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バイロン視点

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パドックは、国境に近い場所にテントを張り、毎日向こう側のパルフィート国へ人を送っては情報を収集している。

今のところパルフィートの国境の町では有力情報はなさそうだ。
反対に聖女について調べている怪しい人間がいると、教会から目をつけられ出したらしい。

今は国境の町から撤退を余儀なくされて、少数の人間を王都のランパルドルへ派遣したところだ。

「パドック やっぱりエレーナはパルフィートにはいないんじゃないか?」

「いいえ、私は魔法で占いの様な事が出来ます。
占う事にいろいろ制限がありますが…
それを使った事は99%の確率で物事を見極められます。
その力で占ったエレーナ嬢は確実に生きている。
だから、そこから推測すれば、どうみてもパルフィートへ隠れていると思えます」


「ふーん」
よく分からないけど、信用出来る力なのかな。
まあ自分はここで待っているだけだから、いいのだけれど。


「パドック様、お耳に入れたいことが…」

パドックの部下が入ってくる。

「どうした?」

「実は、先程パルフィート国の国境の町のパン屋に食糧の買い出しに行きましたところ、1人の女性が新しい聖女様に会ったと話していたのです。
私は新しい聖女という言葉が引っ掛かりまして…」

その女は娘を亡くして、塞ぎ込んでいた姉を聖女のいるランパルドルの教会に連れていった時に若い聖女様に会ったというのだ。
もしかして、それってパドックの言う通りエレーナが聖女としてパルフィートにいるって事なのか?

「やはり、ランパルドルか…
派遣した者が帰ってくるのが楽しみになったな」
パドックは自分の推察が当たってた事に満足気だ。

「そんなこと言ってないで、ランパルドルに私達も移動すれば、いいだろ?」

「ちゃんと作戦を立てませんと。
相手は聖女なのですから」

「作戦も何も、エレーナに謝るだけだろ?」

「バイロン… あなたがそんなだから今の様な立場になっているのですよ?
もう少し頭を使って下さい。
普通にあなたが今のエレーナの前に現れたら彼女はどう考えると思いますか?
迎えに来てくれたと思う?
そんな訳ありませんよね。
きっと国を逃げ出した自分を追ってきたと思うでしょう。
逃げられたら困るのですよ」
と人の事を見下したように言います。

ふん。
もう無礼だと言えないし、確かに…と納得している自分にも腹が立つ。
早くエレーナに、謝って帰りたい。

でも、帰った後私はどうなるのだろう…


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