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聖女様にまつわる真実
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宿屋へ帰って部屋に荷物を置き食堂へ行った。
まだ時間が早い所為かお客は私達だけだった。
食事の間、カイルに聖女様の話をねだった。
聖女様が覚醒したに20数年前、隣の国パルフィート国は干ばつに見舞われ、そのうえ疫病も流行ろうとしていた。
そんな時にある令嬢が近くの国で迫害にあってパルフィートに逃げて来たそう。
その令嬢がパルフィートの地で覚醒して聖女となり、そのままパルフィートの聖女となった。
覚醒した聖女が現れてから徐々に疫病は収まり、干ばつに苦しめられた土地には雨が降り、干上がった泉には水が湧いた。
「まあ、始まりはこんな所かな」
「聖女様ってすごいのね。
でも話の流れだと聖女様はパルフィートの人ではなかったのね?」
「ああ、酷い国で辛い思いをされて逃げて来たらしい。パルフィート国は大変な状態だったのに、とても温かく迎えられたって言ってた…」
「言ってた? カイルあなた聖女様に会ったことがあるの?
だから、そんなに詳しいの?」
「ん? 一度ね…
さあ! 明日早くに出発するぞ、
もう休もう」
そう言ってカイルは席を立って行ってしまいました。
何か隠してそうだけど、私が問い質していい立場ではないわね。
聖女様についても、教えてもらったし…
隣の国のことなのに、なぜアランソルでは誰も聖女様の話題を出さないのだろう…
「お口に合いましたか?」
いきなり宿の女将に話しかけられた。
考えに沈んでいて近くに女将が来た事を察知してなかった私は驚いてしまった。
「え? あ、ああ とても美味しかったです。 ありがとう」
「そうですか、良かった。
貴族の方の中には、この辺の料理では満足されない方も少なくないですので… 心配してたんですよ」
ああ、確かに地方へ行くと料理が不味い、王都のような華やかな物がなくて満足出来ない。等と声高に言う者がいるのを知っている。
だいたいは金に汚い一分の低俗貴族だけど。
私がこんなに辛辣な言い方をするのには訳がある。
この国ではたまたま自分の領地内で鉱山を見つけた成金貴族が数名いて、その者たちはそれまで国の辺鄙な所に領地をもった貴族とは名ばかりの男爵や、子爵だった。
その者たちは持ちなれない大金を手にして、あちこちで騒ぎや揉め事を起こしていた。
「そんなの一分の心ない貴族の戯言ですわ、この宿のお料理はちゃんとしたものでしたよ」
「そう、言って頂いてほっと致しました。お嬢様はとてもいい方のようなので、1つお節介させてくださいな。
先ほど聖女様という言葉が聞こえました。
この国で聖女様の話はなさらない方がよろしいですよ。
王家の人の耳に入ったら、お咎めがあります」
「え? 本当ですか?」
「ええ、ですからお気をつけて」
そう言って女将さんは行ってしまった。
この国では聖女の話題は禁止だったの…
侯爵家に育った私が知らないなんて、なぜだろう…
まだ時間が早い所為かお客は私達だけだった。
食事の間、カイルに聖女様の話をねだった。
聖女様が覚醒したに20数年前、隣の国パルフィート国は干ばつに見舞われ、そのうえ疫病も流行ろうとしていた。
そんな時にある令嬢が近くの国で迫害にあってパルフィートに逃げて来たそう。
その令嬢がパルフィートの地で覚醒して聖女となり、そのままパルフィートの聖女となった。
覚醒した聖女が現れてから徐々に疫病は収まり、干ばつに苦しめられた土地には雨が降り、干上がった泉には水が湧いた。
「まあ、始まりはこんな所かな」
「聖女様ってすごいのね。
でも話の流れだと聖女様はパルフィートの人ではなかったのね?」
「ああ、酷い国で辛い思いをされて逃げて来たらしい。パルフィート国は大変な状態だったのに、とても温かく迎えられたって言ってた…」
「言ってた? カイルあなた聖女様に会ったことがあるの?
だから、そんなに詳しいの?」
「ん? 一度ね…
さあ! 明日早くに出発するぞ、
もう休もう」
そう言ってカイルは席を立って行ってしまいました。
何か隠してそうだけど、私が問い質していい立場ではないわね。
聖女様についても、教えてもらったし…
隣の国のことなのに、なぜアランソルでは誰も聖女様の話題を出さないのだろう…
「お口に合いましたか?」
いきなり宿の女将に話しかけられた。
考えに沈んでいて近くに女将が来た事を察知してなかった私は驚いてしまった。
「え? あ、ああ とても美味しかったです。 ありがとう」
「そうですか、良かった。
貴族の方の中には、この辺の料理では満足されない方も少なくないですので… 心配してたんですよ」
ああ、確かに地方へ行くと料理が不味い、王都のような華やかな物がなくて満足出来ない。等と声高に言う者がいるのを知っている。
だいたいは金に汚い一分の低俗貴族だけど。
私がこんなに辛辣な言い方をするのには訳がある。
この国ではたまたま自分の領地内で鉱山を見つけた成金貴族が数名いて、その者たちはそれまで国の辺鄙な所に領地をもった貴族とは名ばかりの男爵や、子爵だった。
その者たちは持ちなれない大金を手にして、あちこちで騒ぎや揉め事を起こしていた。
「そんなの一分の心ない貴族の戯言ですわ、この宿のお料理はちゃんとしたものでしたよ」
「そう、言って頂いてほっと致しました。お嬢様はとてもいい方のようなので、1つお節介させてくださいな。
先ほど聖女様という言葉が聞こえました。
この国で聖女様の話はなさらない方がよろしいですよ。
王家の人の耳に入ったら、お咎めがあります」
「え? 本当ですか?」
「ええ、ですからお気をつけて」
そう言って女将さんは行ってしまった。
この国では聖女の話題は禁止だったの…
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