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元侯爵令嬢は屋台と知恵を使って起業する
説教タイムとカント最後の夜
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「色々言いたい事はあるが・・・・ワショク?は全部美味しかった。」
宿屋に戻って私の部屋での恒例の話し合いは、説教タイムから始まるかと思っていた。
でも、意地悪で腹黒さも感じるクリスだけど、こう言う言葉はちゃんとストレートに伝えてくれるんだよね。それにクリスにはなんとなく育ちの良さを感じる。昔はどこぞのお坊ちゃまだったのかな。
「へへへ、ありがとう~。今日の料理だとキャベツとボアの肉味噌炒めが私のお気に入り料理なんだぁ。」
「うん、あれも美味しかった。で?あの魔法鞄についての話だが。」
おぅっ、もう本題に入るのか~。
「ホラ、空間収納だとちょっと目立つかなぁ~って。さりげなく鞄から出すようにしたい、と思ったの。それで考えたんだけど、この世界には魔法鞄があるんじゃないかなーって。何となく噂で聞いた事があった気がするし。」
そうそう!異世界の定番アイテムは必須でしょ。魔法が存在するんだもん。無いわけないよね?
「一応、気を遣った結果が商人でも特に裕福でないと持っていない魔法鞄を持つ事だった、と。冒険者でもAランク以上のベテランにでもにならないと持てない物だぞ?」
「うっ、ホラ、そこは箱入り娘だから世間知らずなもので。あ、コレ、クリスの分って事で。」
言葉に詰まってクリスにウェストポーチを差し出す。クリスは片眉がピクリと吊り上がりつつも受け取ってくれた。
「・・・まさか、コレも?」
「うん!ほらっ一緒に旅するならクリスも必要かなぁって。クリスはウェストに付けるタイプがいいんじゃないかって思ったんだよね~。
あ、魔法鞄、ここにクリスの魔力を込めるとクリス専用で使える様になっているんだよ。」
クリスに話す隙を与えない様に一気に捲し上げる。
出来ればこの勢いに流されて欲しい。そして説教タイムを終了してくれ!
「またどうせ鞄に手でも突っ込んで捏ねくり回して作ったら出来た!とか言うんだろ。」
クリスがウェストポーチをひっくり返したり中を覗いたりしながら言った。
「ひどっ!確かにそんな感じだったんだけど、その言い方は何かヤダ!」
人が頑張って魔法で作ったのに、捏ねくり回すって、なんか魔法を表現する言葉には聞こえないよね。
「はぁ~、・・・これからは取り敢えず、何かを作りだしたりしたら先に言ってくれ。そしていきなり人前で披露するな。」
大きくため息をついて言ったクリスは、それでもウェストポーチが気になるようでサワサワとしきりに触っていた。
きっと早く自分の魔力を込めたいんだろうね。魔法鞄について説教している立場だから今は遠慮しているんだろう。
なんか欲しいおもちゃを買って貰った子どもが早く遊んでみたくてソワソワしている感じだよね。可愛いとこあるじゃん。
「それで?許可証も取ったしカントを出るのか?」
お、早く部屋に戻りたくなったのかな?良かった!思ったよりも説教タイムが長引かなくて済んだ~。やっぱり袖の下効果は抜群だね。
「うん、やっぱり王都に近いのはちょっと心配だから明日にもここを出ようと思う。」
「その方がいいだろうな。まだ2、3日しか経っていないから可能性は低いだろうが、アイツらが追いかけてくる、という事もあり得る。次はどこに行くか決めたのか?」
うん、まだあの人たちは私を追い出して喜びに浸っているだろうけど、カントに居たという目撃者も少ない方が良いと思うんだよね。
「エリスさんが言ってたイケアかニトにしようかと思っているんだけどどうかな?」
王国内の事は地図と本でしか分からないからここはクリスを頼るしかない。
「そうだな・・・。ここから乗り合い馬車で先に着くのはイケアだな。約2日かかる。カントの街より少し小さいが治安も良く活気のある街だったと思う。
ニトはやや西寄りでイケアよりも遠く馬車で3日かかる。イケアと似たような感じだがニトの方が牧場が幾つかあったりしてやや長閑な雰囲気があるかな。」
昔の記憶を思い出しているのか、思案顔でゆっくり話すクリス。どちらも問題無さそうって事かな。
「じゃあ、イケアに行ってからニトにも行ってみようかな。まず、イケアで屋台を修理してくれる店を探したいな。」
「よし、わかった。明日の朝一に馬車に乗って行こう。今日はもう余計な事をしないで寝ろよ。」
そう言ってクリスは部屋を出て行った。その言葉が余計じゃない?と思ったけど、そう言われたら私もすぐ荷物をまとめて寝るしかない。今日はクリーンをかけるだけで済まして早く寝た。あぁ湯船が恋しい。
宿屋に戻って私の部屋での恒例の話し合いは、説教タイムから始まるかと思っていた。
でも、意地悪で腹黒さも感じるクリスだけど、こう言う言葉はちゃんとストレートに伝えてくれるんだよね。それにクリスにはなんとなく育ちの良さを感じる。昔はどこぞのお坊ちゃまだったのかな。
「へへへ、ありがとう~。今日の料理だとキャベツとボアの肉味噌炒めが私のお気に入り料理なんだぁ。」
「うん、あれも美味しかった。で?あの魔法鞄についての話だが。」
おぅっ、もう本題に入るのか~。
「ホラ、空間収納だとちょっと目立つかなぁ~って。さりげなく鞄から出すようにしたい、と思ったの。それで考えたんだけど、この世界には魔法鞄があるんじゃないかなーって。何となく噂で聞いた事があった気がするし。」
そうそう!異世界の定番アイテムは必須でしょ。魔法が存在するんだもん。無いわけないよね?
