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バイロン視点
しおりを挟む「こんにちは、今日は教会のイベントにご参加頂きありがとうございます。どちらから来られたのですか?」
大聖堂で讃美歌を聞きながら、周りの様子を見ていたが、この前の少女を、見付けることは出来なかった。
この教会にいると思ったのに…
あの時は偶々ここに来ただけなのか?
いやシスターと一緒に裏道に消えていったのだから、そんなことはないだろう。
バイロンはぐるぐると考えを巡らしながら聞くともなく讃美歌を聞いていた。
2曲程聞いた時に、パドックに席を立つように促されました。
「もういいでしょう。ここにはそれらしい気を感じない。他を探しましょう」
そして、廊下に出た所で横から先程の様に声をかけられたのだ。
あまりに突然に投げ掛けられた声に驚きパクパクと声も出せずに驚いていると、横からパドックが落ち着いて対応をした。
「あ、ああこんにちは。
たまたま通り掛かったのですが、美しい歌声が聞こえて来たので、寄らせて頂きました」
私は何とか落ち着きを取り戻し、笑顔で相手を見ると、そこにはとても美しいご婦人が立っていた。
母上と同年代くらいだが、その内から輝く様な佇まいに息を飲んだ。
どこかあの時の少女に似ていると思った。
私がそんなことを考えている間も2人は話を続けていた。
最後にそのご婦人から、記念にと栞をもらった。
教会を出たところで、パドックが大きく息を吐き出した。
「はー まさか聖女マリナ様本人に出くわすとは…」
「え? 今の方が聖女?
でも、エレーナが聖女だろ?」
「もともとこの国にいらした聖女マリナ様ですよ。
エレーナの大叔母様に当たられる方です」
「へ? エレーナのおば… 」
それを聞いて引っ掛かるものがあった。
何だろう?
物事をあまり深く考えないバイロンにしては、珍しく気になった。
何だろう? 何でこんなにソワソワとするのかな?
あの美しいご婦人がエレーナの叔母様だと言うことがとても重要な気がする。
バイロンはエレーナの事を集中して思い出そうとした。
今までこんなにエレーナの事は気にしたことがなかった。
いつも漠然と見ていたエレーナを一生懸命思い出した。
記憶の中のエレーナは自分が思っていたより、整った顔立ちはしていた。
しかしいつもうつ向きがちで、大人しく目立たなかった。
あれ?
私はなんであんなにエレーナを毛嫌いしていたのだっけ?
思い出したエレーナのどこが嫌だったのか分からない位エレーナは醜くもなく、普通だった。
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