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彼らの馴れ初めを聞きました
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「えぇーっと、レオンハルト殿下。ルナティア嬢の事を私の女神と呼ばれていらっしゃいますが、それはどうしてですの?」
取り敢えず殿下の勘違いを正せば、彼女に騙されていると気付いて下さるかも知れないわね。その方向で何とか話を進められないかしら。
「はっ?なんだマリエッタ。私の女神ルナティアを侮辱する気かっ!?」
いくら私の事が嫌いでも、そんなに喧嘩腰にならなくても良いのではなくて?
ちょっと聞いただけですのに、私は別に殿下が廃嫡されようが塔に幽閉されようが構わないのですよ?
殿下には蔑ろにされ続けましたけれど、元より王命による政略結婚ですもの。
早々に『愛さない宣言』をされてしまえば、恋心など芽生える筈もなく、嫌いという感情を持つ前に、殿下に対して無関心になってしまうのは仕方のない事ですわよね?
それでも殿下の婚約者でいる限りは責任は果たそうと思って過ごしてきましたのに。
あらっ?国王陛下が私に向かって拝んでいらっしゃるわ。
殿下はもうかなりギリギリのラインにおりますものね。
私の見立てでは、良くて謹慎、悪くて廃嫡かしら?
これ以上の醜態を晒さなければ、ですけれど。
それにしてもレオンハルト殿下のご弟妹は皆様、とても優秀だと聞いておりますが、どうしてレオンハルト殿下だけ、こうなんでしょうか。
王妃様は分け隔てなく、王族としての心構えなど教育熱心でしたし愛情もたっぷりと注いでいらっしゃる、と聞いていたのに、本当に『何故、こうなった!?』という感じですわね。
まぁ、きっと原因は、王妃様の隣で涙目になりながら懇願のポーズを取っている国王陛下である事は薄々、いえ、確実にそうなのでしょう。
レオンハルト殿下は国王陛下に瓜二つと言われていて、陛下は先代国王夫妻に徹底的に厳しい教育と王族としての振る舞いを叩き込まれた、と数々の伝説として伺っているのよね。どちらかというと悪い方の意味で。
勿論、直接的な教育は家庭教師が行っていたのですが、教育のスケジュール管理から御学友の選定までありとあらゆる事に干渉し、陛下は傀儡人形のような日々を過ごしていらした、と聞き及んでいます。
その反動か、それとも同じ顔をしたレオンハルト殿下に在りし日の自分を重ねたのか、王妃様には内緒でレオンハルト殿下には大変甘かったそうなのです。
私との婚約も陛下がレオンハルト殿下の為だけに王命を出したようなものですものね。
まぁ、甘やかした結果が親の心子知らず、の典型になってしまったのが今の状況でしょうけれど。
「いえ、侮辱ではありませんわ。ただ、どうして私の女神、と呼んでいらっしゃるのかが気になっただけですわ。」
「そんなの決まっているだろう!
ルナティアは私の初恋の人であり、私の女神なのだから!」
ドヤった表情で言ってらっしゃるけれど、質問の答えにはなっておりませんわね。
初恋の人、という言葉は上手く引き出せましたけれど。
「レオンハルト殿下の初恋の人、ですか?」
「そうだともっ!
あれは私が八歳の時だった。教育の一環で市井へお忍びで出掛けた私はルナティアに出会って恋をしたのだ。
それからずっと私の女神、と想いを胸に秘めてきたのだ。
あれ以来、会う事は叶わなかったが、学園に入学してきたルナティアが、私の為に手作りクッキーを持って私の前に現れ、私たちは運命の再会を果たしたのだ。」
「・・・・・・・・・・。」
・・・殿下の記憶がポンコツ過ぎて言葉を失ってしまいましたわ。
それにしても一貴族のご令嬢が面識も無いのに突然、この国の第一王子に手作りクッキーを持って現れるのはアリなのかしら?
誰か止めなかったの?
毒味はしたのでしょうね?
色々と気になる事が有りすぎるけれど、取り敢えず殿下が彼女を初恋の人と勘違いしている事はよく分かりましたわ。
そう考えて殿下の隣にいる彼女を見ればやっぱりドヤ顔をしているわね。
そのドヤ顔は私の後ろに立っている人々に見られている事に気づいていないのかしら?
「レオンハルト殿下の初恋の人は、確かにルナティア嬢で間違いはないのでしょうか?
他人の空似、という事もあるのでは?」
「なっ!マリエ「マリエッタ様ったらひっどーい。それって嫉妬ですか?私に対する嫉妬ですよね?
私がレオン様の初恋の相手で、八歳からずーっと私の事を好きだったのが悔しいんですよね?
だ・か・ら、私を虐めたりしたんですよね~。
まっ、気持ちは分からなくもないですけど?
