聖女派遣いたします

ゆうゆう

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粘着王子の待ち伏せ

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結局、あれから何度も何度も懲りもせず、人の前に現れては愛人になれとか、俺の部屋に来いとか言って絡んできて、聖女の仕事より面倒臭かった。
出来ることなら、もっと早くこの国の仕事は終わらせたかったけど、私の希望では支配人を納得させられる自信がなかったのよね。

今回依頼主からの変更でやっとここから帰れる。


そうだ、数日の内にはドーリスも来て私もここを出ることになるから、今のうちにお世話になった人達に挨拶に行こう。

取り分けお世話になったのは一緒に森や辺境に赴いてくれた騎士達だから、ちょっと騎士団へ行こうかな。

私は差入れを手に部屋を出ました。


「お前とうとうお役御免になったそうだな。
どうだ? オレに泣いて頼めばこのままこの国にいられるようにしてやるぞ?
もちろん聖女などでなく、オレの愛人だけどな。
いや側室にしてやろう。
どうだ?」

出会い頭にこんな失礼な事を言うなんてどんだけよ、この王子は。

まったく自分で私をクビにしといて、よく言う。
って言うか、こいつ人が部屋から出てくるの待ち伏せしてたのかしら? 
この国の王子ってどんだけ暇人なんだろ。
前々から思っていたけど、無能すぎて何もさして貰えないのかも!?

「ご遠慮させていただきます。
やっと国に帰れますので王子が聖女を交代させろと言ってくださって感謝しておりますわ」

お前が私の契約更新させなかったんだろ!知ってるよ。
と暗に示しながらニッコリ笑ってその場を去ろうとすると、また呼び止める。

「相変わらず生意気な女だな。
帰りたいなんて嘘だろう?
この国で王宮に住み贅沢な暮らしをさせてやっていたのだから、本当はこの暮らしに未練があるんだろ?」

はぁーあ! 本当に分かってない。
ここでの暮らしは聖女派遣協会から指定している最低基準でしかない。

協会では派遣する聖女に対しての対応について契約上でしっかりと取り決めを交わす。

その一つに最低限貴族並の生活基準と1日の仕事量について、厳密かつ詳細に決めている。

それはどの国へ派遣されても私達が一定の暮らしを約束されて聖女の仕事をこなせるようにとの協会側の配慮だ。
そして、聖女同士の待遇の差を最小限に抑える為でもあった。


私達聖女があの国は嫌だ、この国がいいとただを捏ねると困るのは協会だからね。
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