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「私も所謂、平民上がりの庶子だからですわ」
私が発した言葉で辺りが一瞬にして静まり返る。
予想外の言葉だったのか、ヴィンセント殿下は口を大きくあんぐりと開け、隣の男爵令嬢や後ろの側近候補たちと同じく固まっている。
本当、馬鹿じゃなかろうか。
「はっ?な、何を言い出すんだ貴様は。そんな苦しい言い訳は、、、」
固まっていたヴィンセント殿下が我に返ったのか、否定の言葉を言おうとして、それでも理解が追いつかないのか?それ以上の言葉が出てこない。
「いえ、本当の事ですよ?べルージュ公爵が、夫人付きの侍女だった母に手をつけて生まれたのが私です」
「で、でもそれじゃ平民上がりとは言えないじゃない。やっぱり言い逃れしようとしているんでしょ」
男爵令嬢、頑張るなぁ。まぁ、私が彼女に嫌がらせしたという証拠も無い状態だからこのままでは自分の身が危ういものね。
「公爵夫人が自分の夫に手を出した侍女を公爵家に置いておく訳ないじゃありませんか。侍女の妊娠に気づいた夫人によって、母は公爵家を追い出されました。
そして公爵夫人に睨まれるのを恐れた実家の子爵家にも絶縁されて、母は平民となったのです。
妊娠した上、いきなり平民となって困っていた母は幸いにも平民の男性に助けられ、のちに夫婦になったそうですわ」
「そ、そんなの皆の同情が欲しいマリアさんの作り話でしょ。じゃなきゃ今、公爵令嬢になっているなんておかしいじゃない!」
そう思うのも分かる。
普通なら庶子とは言え後継も、何なら政略結婚に使えそうな娘も居る公爵家が態々私を迎え入れる必要はない。何故そんな事になったのかといえば、、、、。
「殿下もそろそろ思い出したのではありませんか?」
「・・・・・・っ!」
私の言葉にまたも固まっていたヴィンセント殿下がハッとして私の方を見た。
「大衆食堂の息子であった父と結婚した母でしたが、私が5歳の時に流行病で亡くなりました。それでも義父と義祖父母は私を本当の娘として育ててくれたのです。
物心ついた頃からお店に顔を出し、7歳になる頃には店の看板娘として店の手伝いをしていました。
その私を見初めたのが、お忍びで城下の下町を訪れたヴィンセント殿下、貴方でしたわよね?」
そうなのだ。店の常連さんと楽しくお喋りしていた私を見かけて、一目惚れしたヴィンセント殿下が、店の前で『一緒に連れて帰る』『マリアと結婚するんだ!』とギャン泣きしながら大騒ぎをした。
騒ぎを聞きつけて集まる人々に慌てた護衛が、彼を小脇に抱え、まるで人攫いの様に連れ帰った、という事があった。
義父たちや見物していた人たちは、どこかの裕福な家の子どものその場限りのちょっとしたワガママ、と微笑ましく思っていただけだった。
けれど数日後に突然、私は王宮に連れ去られてしまったのだ。
どうやら私と出会った日からヴィンセント殿下は、王宮に戻ってもずっと『マリアと結婚する』と言い続け、『要求が通らないなら王子教育をしない!』と部屋に閉じこもってしまったらしい。
教育係も侍従たちも困り果て、王妃や国王陛下に諌めてもらおうとした。しかし、それでも諦めないヴィンセント殿下にどうしたものか、と皆が頭を抱えていた時に、護衛をしていた者が私の容姿をポロリと口にしたらしい。
平民にしては、見事な金髪と紫の瞳をしていた少女だった、と。
平民でも金髪が居ない訳ではない。それでも貴族たちに比べると色褪せたような色や茶色に近い金髪だったりが殆どだ。
そして紫の瞳は平民ではまずあり得ない色、それもこの国では紫の瞳はべルージュ公爵家の者しか持っていない色だった。
護衛の言葉ですぐ様、私の素性が調べ上げられ、べルージュ公爵の庶子だと発覚した。庶子ではあるが公爵令嬢ならば、と半ば王命の様な形で公爵家はべルージュ公爵の娘として認知させられた。
そうして私は公爵令嬢の娘である、と無理矢理家族から引き離されたのだ。
しかし、庶子だというのも、王族の婚約者としては外聞があまり良くない。
そこで『べルージュ公爵家の末娘は、幼少の頃より第二王子の婚約者として王宮住みとなり王子妃教育を受けていた』という作り話を王宮主導で広められ、私は公爵家には住まず王宮の一角に住む事となった。
「た、確かにそなたは市井で暮らしていた平民であったな。
だがしかし、だからこそ境遇が同じ庶子のソフィアが私に寵愛されたのが気に入らなかったのではないか。
それでワザとソフィアを蔑み貶めて鬱憤を晴らしていたのだろう?」
えぇ~。自分が忘れていた事を誤魔化す為にそっちに話を持っていこうとしてない?