で・も、私に謝罪は欲しいですよねぇ。
私に謝ってくれるならマリエッタ様への罰を軽くして貰えるように頼んでみますよ?私のレオンに。」ーう、うむ、私の女神がそう言うのならな。」
殿下の言葉に被せるようにルナティア嬢がドヤ顔を通り越して、『女神の化身と言われている貴女の笑顔が歪んでいるけど大丈夫?』と思わず声を掛けたくなるほど歪つな笑顔を浮かべていますわ。
こんな物言いをしているのに、まだ私の女神とかほざく殿下とはお似合いのカップルなのかも知れませんわね。
チラリと国王陛下を見れば、え?絶対違う?
全力で首を横に振って否定していましたわ。
あら、やだっ!
私と国王陛下ったら、目だけで意思疎通が出来ているじゃない。
レオンハルト殿下よりは相性が良いのかしら?
まぁ、陛下は私のタイプではありませんが。
「・・・ルナティア嬢もレオンハルト殿下の初恋の人がご自分である、とお認めになるのですか?
十年前に殿下とお会いした記憶がある、と。」
「勿論ですよ!子どもの頃だったから詳しい事は覚えていないけど、レオン様の名前と顔はバッチリ覚えていましたよ。一緒に王都の下町を回った事も!
だから学園に入ってすぐにレオン様に会いに行ったんじゃないですかぁ~。」
そう言ってルナティア嬢は殿下の腕にキュっとしがみつくと、上目遣いで嬉しそうに殿下の目を見つめた。
ハイ、嘘、発覚です。
偽証罪です!
詳しい事は覚えていないとぼかしつつも、自分が初恋の人だと言い切ってしまったら意味ないと思うのですが、そこまでは考えが及ばないのですかね。
まぁ、今は最高に幸せな気分で気が大きくなっているのでしょう。
「そうですか、覚えておいでなのですね。
ですが、、、おかしいですわね。
私はルナティア嬢の事を丸っ切り覚えておりませんが?」
「はぁ?当たり前じゃないですか!
私が子どもの頃に出会ったのはレオン様であって、マリエッタ様ではありませんから。」
ルナティア嬢、ダメ押しで言い切ってくれてありがとう。
「そうですか?実はレオンハルト殿下が市井にお忍びで出掛けた日は、私もご一緒させて頂いておりました。
ですから私は一緒に回ったレオンハルト殿下の初恋の相手をよく存じておりますので、それが貴女では無いと断言出来るのですよ。」
取り敢えず殿下の勘違いを正せば、彼女に騙されていると気付いて下さるかも知れないわね。その方向で何とか話を進められないかしら。
「はっ?なんだマリエッタ。私の女神ルナティアを侮辱する気かっ!?」
いくら私の事が嫌いでも、そんなに喧嘩腰にならなくても良いのではなくて?
ちょっと聞いただけですのに、私は別に殿下が廃嫡されようが塔に幽閉されようが構わないのですよ?
殿下には蔑ろにされ続けましたけれど、元より王命による政略結婚ですもの。
早々に『愛さない宣言』をされてしまえば、恋心など芽生える筈もなく、嫌いという感情を持つ前に、殿下に対して無関心になってしまうのは仕方のない事ですわよね?
それでも殿下の婚約者でいる限りは責任は果たそうと思って過ごしてきましたのに。
あらっ?国王陛下が私に向かって拝んでいらっしゃるわ。
殿下はもうかなりギリギリのラインにおりますものね。
私の見立てでは、良くて謹慎、悪くて廃嫡かしら?
これ以上の醜態を晒さなければ、ですけれど。
それにしてもレオンハルト殿下のご弟妹は皆様、とても優秀だと聞いておりますが、どうしてレオンハルト殿下だけ、こうなんでしょうか。
王妃様は分け隔てなく、王族としての心構えなど教育熱心でしたし愛情もたっぷりと注いでいらっしゃる、と聞いていたのに、本当に『何故、こうなった!?』という感じですわね。
まぁ、きっと原因は、王妃様の隣で涙目になりながら懇願のポーズを取っている国王陛下である事は薄々、いえ、確実にそうなのでしょう。
レオンハルト殿下は国王陛下に瓜二つと言われていて、陛下は先代国王夫妻に徹底的に厳しい教育と王族としての振る舞いを叩き込まれた、と数々の伝説として伺っているのよね。どちらかというと悪い方の意味で。
勿論、直接的な教育は家庭教師が行っていたのですが、教育のスケジュール管理から御学友の選定までありとあらゆる事に干渉し、陛下は傀儡人形のような日々を過ごしていらした、と聞き及んでいます。
その反動か、それとも同じ顔をしたレオンハルト殿下に在りし日の自分を重ねたのか、王妃様には内緒でレオンハルト殿下には大変甘かったそうなのです。
私との婚約も陛下がレオンハルト殿下の為だけに王命を出したようなものですものね。
まぁ、甘やかした結果が親の心子知らず、の典型になってしまったのが今の状況でしょうけれど。
「いえ、侮辱ではありませんわ。ただ、どうして私の女神、と呼んでいらっしゃるのかが気になっただけですわ。」
「そんなの決まっているだろう!
