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いきなりの危機
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山を越えられなくなったので、遠回りをしての旅になりました。
私にはどこを通っているのか、全然分かりません。
だって、自分の行く修道院のある場所も分かっていないのですから。
山越えではないですが、道の廻りに木々が鬱蒼とした場所を通ってます。
古い道のようで、山越えが、出来るようになってからは通る人も少ないらしいです。
途中、道の片側に大きな広場のように広がる空間がありました。
そこで休憩をすることになりました。
「道が悪いから疲れたか?」
「いいえ、大丈夫」
馬車の外に出ると、端っこに小さな小屋があり、その前に丸太が幾つか置いてありました。
丸太の前には焚き火の痕もありました。
「ここは誰でも使っていい場所なんだ」
丸太に座り、朝のうちに宿屋で用意してもらったチーズを挟んだパンと干し肉を食べてお昼としました。
「あまり時間が取れなくて、悪いな次の村まで明るいうちに、なんとか着かないといけないから」
「大丈夫。先を急ぎましょう」
私達はまた馬車に戻りました。
ただ乗っているだけの私が文句を言う訳にはいかないです。
「まずい、付いてきてるな」
走り出して少しすると、カイルの声が聞こえます。
「カイルどうしたの?」
「ワーウルフだ この辺まで魔物が流れて来ていたらしい」
「え!」
私は窓の外を見るけど、何も見えません。
「子供のワーウルフみたいだから、何とか引き剥がしてみる。
少し揺れるけど、我慢してくれ」
そう言うと一気にスピードをあげ馬車を飛ばします。
あまり良くない道で、私は頭をぶつけないように、足を踏ん張り座面をつかんで耐えました。
少しすると、馬車は止まりカイルがドアを開けました。
「大丈夫だったか?」
私が端っこにしゃがみ込んでいるのを見てカイルが馬車に乗って来て、手を貸してくれました。
「ありがとう、何とか頭を守ったわ」
「そうか」カイルはホッとしたように笑った。
「ワーウルフって?」
「うーん もともと狼や犬なんだけど、瘴気を吸って気性が荒くなり、ただの狼より強いし簡単に死なないから厄介な魔物だ。
誰かが物語の中の狼男の呼び名だったワーウルフって名付けたらしい」
そうなんだ。全然聞いたことない言葉だったから、何だか分からなかった。
バタン!
いきなりドアが締まり、その後何度かドン ドンと何かが当たる音がしました。
「なんだ?」
カイルは慌てて外を見ました。
馬が嘶き、いきなり馬車が走り出します。
「まだ近くにいたのか!
くそっ、馬が驚いて走り出してしまった」
その上、先ほどとは違い多くの獣の気配が後ろからしました。
「ドアが開かない壊れたのか?」
カイルがガチャガチャとドアを掴んで開けようとしています。
ドアの小さな窓から外を見たカイルが叫びます。
「ああ、このまま行ったら崖の上に出ちまう」
え? 崖? そのまま馬が止まってくれなかったら、そこからどうなるの?
私は手に触れたポケットの中の指輪を握りしめ祈った。
お母様、私も死ぬのでしょうか? 死んだらお母様に会えるかしら?
馬車がガタンと揺れて体が浮き上がる様な感覚になりました。
私にはどこを通っているのか、全然分かりません。
だって、自分の行く修道院のある場所も分かっていないのですから。
山越えではないですが、道の廻りに木々が鬱蒼とした場所を通ってます。
古い道のようで、山越えが、出来るようになってからは通る人も少ないらしいです。
途中、道の片側に大きな広場のように広がる空間がありました。
そこで休憩をすることになりました。
「道が悪いから疲れたか?」
「いいえ、大丈夫」
馬車の外に出ると、端っこに小さな小屋があり、その前に丸太が幾つか置いてありました。
丸太の前には焚き火の痕もありました。
「ここは誰でも使っていい場所なんだ」
丸太に座り、朝のうちに宿屋で用意してもらったチーズを挟んだパンと干し肉を食べてお昼としました。
「あまり時間が取れなくて、悪いな次の村まで明るいうちに、なんとか着かないといけないから」
「大丈夫。先を急ぎましょう」
私達はまた馬車に戻りました。
ただ乗っているだけの私が文句を言う訳にはいかないです。
「まずい、付いてきてるな」
走り出して少しすると、カイルの声が聞こえます。
「カイルどうしたの?」
「ワーウルフだ この辺まで魔物が流れて来ていたらしい」
「え!」
私は窓の外を見るけど、何も見えません。
「子供のワーウルフみたいだから、何とか引き剥がしてみる。
少し揺れるけど、我慢してくれ」
そう言うと一気にスピードをあげ馬車を飛ばします。
あまり良くない道で、私は頭をぶつけないように、足を踏ん張り座面をつかんで耐えました。
少しすると、馬車は止まりカイルがドアを開けました。
「大丈夫だったか?」
私が端っこにしゃがみ込んでいるのを見てカイルが馬車に乗って来て、手を貸してくれました。
「ありがとう、何とか頭を守ったわ」
「そうか」カイルはホッとしたように笑った。
「ワーウルフって?」
「うーん もともと狼や犬なんだけど、瘴気を吸って気性が荒くなり、ただの狼より強いし簡単に死なないから厄介な魔物だ。
誰かが物語の中の狼男の呼び名だったワーウルフって名付けたらしい」
そうなんだ。全然聞いたことない言葉だったから、何だか分からなかった。
バタン!
いきなりドアが締まり、その後何度かドン ドンと何かが当たる音がしました。
「なんだ?」
カイルは慌てて外を見ました。
馬が嘶き、いきなり馬車が走り出します。
「まだ近くにいたのか!
くそっ、馬が驚いて走り出してしまった」
その上、先ほどとは違い多くの獣の気配が後ろからしました。
「ドアが開かない壊れたのか?」
カイルがガチャガチャとドアを掴んで開けようとしています。
ドアの小さな窓から外を見たカイルが叫びます。
「ああ、このまま行ったら崖の上に出ちまう」
え? 崖? そのまま馬が止まってくれなかったら、そこからどうなるの?
私は手に触れたポケットの中の指輪を握りしめ祈った。
お母様、私も死ぬのでしょうか? 死んだらお母様に会えるかしら?
馬車がガタンと揺れて体が浮き上がる様な感覚になりました。
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