聖女派遣いたします

ゆうゆう

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契約はもう出来ません

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この国は、ハッキリ言って私が今まで担当した国の中では下の下だ。

もっと他の大国なら仕事以外の時間は王妃様や王女様、貴族令嬢と交流をもったり楽しい行事を催してくれたり、聖女って言うだけでこっちが引くくらいのもてなしと対応なのが通常だ。

最初、ここへ来てあまりの放っておかれように、ビックリしたものだ。

だが、私はこの国の薄い対応にはむしろ嫌みじゃなく感謝している。

大国の盛大な持て成しもいいけど、気疲れする事は確かだし、侍女も3人位付けてくれるからなかなか1人の時間を持てない。

この国に来て教会にいる時、結界を維持する仕事以外は1人でのびのび出来たし、部屋で人の目を気にせず気を抜いていられたのは、とても気楽でよかった。

しかしこの男にいい生活と言われるのは違う気がする。
契約上で言えば特別いい待遇など1コもないのだから。


「申し訳ありませんが、この国の待遇に未練などありません。
むしろ次に来る聖女にはもう少しマシな待遇をお願いします」
と頭を下げておいた。


「だから、オレに体を許せばもっといい待遇になると、何度も言ったではないか。
お前が頑なに拒むから、侍女に命じて世話をさせなかったのだ」

やっぱりそう言う事か…

契約上、最低侍女は2人付くハズなのに、ある時から交代で1人しか現れなくなった。

侍女に聞いても謝るばかりで、何も話してくれなかった。
こいつが侍女を脅して口止していたのだろう。

「いいか、次に来る若い聖女には変な防犯魔道具を付けさせて来るなよ」

触る気満々じゃない。

「そうはまいりません。
聖女の仕事に派遣される時は必ず装備するものですから、これは協会のルールです」

「そんなことは知らん。
次に来た聖女が魔道具を付けていたら、この国に入る事は許さん」

また、変な事言い出した。
もういい加減優しい対応をするのも疲れた。
私はどんなに愚かなグズだとしても一応王族としてこいつを扱ってきた。
けど、もう契約解消されたし、そこまで気を使う必要ないよね?

「わかりました。
では契約不履行と言う事で連絡しておきますわ。
二度と会うことはないと思いますがお元気で」

もう二度と引き留める声には従わなかった。
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