ルナティアは私の初恋の人であり、私の女神なのだから!」
ドヤった表情で言ってらっしゃるけれど、質問の答えにはなっておりませんわね。
初恋の人、という言葉は上手く引き出せましたけれど。
「レオンハルト殿下の初恋の人、ですか?」
「そうだともっ!
あれは私が八歳の時だった。教育の一環で市井へお忍びで出掛けた私はルナティアに出会って恋をしたのだ。
それからずっと私の女神、と想いを胸に秘めてきたのだ。
あれ以来、会う事は叶わなかったが、学園に入学してきたルナティアが、私の為に手作りクッキーを持って私の前に現れ、私たちは運命の再会を果たしたのだ。」
「・・・・・・・・・・。」
・・・殿下の記憶がポンコツ過ぎて言葉を失ってしまいましたわ。
それにしても一貴族のご令嬢が面識も無いのに突然、この国の第一王子に手作りクッキーを持って現れるのはアリなのかしら?
誰か止めなかったの?
毒味はしたのでしょうね?
色々と気になる事が有りすぎるけれど、取り敢えず殿下が彼女を初恋の人と勘違いしている事はよく分かりましたわ。
そう考えて殿下の隣にいる彼女を見ればやっぱりドヤ顔をしているわね。
そのドヤ顔は私の後ろに立っている人々に見られている事に気づいていないのかしら?
「レオンハルト殿下の初恋の人は、確かにルナティア嬢で間違いはないのでしょうか?
他人の空似、という事もあるのでは?」
「なっ!マリエ「マリエッタ様ったらひっどーい。それって嫉妬ですか?私に対する嫉妬ですよね?
私がレオン様の初恋の相手で、八歳からずーっと私の事を好きだったのが悔しいんですよね?
だ・か・ら、私を虐めたりしたんですよね~。
まっ、気持ちは分からなくもないですけど?
で・も、私に謝罪は欲しいですよねぇ。
私に謝ってくれるならマリエッタ様への罰を軽くして貰えるように頼んでみますよ?私のレオンに。」ーう、うむ、私の女神がそう言うのならな。」
殿下の言葉に被せるようにルナティア嬢がドヤ顔を通り越して、『女神の化身と言われている貴女の笑顔が歪んでいるけど大丈夫?』と思わず声を掛けたくなるほど歪つな笑顔を浮かべていますわ。
こんな物言いをしているのに、まだ私の女神とかほざく殿下とはお似合いのカップルなのかも知れませんわね。
チラリと国王陛下を見れば、え?絶対違う?
全力で首を横に振って否定していましたわ。
あら、やだっ!
私と国王陛下ったら、目だけで意思疎通が出来ているじゃない。
レオンハルト殿下よりは相性が良いのかしら?
まぁ、陛下は私のタイプではありませんが。
「・・・ルナティア嬢もレオンハルト殿下の初恋の人がご自分である、とお認めになるのですか?
十年前に殿下とお会いした記憶がある、と。」
「勿論ですよ!子どもの頃だったから詳しい事は覚えていないけど、レオン様の名前と顔はバッチリ覚えていましたよ。一緒に王都の下町を回った事も!
だから学園に入ってすぐにレオン様に会いに行ったんじゃないですかぁ~。」
そう言ってルナティア嬢は殿下の腕にキュっとしがみつくと、上目遣いで嬉しそうに殿下の目を見つめた。
ハイ、嘘、発覚です。
偽証罪です!
詳しい事は覚えていないとぼかしつつも、自分が初恋の人だと言い切ってしまったら意味ないと思うのですが、そこまでは考えが及ばないのですかね。
まぁ、今は最高に幸せな気分で気が大きくなっているのでしょう。
「そうですか、覚えておいでなのですね。
ですが、、、おかしいですわね。
私はルナティア嬢の事を丸っ切り覚えておりませんが?」
「はぁ?当たり前じゃないですか!
私が子どもの頃に出会ったのはレオン様であって、マリエッタ様ではありませんから。」
ルナティア嬢、ダメ押しで言い切ってくれてありがとう。
「そうですか?実はレオンハルト殿下が市井にお忍びで出掛けた日は、私もご一緒させて頂いておりました。
ですから私は一緒に回ったレオンハルト殿下の初恋の相手をよく存じておりますので、それが貴女では無いと断言出来るのですよ。」
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