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元侯爵令嬢は屋台と知恵を使って起業する
元侯爵令嬢の料理の味は?
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クリスの説教は長くなりそうだったので、一先ず調味料専門店の店長さんへのプレゼン用の料理を先に作る事を提案して話し合いを先延ばしにする事に成功した。
和食でも中華でもこの際、この調味料たちを使って料理を幾つか作らないといけない。
でもジパーンの調味料をアピール出来る料理ってなんだろうね。当たり前のように身近にあって使用していたからなぁ。
日本人の基本、『ご飯に味噌汁』でもう立派な和食よね、と思ってしまう。それにお漬物があればいう事ないなぁ。あ、漬物って私でも作れるかな、糠床は難しいけど一夜漬けなら何とかなる?
何を作ろうかと考えている内に思考が脱線する。食の好みは人それぞれだし年齢にもよっても好みが変わってくるんだよねぇ。何がいいかなぁ?
とりあえず私が料理が出来る事、そして料理レシピの案を幾つも持っている事 ー 私が知っている料理、というだけなんだけどね ー を理解してもらいつつ、調味料のアピールをしよう。
そして今!店内奥の商談室で試食タイム兼夕飯だ。
店長さんにはもうバレちゃっているので、普通に魔法鞄から出来立ての料理を並べると部屋の中にいい匂いが充満した。
「えと、店長さん、コレはまだ登録されていない商品です。ですから今日の事は内緒にして下さいね。」
そう言って店長さん見ると、驚きに目を丸くしながら料理に釘付けになっている店長さんが居た。この驚き具合はどちらに対してかな?私が料理出来ると思っていなかっただろうし。
「こ、れは凄いですね。匂いだけで食欲がそそられます。それに見た事もない料理ばかりだ。・・・では食べさせて頂きます。」
そう言って店長さんは恐る恐る目の前に置かれた料理を食べ始めた。確かに未知の料理に手をつけるのはちょっと勇気いるよね。食わず嫌いなんて言葉もあるし。あ、茶色い料理ばっかりだった?もう少し彩りのよい料理でアピールすれば良かったか、と少し不安になる。
「「っ!?」」
2人が思い思いに料理を口に入れた途端、驚いた表情をしている。
あまり時間をかけられなかったもで今夜作ったのは、シンプルに白米にボアの生姜焼き、肉じゃがに大根とワカメの味噌汁、ボアの肉味噌炒めと出汁巻き卵、そして味噌おにぎり。
どうしよう、2人も無言でパクパクと食べ続けてるんだけど?美味しいって事だよね?
「・・・肉、お代わりあるか?」
やっと私の方に顔を向けたクリスがボソリと言った。いや、あなたは普通にお腹いっぱい食べたかっただけなの?
「あ、あるよ。これはボア肉で作った生姜焼きっていうんだよ。醤油を使っているの。」
料理名と使った調味料を店長さんにも聞こえるように言いながらお代わりの生姜焼きを出す。クリスはやっぱり若いから肉がいいのだろうけど、少しはあなたも感想を言いなさいよ。
店長さんは肉じゃがが気に入った様子。お味噌汁も飲んでほっこりしている。でもお味噌汁は飲むのに少し勇気がいったみたい。茶色いしなー。でも飲んだら『んおっ!?』って顔になったのが少し面白かった。
「このボアの肉味噌炒めというやつも美味いな。」
クリス、やっぱり肉か、肉にしか興味がいかないのか。
「それはキャベツとボア肉を味噌を使って炒めているの。少しだけオイスターソースも入れてあるんだよ。
他にも砂糖や味醂、醤油、酒なんかを入れたりしてちょっと甘辛い感じにしてみた。」
肉味噌炒めは肉に片栗粉と卵を先に混ぜているのがポイントかな。この方法を知ってからハマってよく作ったんだよねぇ。
クリスより気になる店長さんの評価はどうだろう。
「店長さん、お味はどうでしたか?」
「・・・エリック。」
「はぃ?」
「私の名前はエリックと言います。ティアナさん、ジパーンのあの調味料を使うとこんなに美味しい料理になるのですね。この三角の米の固まりは何ですか?」
