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パシュレーヌ侯爵家と私

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侯爵令嬢とは言え、私の容姿はあまりにも地味だった。

この国の貴族は金髪が多く。プラチナブロンドは特に好まれていた。

それなのに、私はただの栗毛色で、瞳の色も薄い青。

顔の作りはそこまで不細工ではないけれど、人目を引くような美形ではなかった。

それが、バイロン様は気に入らなかった。
私を見るたびに、地味だ華がないその上愛想もないのかと、貶す言葉しか掛けてこない婚約者に私の心はどんどん沈んでいった。

先ほど隣にいたリリアーヌは私の血の繋がらない妹だった。
あの子は平凡な容姿の私を見下し、婚約者に嘘を吹き込むようになっていた。
私がいくら訂正しても、あのように可愛らしいリリアーヌが嘘など言う訳がない。
どうせお前がリリアーヌを妬んで嫌がらせをしているのだろうと決めつけられた。

そして、今日王子と妹が2人で衆人環視の中で私に婚約破棄をしてやろうと企んだに違いない。

お父様は再婚後、後妻の継母と義妹に骨抜きにされている。
きっと私の事は切り捨てるだろう。
もうどうする事も出来ないのだ。


 ◇◇◇◇◇


軟禁されて数時間後、2人の侍女が入って来て湯浴みの後、何の飾りもないワンピースを着せられた。

わたしの着ていたドレスも、アクセサリーも全て持って行かれてしまった。

その後、また現れた侍女はスープとパンだけの質素な食事を置いて出て行った。


夜更けになっても、眠る事も出来ず
ベッドのへりに腰掛けてじっとしていた。


翌朝、また侍女が入って来た。
朝食、そして手紙と小さな手提げ袋を置いていった。

手紙を開くと予想通りお父様からの、絶縁状だった。

手提げの中には母の形見の指輪と少しのお金、私の大切にしていた手鏡が入っていた。

手紙にはお父様からの最後の温情だと書いてあった。

お父様が、再婚を決めたその時から、私達親子はもう縁が切れていたのだろうな…

あんなに優しかったお父様は継母と義妹が来てから、私に興味を失ったように無関心になった。

再婚後のこの半年間は親子での会話も殆んどしなくなっていた。

だから、心のどこかでこうなる覚悟は出来ていたのだろう。

もう何も悲しくなかった。



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