聖女派遣いたします

ゆうゆう

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何度も言うが聖女は神様が人間に貸して下さっているもの。

言わば私達聖女は神のものなのです。

それを馬鹿王子は私が初めてこの国に来て、国王陛下に挨拶をした時に、いきなり私の後ろから現れて…

「父上、この者が聖女ですか?」
声がした方に振り向くとそこには見た目は流石に王子と言う装いのひょろりとした不健康そうな男が立っていた。

見ようによってはまあまあな顔立ちだけれど、目が死んでいる。
そのせいで王子としての威厳も気品も感じられない。

その男が私の前まで来てまじまじと顔を見てきます。
まるで人を値踏みしているような態度です。
いくら王子と言えども失礼極まりない。

「ニルス、聖女様に失礼な事はやめなさい」
と国王陛下は息子を嗜めますが、全然聞いてませんね。

私は気を取り直して、国王陛下の方を向くと頭を下げ直して。
「それでは、早速各結界の確認をさせていただきますので、これにて失礼いたします」

私は横にいる失礼な男を無視して立ち去ろうとしました。

「おい、待て。王子である俺に挨拶なしか?」
面倒臭い。

「王子? それは知りませんで申し訳ありません。
なにぶん、誰からも紹介がありませんでしたので、ここへ初めて来た私には分かる筈もなく」
仕方がないから嫌味と共に頭を下げてやった。

「ふん、まぁいいだろう。
お前俺のものになれ、 いい暮らしをさせてやるから」
そう言って私を抱き寄せようと手を伸ばした瞬間

「うぁが、がぁっがぁっがぁっがぁ!」
これが馬鹿王子が感電した記念すべき1回目だった。

「王子! 何て馬鹿な事を…」
残念な者を見るような宰相様の顔。

「宰相様、男性がむやみやたらに聖女に触れることは出来ないと契約書に書かれている筈です。
本来なら契約無効で私は国に戻る事になりますが?」
本当はこんな事位で帰ったりしないけど、最初が肝心だからハッタリかまします。

「聖女様どうか我が国の王子の無礼をお許し下さい」
宰相が頭をさげる。

「聖女よ、私からも頼む」
国王陛下も一緒になって頭を下げる

「先程の王子の神と聖女を冒涜するような発言は聞かなかった事に致します。
それでは本当に失礼いたします」

そう言って謁見の間を後にしたのだった。
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