「これはお米を三角に握ったおにぎりと言う食べ物です。食材を中に入れて色々な味が楽しめるんですよ。
肉やお魚を焼いて入れたりお米自身に味をつけて握っても美味しいです。
今回は味噌の良さを知ってもらおうと味噌を塗ってオーブンで焼いた味噌おにぎりという味にしてみました。醤油を塗って食べる焼きおにぎりも美味しいですよ。
それにおにぎりは持ち運び安く食べやすい形をしているでしょう?屋台で販売したりピクニックや外出時に持っていくのに良いかと思うんです。」
おにぎりは屋台で販売するのに向いていると思うんだよね。具はそれこそお好みで何でも良いからその時に手に入る食材でいいと思うし。
「肉とじゃがいもの料理は肉じゃがと言って醤油、味醂と日本酒を使っています。
だし巻き卵はあの木片みたいな固まりがありましたよね?あれを削って湯でさっと煮出して作った煮汁を使っています。
私が知っている和食という料理の多くにはこの醤油、味噌、味醂などが良く使われ、料理のベースになっているようなものです。勿論、これらに塩、砂糖、胡椒などこちらでもよく使われている調味料も一緒に使われています。」
肉じゃがは勿論、店長さんに向けてのアピール料理だ。煮物の中で定番中の定番料理で万人受けする料理だと個人的に思っている。しかも意外に作るのが簡単だよね。
だし巻き卵は普通の卵焼きでもいいかな、と思ったけどオムレツに似ているからインパクトに欠けるかと、今回は和食アピールでだし巻き卵にしてみた。たぶん食べてみたら思っていた味と違って驚いたんじゃないかな。
「そうですか、あの調味料がこんな風に料理に使われるとは。しかもこれらの料理はほんの一部なのですよね。ティアナさんが甕を抱きしめて喜んでいたのが今、分かった気がしますよ。」
エリックさんがにこやか言ったけど、甕を抱きしめて喜んでいたのは忘れて欲しい。
醤油や味噌は味見しただけでは料理のイメージが湧かないものかも知れないな。塩と違って独特な匂いもするし。
「ティアナさんの商会の名前を教えて下さい。」
「はい、エトリナ商会と言う名で今日から開業です!」
私は青色のカードを取り出してエリックさんに見せた。
見せびらかしたかっただけではないよ。きちんと商人になった事を知ってもらう為だ。
青色のカードを手に取って確認したエリックさんは私に返しながら少し真面目な顔をして言った。
「アルデバランの商団が来た時にはエトリナ商会のティアナさんの事はしっかりと伝えておきます。そしてうちの店でも継続して仕入れたいと交渉するつもりです。」
「本当ですか!ありがとうございます。これらの料理は早めに登録するようにしますね。使った調味料もこちらのお店にある事をギルドには伝えるようにします。
継続仕入れを後押し出来るよう私もレシピ登録と屋台で宣伝していきます。
それに他の町に行ったらエリックさんと同じ様に調味料を持っている店があるかも知れませんよね?お店を見つけたら立ち寄るようにしてみます。」
そうだよ。エリックさんのお店には半年に1度でも商団の取引先は他にもあるハズだよね。
「そうかも知れませんね。アルデバラン商団と取引をしている店を幾つか知っていますので、後で紹介状と一緒にリストをお渡しします。
それから商団のについてギルド経由で連絡しますが、ティアナさんも用事が無くても偶には近況を教えて下さい。
折角こうして良い出会いがあったのですから、今後も商人として歳の離れた友人としても宜しくお願いします。次に会う時は妻と息子を紹介します。」
エリックさんが穏やかな目で右手を差し出して言った。
そうか、今回は偶々エリックさんが良い人だったからこうして話も聞いてくれて料理を披露する時間を作ってくれた。
けど、店に出していない商品をみせろとか、いきなり商団を紹介しろ、と言うのは図々しかったか、と今更だけど気がついた。
商売をするなら身元が分かればいい、ってもんじゃないよね。カードを見せたって店や商会の信用は別だ。しかも登録したばかりの商会で実績もない上に成人したての素人だ。