あんたのせいで私は大好きな家族と引き離されたのに!
男爵令嬢もヴィンセント殿下の言葉を聞いて愉悦の笑みを浮かべているのがムカつく。
「それはあり得ませんわ。私は無理矢理家族と引き話されて、王宮に連れてこられたのですよ?」
私が平民であった事を隠す為に私の家族は、口止め料として金貨数十枚を押し付けられ無理矢理王都から追い出された。
『二度と王都には来るな』『戻ってきたり私に接触しようとしたら命の保証は無い』などと脅しをかけられて。
王立学園に入学してからある人に頼み、家族の行方を周囲に気づかれないように調べてもらった時に知った事実だ。
「それにこの際だから言いますけれど、私がどうして未だに王子妃教育が終了していないのか理由はお分かりですか?」
「それはお前の怠慢だからだろう!若しくはその能力が欠けているからだ!」
「いいえ、教師からは王子妃教育は問題無く終了の言葉は頂いております。王妃様からの終了の許可が降りないだけですわ」
「お前に王子妃としての能力が欠けていると母上が判断したのだろう!」
殿下の隣でソフィア嬢も大きく首を縦に振っている。
あ、側近候補たちも勢いよく頷いているわね。
首振り人形か!!
なんとしても私の過失にしたいのは分かるけれど、、、。
「そうですね。確かに王妃様から見ると、私は王子妃となる資質が欠けているのでしょう」
「やはり貴様自身に問題があるせいではないか」
やっと殿下の言葉を肯定した私に、殿下はしてやったりと満足気な顔をする。
「ですが、それはソフィア様にも言える事ですのよ?」
「マリアさん、ひどいっ!自分が王妃様に認められなかったからって」
「そうだ!私たちが真実の愛で結ばれていると知れば、きっと母上も認めて下さる筈だ。ソフィアは優しくて愛らしいしな」
優しく愛らしいだけでは王子妃教育に合格は貰えないと思いますけど?
というか『真実の愛』とかほざいてちゃってますけどいいの?
王子の不貞をサラッと暴露しちゃってますよ。
「殿下、私の王子妃教育が終了したら、私は正式に殿下の婚約者として国中に発表される予定だったのです」
そう、私はヴィンセント殿下の婚約者として貴族の間では知られていますが、実は王子妃教育が終了している事を条件に正式な婚約者となる、という取り決めがされていたのです。
「何だ、お前は婚約者候補だっただけなのか?」
殿下、本当に色々忘れすぎじゃないかな?もう呆れすぎてため息もでない。
「私が王宮に来て半年後に婚約式もしておりますよ、殿下。
ただ国民全体への発表をしていない、というだけです。
まぁ、そこはもうどうでも良い事です。王妃様が終了の許可をしなかったのは、殿下と私の婚約が不服だったからです」
「母上が単にお前に満足していなかった事とソフィアは関係あるまい」
「いえ、大ありです。王妃様は『平民上がりの庶子』、もっと言えばヴィンセント殿下の伴侶として、公爵令嬢とはいえ庶子風情が王子妃となるのが許せなかったのですよ」
「は?」
「ですから私との婚約を破棄しても、平民上がりの庶子、更には貴族として下位の男爵令嬢が殿下の伴侶として認めてもらえる訳がないのです」
またも固まっている殿下に畳み掛けるように言葉を続けた。
「王妃様は隣国の第一王女であり、お母様のご実家も王家の筆頭公爵家の由緒正しきお生まれだったそうですね。
高貴な血を重んじる家門の流れを汲み、王妃様自身もその血に誇りをもってこの国の王族に嫁いでらしたそうですよ?
