【 完結 】「婚約破棄」されましたので、恥ずかしいから帰っても良いですか?

しずもり

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恥晒しの婚約破棄

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「ミレーヌ・シルフィード公爵令嬢!今日をもってこの私、ガルド王国第一王子アルフリート・ガルドとの婚約を破棄する!」


王立学園の卒業パーティーで第一王子アルフリートが声高に叫んだ。
隣には緩いウェーブのかかったピンク髪を一つに束ね、薄茶の瞳をウルウルとさせている美少女が王立学園の制服を着てアルフリートにピッタリと寄り添っている。


アルフリートの正面に立つのは銀髪ストレートな髪を腰まで伸ばした小柄な美少女ミレーヌ・シルフィード公爵令嬢だった。



ミレーヌは婚約者による突然の『婚約破棄宣言』に呆然としていた。いや、あまりの恥ずかしさに心の中では『気を失う事が出来たなら!』とパニックを起こしていた。


たった今『婚約破棄の宣言』をしたアルフリートと美少女の横には、赤茶髪のいかにも騎士というような体躯のギルバート・ギレアム伯爵子息も居る。

彼はアルフリートの側近であり、アルフリートとミレーヌの幼馴染でもあった。



彼らの後ろには名前は分からないけれどたぶん同級生が2人。どこかの子爵か男爵家の子息たちだったハズ。

この1年、アルフリート様やギルバート様たちといる所をよく見かけたわね。


それにしても、、、、


恥ずかしい。恥ずかしいっ!恥ずかしすぎるぅ~!!



ミレーヌは心の中で絶叫する。



卒業生が集まるパーティー会場で『婚約破棄』を言い渡されるなんて!


恥ずかし過ぎる!こんなの、時代遅れもいいところなのに!!



ガルド王国では過去のにより20年ほど前に新たな法律が制定、施行されていた。


そして王立学園ではその法律を受けて校則が罰則とともに設けられている。


でも、って入学前にしつこいぐらいに入学案内書類にも入学式でも話があったわよ?


勿論、各家庭でも幼少の頃から教えられ、入学前には更に念押しされるような貴族なら誰でも知っている法律よ?






頭の中が真っ白になりかけながらも、目の前で起きているに疑問が浮かぶ。



だってこの法律や校則が設けられたのは・・・。



「ア、アルフリート様、今日、この日この場所がどの様な場であるのか、ご存知でしょうか?」


両手を祈るように組みながら震える声で目の前の脳内お花畑集団に問う。


出来れば今のこのに気付いて欲しい!

そしてもうこれ以上、私を巻き込まないで!と願いながら。



「当たり前であろう!今日は私を含む卒業生の為の卒業パーティーの会場だ!」


お前はそんな事も分からないのか?とでも言いたげに、馬鹿にしたようにアルフリート様が言い放つ。


・・・これは気づいてないわ。でも、ダメっ!お願いだから気付いて!


この場でやらかしちゃってるに!


そしてしつこいようだけど私を巻き込まないで!



何なら今すぐ帰りたいぃぃっ!



「ソウデスネ~。卒業パーティーの場ですよね~。そうだっ!私にお話があるのなら学園の応接室で話しましょうか?

さっ、行きましょう、そうしましょう!」


まだ間に合う!今ならまだ助かるわっ。


後ろ向きになる思考を抑えつけ、何とかこの場を収めようと頑張ってみる。足は羞恥でプルプルと産まれたての子やぎの様になっているし、気を許すと目から涙が溢れそうなのを気合いで戻す。


そして今はまだ驚きに立ち尽くすこの周囲の方々の私への態度が、哀れみの眼差しになる前にこの場所をさっさと立ち去りましょう!



「何を言っているんだ、ミレーヌ。私たちはこれから婚約破棄の祝いも兼ねて卒業パーティーを楽しむ予定なのだ」



あっ、あ~ね。



うん、この場合でその言葉は聞きたくは無かったかなぁ~。



「で、ではその話は後でゆっくりと別室で話し合う事にしましょう。それで今は卒業パーティーを楽しみませんか?」


まだ諦めないわっ!今ならまだ引き返せるわよ、アルフリート様っ。


もう既に周囲の目は私に同情的且つ哀れみの眼差しになっている気がするけれど気づかないフリよっ、ここは。



もう一度『お願い気づいて!』とアルフリート様に縋るように目を向けると、、、、。



あー、コレ、違う意味に解釈しちゃったかなぁ、うん。



「ミレーヌ、貴様、そんなに私との婚約を破棄したくないのだな。だが無理だ!

お前はこの私の愛しい人アリスを陰でイジメていたのだから。

そんな陰湿な者を将来この国の国王となる私の伴侶にする事などあり得ぬ!

絶対に婚約は破棄するぞ!」



『婚約破棄』・・・これで3回目かなぁ?


あぁ、また気が遠くなりそうだわ。
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