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イケアの街と面倒事
お願い事が多すぎやしませんか?
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屋台の方も大盛況で2日目も終わり、商業ギルド経由でレシピ販売した3軒のお店のフォローも無事に終わった。
明日からは他のお店にレシピの売り込みをする予定だ。と言っても目星をつけたお店に『料理レシピは如何ですか~。良かったら買って下さいね。』と試食を持って、少しお伺いに行く程度だ。
もうゴリ押しはゴメンなのだ。
それにその場でレシピを見せたり教えたりする事は出来ないので『お店で出したいと思ったら商業ギルドで買って下さいね~。』ぐらいしか言えないからね。
まぁ、どうやら『まんぷく亭』以外は普通の売り方だったみたいだけど、ゴリ押しした相手が悪かったと思う。
他の2軒のお店だったら、あんな風に文句を言われる事も無かったんじゃないかなぁ。
リサさんもダニーさんも、たぶん悪い人では無かったと思うし、大した説明もせずにゴリ押しで買わされれば腹も立つよ。
夕食を食べて部屋で休んでいると、セバスさんが訪ねてきてロイドさんから話がある、と呼ばれた。
セバスさんについて執務室に入ると、ロイドさんはソファに座っていて、横の壁には不機嫌そうなクリスが執事見習い姿で立っていた。
あれっ?クリスとしっかり会うのは3日日ぶり?
商業ギルドに行ったり、準備や屋台の出店で慌しかったもんなぁ。
クリスもロイドさんに何か頼まれていたのかな。
久しぶりに見たから何だか懐かしく感じるね。3日ぶりくらいだけど。
「やぁ、ティアナさん。フライドポテトの販売は順調のようだね。2日間とも凄い行列が出来ていたと聞いたよ。」
「ありがとうございます。料理人さんやアーニャさんたちをお貸し下さってありがとうございます。
私一人では出来ない事なので本当に助かりました。」
ソファに座ったまま頭を下げた。
「料理レシピも、もう3軒のお店で売れたらしいね。」
いや、それはギルド職員の売り込みだから。
もしかしたら、フライドポテトの方も、昨日、今日の行列を見て商業ギルドに問い合わせした人も居るかも知れないけれど。
「きっとティアナさんの料理レシピを購入したい店はどんどん増えるはずだよ。
ティアナさんの料理は、他では食べた事もない物ばかりで独創性があるからね。」
何だかロイドさんが褒めてくれているのに、嘘臭い笑顔なので褒め言葉がイマイチ信用出来ない。
それに知っている料理を作っているだけだからね、独創性は皆無だよね。
「ラルフも君の料理を凄く気に入っていたよ。また食べたい、と言っていた。
ところで近々、兄のコーギー男爵がこの邸に訪問するそうなんだ。」
「はっ、え?ルードさんて、この前の馬車の、、、。」
えぇっ!弟の馬車を襲わせておいてシレっと邸訪問なんてしちゃうの?
頭おかしくない?
ロイドさんも何でニコニコ話してんの?
「うん、馬車の件は何の確証もないし、仕掛けた人間も分かっていないんだよね。怪しい奴らは居るんだけどさ。
それでクリス殿にも目撃者や物的証拠が無いか、見つけるのに協力して貰っているところなんだ。
珍しくルードはイケアの別邸ではなくてコーギー男爵領に戻っていたらしいけれどね。」
という事は『犯人探ししていないっぽいし、俺大丈夫じゃね?』的に安心したって事か?
「まぁ、元々、この邸には月に一度は金の無心に来ていたし、2回、3回と来る事もあったからそろそろかな、とは思っていたんだよね。」
マジかっ!
そんなにお金の無心していて、殺そうとするなんて恩を仇で返すってやつじゃない!?
あぁ~、一々、貰いに行くのが面倒になったから乗っ取ろうとしてるとか?
「そういう事でね、ルードが来たら君の料理で、もてなそうと思っているんだ。」
はい?そういう事って、どういう事?
何で殺そうとした相手をもてなすの?しかも私の料理で、っておかしいでしょ。
クリスも渋面してんじゃん。
「えーっと、何で私の料理でもてなすのか聞いても?」
「あ、料理はレシピ登録してある物を中心にするので勿論ウチの料理人たちが作るよ。
君には新しい料理を2、3品考えて作って欲しいんだ。
ルードが気に入ったらお土産に渡すつもりだから、出来れば持ち運びやすく日持ちする物が良いんだけど。
あぁ、そうだ!レシピ登録の申請書類は先に私が貰っておけば、お土産で持たせても大丈夫だろう?」
え、何、この人。質問の答えになっていないし、お願い多くない?
「コーギー男爵にティアナも紹介するつもりか?」
仏頂面アンド不機嫌な声でクリスが壁際から聞いてくる。
うん、それ大事よね。
「あぁ、食事の時だけは居て欲しいかな。食べた事のない料理に興味を示して話を聞きたがるだろうから。それ以外は一緒に居なくていいし外出してくれて構わないよ。」
もう晩餐に同席するの決定じゃん。これはお願いじゃなくて命令じゃない?