「一応、気を遣った結果が商人でも特に裕福でないと持っていない魔法鞄を持つ事だった、と。冒険者でもAランク以上のベテランにでもにならないと持てない物だぞ?」
「うっ、ホラ、そこは箱入り娘だから世間知らずなもので。あ、コレ、クリスの分って事で。」
言葉に詰まってクリスにウェストポーチを差し出す。クリスは片眉がピクリと吊り上がりつつも受け取ってくれた。
「・・・まさか、コレも?」
「うん!ほらっ一緒に旅するならクリスも必要かなぁって。クリスはウェストに付けるタイプがいいんじゃないかって思ったんだよね~。
あ、魔法鞄、ここにクリスの魔力を込めるとクリス専用で使える様になっているんだよ。」
クリスに話す隙を与えない様に一気に捲し上げる。
出来ればこの勢いに流されて欲しい。そして説教タイムを終了してくれ!
「またどうせ鞄に手でも突っ込んで捏ねくり回して作ったら出来た!とか言うんだろ。」
クリスがウェストポーチをひっくり返したり中を覗いたりしながら言った。
「ひどっ!確かにそんな感じだったんだけど、その言い方は何かヤダ!」
人が頑張って魔法で作ったのに、捏ねくり回すって、なんか魔法を表現する言葉には聞こえないよね。
「はぁ~、・・・これからは取り敢えず、何かを作りだしたりしたら先に言ってくれ。そしていきなり人前で披露するな。」
大きくため息をついて言ったクリスは、それでもウェストポーチが気になるようでサワサワとしきりに触っていた。
きっと早く自分の魔力を込めたいんだろうね。魔法鞄について説教している立場だから今は遠慮しているんだろう。
なんか欲しいおもちゃを買って貰った子どもが早く遊んでみたくてソワソワしている感じだよね。可愛いとこあるじゃん。
「それで?許可証も取ったしカントを出るのか?」
お、早く部屋に戻りたくなったのかな?良かった!思ったよりも説教タイムが長引かなくて済んだ~。やっぱり袖の下効果は抜群だね。
「うん、やっぱり王都に近いのはちょっと心配だから明日にもここを出ようと思う。」
「その方がいいだろうな。まだ2、3日しか経っていないから可能性は低いだろうが、アイツらが追いかけてくる、という事もあり得る。次はどこに行くか決めたのか?」
うん、まだあの人たちは私を追い出して喜びに浸っているだろうけど、カントに居たという目撃者も少ない方が良いと思うんだよね。
「エリスさんが言ってたイケアかニトにしようかと思っているんだけどどうかな?」
王国内の事は地図と本でしか分からないからここはクリスを頼るしかない。
「そうだな・・・。ここから乗り合い馬車で先に着くのはイケアだな。約2日かかる。カントの街より少し小さいが治安も良く活気のある街だったと思う。
ニトはやや西寄りでイケアよりも遠く馬車で3日かかる。イケアと似たような感じだがニトの方が牧場が幾つかあったりしてやや長閑な雰囲気があるかな。」
昔の記憶を思い出しているのか、思案顔でゆっくり話すクリス。どちらも問題無さそうって事かな。
「じゃあ、イケアに行ってからニトにも行ってみようかな。まず、イケアで屋台を修理してくれる店を探したいな。」
「よし、わかった。明日の朝一に馬車に乗って行こう。今日はもう余計な事をしないで寝ろよ。」
そう言ってクリスは部屋を出て行った。その言葉が余計じゃない?と思ったけど、そう言われたら私もすぐ荷物をまとめて寝るしかない。今日はクリーンをかけるだけで済まして早く寝た。あぁ湯船が恋しい。
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