それが『料理のレシピを登録します』『屋台で稼ぎます』と言ったって『何を言っているんだ。』としか思われないのは当たり前だった。
美味しい料理を幾つも知っていても所詮、今は私の頭の中にあるだけなのに。
紹介状も無しに他の店を訪ねても門前払いされる可能性がある。その為に私を信用してお店のリストと紹介状を書いてくれるなんて感謝してもしきれないな。
「ありがとうございます。エリックさんの信用と信頼に応えられるように頑張ります。こちらこそ宜しくお願いします。」
私もそう言ってエリックさんと握手を交わした。
商売は頑張れば良い、というだけではなく結果も必要だと分かっている。けれど今の私には頑張るとしかまだ言えない。
きっと近況を教えてくれ、と言ったのは、私が商人としてやっていけるかと気にかけてくれたからだよね。エリックさんに安心してもらえる様に、私の仕事ぶりをしっかり報告しないといけないね。
帰り際、エリックさんに今日は買わなかった塩や砂糖などの調味料をお土産にたくさん貰ってしまった。
遠慮したのだけれど、料理のレシピ作成用に使ってくれ、と言われ、断るのも失礼になるので有り難く頂いて帰った。
私もお礼にエリックさんのお気に入りの肉じゃがのレシピをこっそりと教えた。商人として無料で情報を渡すのは本当ならダメなんだと思う。
でも商談との繋ぎをお願いしているし、エリックさんだって今のところ無償で動いてくれる事になる。
エリックさんにしたらまだ儲け話に繋がるかどうか分からない状態だ。だから私が渡せる対価として『家で作って食べて下さい』とさっと書いたレシピを渡した。
エリックさんも最初は辞退したけれど最終的には『レシピ登録されるまではこっそり家で食べます。』と言って受け取ってくれた。
思いがけず早い段階で調味料を手に入れる事が出来た事、作った料理も好評で商会のスタートとして弾みがつきそうで今日は最高に気分が良い日だった。
そして今日の最後の締めくくりは ー 。
さぁ、帰ったらお説教タイムが待っているぞ!
和食でも中華でもこの際、この調味料たちを使って料理を幾つか作らないといけない。
でもジパーンの調味料をアピール出来る料理ってなんだろうね。当たり前のように身近にあって使用していたからなぁ。
日本人の基本、『ご飯に味噌汁』でもう立派な和食よね、と思ってしまう。それにお漬物があればいう事ないなぁ。あ、漬物って私でも作れるかな、糠床は難しいけど一夜漬けなら何とかなる?
何を作ろうかと考えている内に思考が脱線する。食の好みは人それぞれだし年齢にもよっても好みが変わってくるんだよねぇ。何がいいかなぁ?
とりあえず私が料理が出来る事、そして料理レシピの案を幾つも持っている事 ー 私が知っている料理、というだけなんだけどね ー を理解してもらいつつ、調味料のアピールをしよう。
そして今!店内奥の商談室で試食タイム兼夕飯だ。
店長さんにはもうバレちゃっているので、普通に魔法鞄から出来立ての料理を並べると部屋の中にいい匂いが充満した。
「えと、店長さん、コレはまだ登録されていない商品です。ですから今日の事は内緒にして下さいね。」
そう言って店長さん見ると、驚きに目を丸くしながら料理に釘付けになっている店長さんが居た。この驚き具合はどちらに対してかな?私が料理出来ると思っていなかっただろうし。
「こ、れは凄いですね。匂いだけで食欲がそそられます。それに見た事もない料理ばかりだ。・・・では食べさせて頂きます。」
そう言って店長さんは恐る恐る目の前に置かれた料理を食べ始めた。確かに未知の料理に手をつけるのはちょっと勇気いるよね。食わず嫌いなんて言葉もあるし。あ、茶色い料理ばっかりだった?もう少し彩りのよい料理でアピールすれば良かったか、と少し不安になる。
「「っ!?」」
2人が思い思いに料理を口に入れた途端、驚いた表情をしている。
あまり時間をかけられなかったもで今夜作ったのは、シンプルに白米にボアの生姜焼き、肉じゃがに大根とワカメの味噌汁、ボアの肉味噌炒めと出汁巻き卵、そして味噌おにぎり。
どうしよう、2人も無言でパクパクと食べ続けてるんだけど?美味しいって事だよね?