明日からは他のお店にレシピの売り込みをする予定だ。と言っても目星をつけたお店に『料理レシピは如何ですか~。良かったら買って下さいね。』と試食を持って、少しお伺いに行く程度だ。
もうゴリ押しはゴメンなのだ。
それにその場でレシピを見せたり教えたりする事は出来ないので『お店で出したいと思ったら商業ギルドで買って下さいね~。』ぐらいしか言えないからね。
まぁ、どうやら『まんぷく亭』以外は普通の売り方だったみたいだけど、ゴリ押しした相手が悪かったと思う。
他の2軒のお店だったら、あんな風に文句を言われる事も無かったんじゃないかなぁ。
リサさんもダニーさんも、たぶん悪い人では無かったと思うし、大した説明もせずにゴリ押しで買わされれば腹も立つよ。
夕食を食べて部屋で休んでいると、セバスさんが訪ねてきてロイドさんから話がある、と呼ばれた。
セバスさんについて執務室に入ると、ロイドさんはソファに座っていて、横の壁には不機嫌そうなクリスが執事見習い姿で立っていた。
あれっ?クリスとしっかり会うのは3日日ぶり?
商業ギルドに行ったり、準備や屋台の出店で慌しかったもんなぁ。
クリスもロイドさんに何か頼まれていたのかな。
久しぶりに見たから何だか懐かしく感じるね。3日ぶりくらいだけど。
「やぁ、ティアナさん。フライドポテトの販売は順調のようだね。2日間とも凄い行列が出来ていたと聞いたよ。」
「ありがとうございます。料理人さんやアーニャさんたちをお貸し下さってありがとうございます。
私一人では出来ない事なので本当に助かりました。」
ソファに座ったまま頭を下げた。
「料理レシピも、もう3軒のお店で売れたらしいね。」
いや、それはギルド職員の売り込みだから。
もしかしたら、フライドポテトの方も、昨日、今日の行列を見て商業ギルドに問い合わせした人も居るかも知れないけれど。
「きっとティアナさんの料理レシピを購入したい店はどんどん増えるはずだよ。
ティアナさんの料理は、他では食べた事もない物ばかりで独創性があるからね。」
何だかロイドさんが褒めてくれているのに、嘘臭い笑顔なので褒め言葉がイマイチ信用出来ない。
それに知っている料理を作っているだけだからね、独創性は皆無だよね。
「ラルフも君の料理を凄く気に入っていたよ。また食べたい、と言っていた。
ところで近々、兄のコーギー男爵がこの邸に訪問するそうなんだ。」
「はっ、え?ルードさんて、この前の馬車の、、、。」
えぇっ!弟の馬車を襲わせておいてシレっと邸訪問なんてしちゃうの?
頭おかしくない?
ロイドさんも何でニコニコ話してんの?
「うん、馬車の件は何の確証もないし、仕掛けた人間も分かっていないんだよね。怪しい奴らは居るんだけどさ。
それでクリス殿にも目撃者や物的証拠が無いか、見つけるのに協力して貰っているところなんだ。
珍しくルードはイケアの別邸ではなくてコーギー男爵領に戻っていたらしいけれどね。」
という事は『犯人探ししていないっぽいし、俺大丈夫じゃね?』的に安心したって事か?
「まぁ、元々、この邸には月に一度は金の無心に来ていたし、2回、3回と来る事もあったからそろそろかな、とは思っていたんだよね。」
マジかっ!
そんなにお金の無心していて、殺そうとするなんて恩を仇で返すってやつじゃない!?
あぁ~、一々、貰いに行くのが面倒になったから乗っ取ろうとしてるとか?
「そういう事でね、ルードが来たら君の料理で、もてなそうと思っているんだ。」
はい?そういう事って、どういう事?
何で殺そうとした相手をもてなすの?しかも私の料理で、っておかしいでしょ。
クリスも渋面してんじゃん。
「えーっと、何で私の料理でもてなすのか聞いても?」
「あ、料理はレシピ登録してある物を中心にするので勿論ウチの料理人たちが作るよ。
君には新しい料理を2、3品考えて作って欲しいんだ。
ルードが気に入ったらお土産に渡すつもりだから、出来れば持ち運びやすく日持ちする物が良いんだけど。
あぁ、そうだ!レシピ登録の申請書類は先に私が貰っておけば、お土産で持たせても大丈夫だろう?」
え、何、この人。質問の答えになっていないし、お願い多くない?
「コーギー男爵にティアナも紹介するつもりか?」
仏頂面アンド不機嫌な声でクリスが壁際から聞いてくる。
うん、それ大事よね。
「あぁ、食事の時だけは居て欲しいかな。食べた事のない料理に興味を示して話を聞きたがるだろうから。それ以外は一緒に居なくていいし外出してくれて構わないよ。」
もう晩餐に同席するの決定じゃん。これはお願いじゃなくて命令じゃない?
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