聖女派遣いたします

お怒りのセバス

私は急ぎ部屋に戻り、もう一度セバスさんに連絡を入れました。

王子の言葉をそのまま伝えると、流石に呆れた統括責任者は急遽ドーリスの派遣を中止して、今までの王子からの私に対する嫌がらせと性的侮辱発言などの契約違反及び新たな聖女に対する魔法道具持ち込み拒否に対する抗議により契約解消を決めた。

「フランチェスカ、直ちに帰って来なさい。
その様な国にいつまでもいる事はありません」
セバスさん結構頭にきていますね。

「はい。明日の朝こちらを発ちますので、迎えをお願いします」

「分かりました。ウベズェル国とスーリア国の境のブートニアの燭台岩に迎えを送ります」

ウベズェルも聖女の国と同じ大陸ですが、間には２つの大国があります。
そのひとつでウベズェルの隣国にあたるスーリア国の端にブートニアの燭台岩と呼ばれる大きくて頂上が平らな山があるのです。

「ありがとうございます、では」

さて、後は荷物を片付ける。
片付けと言っても、持って行く荷物は大してない。

こちらで用意してくれた衣服や生活道具は置いていくし、私がここで作った薬は騎士団に上げたから、後は少しのお金と私物の薬作り用の道具と連絡用の水晶くらいかな。

それらは全て肩掛けカバンに入ってしまう。

コンコン

「失礼します。　お食事です」

侍女のネリーが入って来た。
この２年私の面倒を見てくれた侍女だ。
もう１人カリナと言う侍女もいる。

「ネリーお世話になったわね。
私、帰ることになったからここに残して行く衣服は２人にあげるわ。
売るなり、直して着るなりしてね。
カリナにもよろしく」

「え？　フランチェスカ様この国を出られるのですか？」

「ええ、元気でね」

私の侍女２人はちょっと年上のお姉さんで、顔もちょっと地味な印象なので王子の興味を引かないみたいで無事らしい。

ニルス王子は自分より年上の女性は女じゃないとか平気で言うからね。

「今までちゃんとお世話出来ずすいませんでした。　実は…」

「しー　言わなくていいわ。
ニルス王子に口止めされていたんでしょ？
さっき本人に聞いたから、全部理解しているわ」

彼女達が悪い訳ではないし、何もしてくれなかった訳ではないもの。

私はネリーを宥めて、食事に手を付けます。

「フランチェスカ様ずいぶん軽いお食事ですけど…　料理長がフランチェスカ様のリクエストだからと」

「ええ、さっき調理場に挨拶に言った時におやつを沢山頂いたの。
お腹いっぱいになっちゃったから、夕食は少なくしてって頼んだのよ」
私はネリーにそう言い訳した。

本当はこの後パーティーだからね。