婚約破棄された悪役令嬢が実は本物の聖女でした。

ゆうゆう

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バイロン視点(3)

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馬車から降りてきた少女は輝く様な蜂蜜色の金髪に虹色に変化する紺碧の瞳。
そして何よりも今まで見たこともない程の美しい少女だった。

バイロンは彼女を一目見た瞬間からその場から動けなくなった。

少女はちょっとこちらを見た。
そして首をかしげるような仕草をしたが、そのまま教会の裏手に歩いて行ってしまった。

少女の姿が見えなくなった後もバイロンはずっとその場に立ち尽くし、少女が消えた脇道を見つめていた。

バイロンが我に返ったのは、彼を探しに来たパドックに肩を叩かれて、ようやくだった。

その間およそ1時間。
もしバイロンを見た人がいたら、きっと銅像や石像と見間違えたかも知れない。
それほどバイロンは微動だにせずその場に立っていたのだ。

「バイロン、何を呆けていたのです?」

「え? パドック… 私は何をしていたんだっけ?」

「何を言っているのです。教会の様子を見に外へ出たのでしょう?」

「ああ、そうか。 天使のような少女がいたんだ… この世の物とは思えない程美しい可憐な子なんだ」

「バイロン、あなた聖女を見たのですか?」

「聖女? 彼女が聖女なのか?
やっぱりエレーナなんかじゃなかったぞ。
あいつがあんなに美しい筈ないんたから」

それを聞いて、パドックは考え込んでいます。

「いや、まだあなたが見た少女が聖女と決まった訳ではないし、エレーナ嬢がここにいない証明にはならない」

そう言って小屋の方に帰っていった。
バイロンもその後を付いていく。

先程みた聖女を思い出す。
本当に美しかった。彼女の周りだけ空間が違うようにキラキラと輝いて見えた。
あの不思議な蜂蜜色の髪はなんだ?
金髪とは違う、まさに黄金色の蜂蜜が流れているようで内側から光を放っているようだった。
あれに比べたらいつも褒め称えていたリリアーヌの髪など、ただの綿菓子にも劣る。

そしてあの瞳。深海のような深い青色でその上に色がくるくる変わる虹色の光のベールを纏ったようだった。

こちらを見た瞳と目が合った気がした。
彼女は首をかしげていたけど…

どこをどう見てもエレーナの容姿とは1ミリも似ている所はなかった。

きっとパドックの勘違いだ。

それより、私は彼女ともう一度会いたい。そして話をしてみたい。
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