ですからべルージュ公爵の血が流れていたとしても、公爵家の侍女をしていたたかが子爵令嬢の娘。
しかも実家からも絶縁され、平民となった女の娘など息子の伴侶としては認められない、と面と向かって言われましたよ?この学園に入学する時に」
「母上が?まさか、いやっ、でも。ソフィアなら、、、、」
私の言葉で青褪めながらもまだソフィア様なら、と口にする殿下ですが、隣に座るソフィア様は現実が見えてきたのか、顔色が悪くなってきましたわよ?
「もう国内の高位貴族のご令嬢がたは既にお相手がいるので、内々に他国の王族又は高位貴族中で、殿下のお相手をずっと探しているそうですよ?残念ながら中々見つからないみたいですけど」
実はヴィンセント殿下は他国からの評判はあまり宜しくないのよね。
王妃様に似てプライドは高いし、高飛車な物言いに加えて、肝心の王子としての能力が低い、と判断されている。気づいてないのは本人と王妃様だけみたい。
「平民上がりの庶子と言うのは、確かに見下されたりイジメられたりする事は多々ありますよねぇ」
私が呟いた言葉に何を勘違いしたのか、殿下がニヤリと笑った。この人、まだ私を貶められると思っているのかしら?
「やはりお前はそういう考えでもって、ソフィアをイジメていたのだろう!」
まだ言うか。この馬鹿王子。
もう婚約解消しているんだから後は2人で好きにすればいいじゃない。それとも私を悪役にすれば、男爵令嬢との婚約が認められて周りにも祝福されると信じているのかしら?
「私は自分がされてきた事を思い出していただけですが?」
「は?」
私が発した言葉で辺りが一瞬にして静まり返る。
予想外の言葉だったのか、ヴィンセント殿下は口を大きくあんぐりと開け、隣の男爵令嬢や後ろの側近候補たちと同じく固まっている。
本当、馬鹿じゃなかろうか。
「はっ?な、何を言い出すんだ貴様は。そんな苦しい言い訳は、、、」
固まっていたヴィンセント殿下が我に返ったのか、否定の言葉を言おうとして、それでも理解が追いつかないのか?それ以上の言葉が出てこない。
「いえ、本当の事ですよ?べルージュ公爵が、夫人付きの侍女だった母に手をつけて生まれたのが私です」
「で、でもそれじゃ平民上がりとは言えないじゃない。やっぱり言い逃れしようとしているんでしょ」
男爵令嬢、頑張るなぁ。まぁ、私が彼女に嫌がらせしたという証拠も無い状態だからこのままでは自分の身が危ういものね。
「公爵夫人が自分の夫に手を出した侍女を公爵家に置いておく訳ないじゃありませんか。侍女の妊娠に気づいた夫人によって、母は公爵家を追い出されました。
そして公爵夫人に睨まれるのを恐れた実家の子爵家にも絶縁されて、母は平民となったのです。
妊娠した上、いきなり平民となって困っていた母は幸いにも平民の男性に助けられ、のちに夫婦になったそうですわ」
「そ、そんなの皆の同情が欲しいマリアさんの作り話でしょ。じゃなきゃ今、公爵令嬢になっているなんておかしいじゃない!」
そう思うのも分かる。
普通なら庶子とは言え後継も、何なら政略結婚に使えそうな娘も居る公爵家が態々私を迎え入れる必要はない。何故そんな事になったのかといえば、、、、。
「殿下もそろそろ思い出したのではありませんか?」
「・・・・・・っ!」
私の言葉にまたも固まっていたヴィンセント殿下がハッとして私の方を見た。
「大衆食堂の息子であった父と結婚した母でしたが、私が5歳の時に流行病で亡くなりました。それでも義父と義祖父母は私を本当の娘として育ててくれたのです。
物心ついた頃からお店に顔を出し、7歳になる頃には店の看板娘として店の手伝いをしていました。
