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エレーナの消息
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「エレーナ、父上が魅了魔法を掛けられただけなら、連絡を取りたいと思うかもしれないが、今は止めてくれ。
君が死んだように細工したばかりだし、アランソルの王の動向もまだ分からないから」
「あ… ごめんなさい。
そうですね、リリアーヌの事がすべての原因と言う訳ではないですもんね。
それは大叔母様に会って分かりました」
大叔母は、魅了を操る者がキッカケになったとは言え、アランソルを去ることになったのはアランソル王国の国王のせいだった。
私の場合はどうなるのかしら?
それに、この姿ではお父様が私だと分かってくれないかもしれない…
そう言う意味ではあの時、あの崖の下でアランソル王国で育った地味で婚約破棄されたエレーナは死んだのだ。
今の私はパルフィートの聖女エレーナなんだ。
カイルとルネはパルフィート国の国王陛下に報告の為に帰っていきました。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
━━アランソル王国━━
騎士団団長のルカスはゲルハルト国王のご前にいた。
「国王陛下に報告いたします。
先程、修道院へ向かわせた騎士より伝令の者が戻って参りました。
エレーナ・パシュレーヌ嬢は修道院に到着しておりません」
「なに? エレーナ嬢は何処かへ逃げたか?」
「いいえ、修道院への工程に使われたと思われる道すがらや町、村をしらみ潰しに調べました所、山岳地帯の手前の宿でエレーナ嬢らしき令嬢を乗せた馬車がワーウルフに襲われ崖下へ転落したと言う話を聞きました」
「なに! それは真か?」
「すぐに現場の崖へ人をやり調べさせたそうです。
遠目ですが、確かに壊れた馬車と見られる破片や車輪が散らばっている場所を見つけました。
ただ、険しい崖の下なので、近くへ行くにはかなりの遠回りをしないといけない場所でして…
そこまで行っての確認をするか、指示を仰ぎたく騎士が戻って来ております。
いかがしましょうか?」
「うーむ 取りあえず騎士には待機させてくれ。
アンデ、 パシュレーヌ侯爵を呼べ」
陛下は宰相にいいました。
「はい、 すぐに」
アンデ宰相は足早に出ていきます。
報告に来た騎士団長は、帰ってきた騎士を待機させるために戻って行きました。
ゲルハルト国王は頭を抱えた。
「なんと言うことだ。 エレーナ嬢が死んでいるかもしれないなんて、侯爵にどう説明すればいいんだ…」
いくら、魅了魔法の影響を受けたとは言え、王子の仕出かした愚行をなかった事には出来ないだろう。
「やはり、バイロンは廃嫡にするしかないか…」
そう呟いたゲルハルト国王だった。
君が死んだように細工したばかりだし、アランソルの王の動向もまだ分からないから」
「あ… ごめんなさい。
そうですね、リリアーヌの事がすべての原因と言う訳ではないですもんね。
それは大叔母様に会って分かりました」
大叔母は、魅了を操る者がキッカケになったとは言え、アランソルを去ることになったのはアランソル王国の国王のせいだった。
私の場合はどうなるのかしら?
それに、この姿ではお父様が私だと分かってくれないかもしれない…
そう言う意味ではあの時、あの崖の下でアランソル王国で育った地味で婚約破棄されたエレーナは死んだのだ。
今の私はパルフィートの聖女エレーナなんだ。
カイルとルネはパルフィート国の国王陛下に報告の為に帰っていきました。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
━━アランソル王国━━
騎士団団長のルカスはゲルハルト国王のご前にいた。
「国王陛下に報告いたします。
先程、修道院へ向かわせた騎士より伝令の者が戻って参りました。
エレーナ・パシュレーヌ嬢は修道院に到着しておりません」
「なに? エレーナ嬢は何処かへ逃げたか?」
「いいえ、修道院への工程に使われたと思われる道すがらや町、村をしらみ潰しに調べました所、山岳地帯の手前の宿でエレーナ嬢らしき令嬢を乗せた馬車がワーウルフに襲われ崖下へ転落したと言う話を聞きました」
「なに! それは真か?」
「すぐに現場の崖へ人をやり調べさせたそうです。
遠目ですが、確かに壊れた馬車と見られる破片や車輪が散らばっている場所を見つけました。
ただ、険しい崖の下なので、近くへ行くにはかなりの遠回りをしないといけない場所でして…
そこまで行っての確認をするか、指示を仰ぎたく騎士が戻って来ております。
いかがしましょうか?」
「うーむ 取りあえず騎士には待機させてくれ。
アンデ、 パシュレーヌ侯爵を呼べ」
陛下は宰相にいいました。
「はい、 すぐに」
アンデ宰相は足早に出ていきます。
報告に来た騎士団長は、帰ってきた騎士を待機させるために戻って行きました。
ゲルハルト国王は頭を抱えた。
「なんと言うことだ。 エレーナ嬢が死んでいるかもしれないなんて、侯爵にどう説明すればいいんだ…」
いくら、魅了魔法の影響を受けたとは言え、王子の仕出かした愚行をなかった事には出来ないだろう。
「やはり、バイロンは廃嫡にするしかないか…」
そう呟いたゲルハルト国王だった。
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