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魅了魔法と負の感情

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「大叔母様?」
リリアーヌの事をやっぱりと呟いたマリナ様に皆の注目がいきます。

「これは、理由は分からないのですが…
新たな聖女が現れる時に、その者のまわりで魅了を使えるものが出てくる傾向があるのです。
聖女に比較的近しい間柄、しかも心に闇を抱えているような者である場合が多いのです」


「では、本当にリリアーヌが魅了魔法を使ってお父様を操っていたと?」
信じられなくて、何度も確認してしまう。

「おそらく、間違いないでしょう」
と大叔母様が言い切りました。

先日初めて魅了魔法の事を聞いた時は半信半疑でした。
ただもし本当なら、お父様に嫌われていなかったのだとそれだけが嬉しかった。
でも、リリアーヌが捕まったのであれば可能性は限りなくあがる。



「私の時は、兄の婚約者だったといいましたよね?」

「ええ、サリーナ様と言う伯爵令嬢だったお方ですね?」

「そうです。 サリーナは自分が魅了魔法を使っている自覚はありませんでした。
私の場合は兄、エレーナの場合は父親を一人占めしたい。
そんな気持ちから始まった小さな嫉妬心だったのかもしれません。
それがどんどん増長して、妬みや憎しみも増えていったように感じます。
その負のエネルギーと魅了魔法は共鳴するのかもしれません」

確かにリリアーヌは初めから私を敵対視していた。
私は妹が出来たから、仲良くしたかったのに。
最初から自分と私を比べてばかりいたわね。

一緒に暮らすようになって1年位はお父様もお義母様もリリアーヌのわがままを相手にはしていなかった。

それがいつからだろう?
お父様がリリアーヌの言うことをすべて鵜呑みにしたり、何でもほしいもの買い与え始めたのは…

お義母様はそんなリリアーヌにも興味が無さそうだった。
あの方は凪のような方。
何の感情も表には出さない。
ただ美しい顔で無表情にそこにいるだけだった。

「では、リリアーヌも自分が魅了魔法を使えると知らずに自分の欲望を叶えていたと言う事ですか?」

「おそらくはそうなのでしょう」


「魅了魔法か… 」
カイルも、この話は初めて聞いたらしいです。

「もう少しお時間を頂ければ、その後のリリアーヌ嬢の事や、取り調べの詳細な内容も探れると思います」

そうルネがいいました。

「そうですね。 とても気になりますのでお願いします」

私は今お父様が魅了魔法が解けたのか?
お義母様はどうしたのか?
リリアーヌとバイロン王子の婚約はどうしたのか?

知りたい事を調べてもらう事にしました。
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