その私を見初めたのが、お忍びで城下の下町を訪れたヴィンセント殿下、貴方でしたわよね?」
そうなのだ。店の常連さんと楽しくお喋りしていた私を見かけて、一目惚れしたヴィンセント殿下が、店の前で『一緒に連れて帰る』『マリアと結婚するんだ!』とギャン泣きしながら大騒ぎをした。
騒ぎを聞きつけて集まる人々に慌てた護衛が、彼を小脇に抱え、まるで人攫いの様に連れ帰った、という事があった。
義父たちや見物していた人たちは、どこかの裕福な家の子どものその場限りのちょっとしたワガママ、と微笑ましく思っていただけだった。
けれど数日後に突然、私は王宮に連れ去られてしまったのだ。
どうやら私と出会った日からヴィンセント殿下は、王宮に戻ってもずっと『マリアと結婚する』と言い続け、『要求が通らないなら王子教育をしない!』と部屋に閉じこもってしまったらしい。
教育係も侍従たちも困り果て、王妃や国王陛下に諌めてもらおうとした。しかし、それでも諦めないヴィンセント殿下にどうしたものか、と皆が頭を抱えていた時に、護衛をしていた者が私の容姿をポロリと口にしたらしい。
平民にしては、見事な金髪と紫の瞳をしていた少女だった、と。
平民でも金髪が居ない訳ではない。それでも貴族たちに比べると色褪せたような色や茶色に近い金髪だったりが殆どだ。
そして紫の瞳は平民ではまずあり得ない色、それもこの国では紫の瞳はべルージュ公爵家の者しか持っていない色だった。
護衛の言葉ですぐ様、私の素性が調べ上げられ、べルージュ公爵の庶子だと発覚した。庶子ではあるが公爵令嬢ならば、と半ば王命の様な形で公爵家はべルージュ公爵の娘として認知させられた。
そうして私は公爵令嬢の娘である、と無理矢理家族から引き離されたのだ。
しかし、庶子だというのも、王族の婚約者としては外聞があまり良くない。
そこで『べルージュ公爵家の末娘は、幼少の頃より第二王子の婚約者として王宮住みとなり王子妃教育を受けていた』という作り話を王宮主導で広められ、私は公爵家には住まず王宮の一角に住む事となった。
「た、確かにそなたは市井で暮らしていた平民であったな。
だがしかし、だからこそ境遇が同じ庶子のソフィアが私に寵愛されたのが気に入らなかったのではないか。
それでワザとソフィアを蔑み貶めて鬱憤を晴らしていたのだろう?」
えぇ~。自分が忘れていた事を誤魔化す為にそっちに話を持っていこうとしてない?
あんたのせいで私は大好きな家族と引き離されたのに!
男爵令嬢もヴィンセント殿下の言葉を聞いて愉悦の笑みを浮かべているのがムカつく。
「それはあり得ませんわ。私は無理矢理家族と引き話されて、王宮に連れてこられたのですよ?」
私が平民であった事を隠す為に私の家族は、口止め料として金貨数十枚を押し付けられ無理矢理王都から追い出された。
『二度と王都には来るな』『戻ってきたり私に接触しようとしたら命の保証は無い』などと脅しをかけられて。
王立学園に入学してからある人に頼み、家族の行方を周囲に気づかれないように調べてもらった時に知った事実だ。
「それにこの際だから言いますけれど、私がどうして未だに王子妃教育が終了していないのか理由はお分かりですか?」
「それはお前の怠慢だからだろう!若しくはその能力が欠けているからだ!」
「いいえ、教師からは王子妃教育は問題無く終了の言葉は頂いております。王妃様からの終了の許可が降りないだけですわ」
「お前に王子妃としての能力が欠けていると母上が判断したのだろう!」
殿下の隣でソフィア嬢も大きく首を縦に振っている。
あ、側近候補たちも勢いよく頷いているわね。
首振り人形か!!
