っていたパドックだった。


「別に何でもないよ」

「そうですか、それならいいですけど」
興味が逸れたパドックは、また栞に向かった。


ただリボンで作った栞だろうに、何がそんなに気になるのか。

バイロンは窓の外の教会を眺めながら、また考えに耽る。

エレーナの大叔母だと言うあの貴婦人… 本当に神々しい美しさの人だった。
でも、思い出したエレーナには似ていなかった。

この前、出会った少女にはよく似ていると思った。
あの少女に十数年後会ったらまさにあんな感じではないだろうか?

そう想像出来る位には似ているのだ。

きっとあの少女と聖女様は血の繋がりがあるに違いない。
となれば、あの少女とエレーナは、はとこになるのかな?

あの少女は金髪だけど、ただの金髪という感じではなかった。
1本1本が内側から輝いているようなハニーブロンド。
瞳は鮮やかなハッキリした青だけど、それが光の加減で七色に輝いていた。
あれは、理想の婚約者像よりも最高だと思った。

やはりもう一度会いたい。

まだ栞を調べるパドックを横目にバイロンは1人そっと部屋を出ていった。
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