なんとしても私の過失にしたいのは分かるけれど、、、。
「そうですね。確かに王妃様から見ると、私は王子妃となる資質が欠けているのでしょう」
「やはり貴様自身に問題があるせいではないか」
やっと殿下の言葉を肯定した私に、殿下はしてやったりと満足気な顔をする。
「ですが、それはソフィア様にも言える事ですのよ?」
「マリアさん、ひどいっ!自分が王妃様に認められなかったからって」
「そうだ!私たちが真実の愛で結ばれていると知れば、きっと母上も認めて下さる筈だ。ソフィアは優しくて愛らしいしな」
優しく愛らしいだけでは王子妃教育に合格は貰えないと思いますけど?
というか『真実の愛』とかほざいてちゃってますけどいいの?
王子の不貞をサラッと暴露しちゃってますよ。
「殿下、私の王子妃教育が終了したら、私は正式に殿下の婚約者として国中に発表される予定だったのです」
そう、私はヴィンセント殿下の婚約者として貴族の間では知られていますが、実は王子妃教育が終了している事を条件に正式な婚約者となる、という取り決めがされていたのです。
「何だ、お前は婚約者候補だっただけなのか?」
殿下、本当に色々忘れすぎじゃないかな?もう呆れすぎてため息もでない。
「私が王宮に来て半年後に婚約式もしておりますよ、殿下。
ただ国民全体への発表をしていない、というだけです。
まぁ、そこはもうどうでも良い事です。王妃様が終了の許可をしなかったのは、殿下と私の婚約が不服だったからです」
「母上が単にお前に満足していなかった事とソフィアは関係あるまい」
「いえ、大ありです。王妃様は『平民上がりの庶子』、もっと言えばヴィンセント殿下の伴侶として、公爵令嬢とはいえ庶子風情が王子妃となるのが許せなかったのですよ」
「は?」
「ですから私との婚約を破棄しても、平民上がりの庶子、更には貴族として下位の男爵令嬢が殿下の伴侶として認めてもらえる訳がないのです」
またも固まっている殿下に畳み掛けるように言葉を続けた。
「王妃様は隣国の第一王女であり、お母様のご実家も王家の筆頭公爵家の由緒正しきお生まれだったそうですね。
高貴な血を重んじる家門の流れを汲み、王妃様自身もその血に誇りをもってこの国の王族に嫁いでらしたそうですよ?
ですからべルージュ公爵の血が流れていたとしても、公爵家の侍女をしていたたかが子爵令嬢の娘。
しかも実家からも絶縁され、平民となった女の娘など息子の伴侶としては認められない、と面と向かって言われましたよ?この学園に入学する時に」
「母上が?まさか、いやっ、でも。ソフィアなら、、、、」
私の言葉で青褪めながらもまだソフィア様なら、と口にする殿下ですが、隣に座るソフィア様は現実が見えてきたのか、顔色が悪くなってきましたわよ?
「もう国内の高位貴族のご令嬢がたは既にお相手がいるので、内々に他国の王族又は高位貴族中で、殿下のお相手をずっと探しているそうですよ?残念ながら中々見つからないみたいですけど」
実はヴィンセント殿下は他国からの評判はあまり宜しくないのよね。
王妃様に似てプライドは高いし、高飛車な物言いに加えて、肝心の王子としての能力が低い、と判断されている。気づいてないのは本人と王妃様だけみたい。
「平民上がりの庶子と言うのは、確かに見下されたりイジメられたりする事は多々ありますよねぇ」
私が呟いた言葉に何を勘違いしたのか、殿下がニヤリと笑った。この人、まだ私を貶められると思っているのかしら?
「やはりお前はそういう考えでもって、ソフィアをイジメていたのだろう!」
まだ言うか。この馬鹿王子。
もう婚約解消しているんだから後は2人で好きにすればいいじゃない。それとも私を悪役にすれば、男爵令嬢との婚約が認められて周りにも祝福されると信じているのかしら?
「私は自分がされてきた事を思い出していただけですが?」
「は?」
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