「・・・肉、お代わりあるか?」
やっと私の方に顔を向けたクリスがボソリと言った。いや、あなたは普通にお腹いっぱい食べたかっただけなの?
「あ、あるよ。これはボア肉で作った生姜焼きっていうんだよ。醤油を使っているの。」
料理名と使った調味料を店長さんにも聞こえるように言いながらお代わりの生姜焼きを出す。クリスはやっぱり若いから肉がいいのだろうけど、少しはあなたも感想を言いなさいよ。
店長さんは肉じゃがが気に入った様子。お味噌汁も飲んでほっこりしている。でもお味噌汁は飲むのに少し勇気がいったみたい。茶色いしなー。でも飲んだら『んおっ!?』って顔になったのが少し面白かった。
「このボアの肉味噌炒めというやつも美味いな。」
クリス、やっぱり肉か、肉にしか興味がいかないのか。
「それはキャベツとボア肉を味噌を使って炒めているの。少しだけオイスターソースも入れてあるんだよ。
他にも砂糖や味醂、醤油、酒なんかを入れたりしてちょっと甘辛い感じにしてみた。」
肉味噌炒めは肉に片栗粉と卵を先に混ぜているのがポイントかな。この方法を知ってからハマってよく作ったんだよねぇ。
クリスより気になる店長さんの評価はどうだろう。
「店長さん、お味はどうでしたか?」
「・・・エリック。」
「はぃ?」
「私の名前はエリックと言います。ティアナさん、ジパーンのあの調味料を使うとこんなに美味しい料理になるのですね。この三角の米の固まりは何ですか?」
「これはお米を三角に握ったおにぎりと言う食べ物です。食材を中に入れて色々な味が楽しめるんですよ。
肉やお魚を焼いて入れたりお米自身に味をつけて握っても美味しいです。
今回は味噌の良さを知ってもらおうと味噌を塗ってオーブンで焼いた味噌おにぎりという味にしてみました。醤油を塗って食べる焼きおにぎりも美味しいですよ。
それにおにぎりは持ち運び安く食べやすい形をしているでしょう?屋台で販売したりピクニックや外出時に持っていくのに良いかと思うんです。」
おにぎりは屋台で販売するのに向いていると思うんだよね。具はそれこそお好みで何でも良いからその時に手に入る食材でいいと思うし。
「肉とじゃがいもの料理は肉じゃがと言って醤油、味醂と日本酒を使っています。
だし巻き卵はあの木片みたいな固まりがありましたよね?あれを削って湯でさっと煮出して作った煮汁を使っています。
私が知っている和食という料理の多くにはこの醤油、味噌、味醂などが良く使われ、料理のベースになっているようなものです。勿論、これらに塩、砂糖、胡椒などこちらでもよく使われている調味料も一緒に使われています。」
肉じゃがは勿論、店長さんに向けてのアピール料理だ。煮物の中で定番中の定番料理で万人受けする料理だと個人的に思っている。しかも意外に作るのが簡単だよね。
だし巻き卵は普通の卵焼きでもいいかな、と思ったけどオムレツに似ているからインパクトに欠けるかと、今回は和食アピールでだし巻き卵にしてみた。たぶん食べてみたら思っていた味と違って驚いたんじゃないかな。
「そうですか、あの調味料がこんな風に料理に使われるとは。しかもこれらの料理はほんの一部なのですよね。ティアナさんが甕を抱きしめて喜んでいたのが今、分かった気がしますよ。」
エリックさんがにこやか言ったけど、甕を抱きしめて喜んでいたのは忘れて欲しい。
醤油や味噌は味見しただけでは料理のイメージが湧かないものかも知れないな。塩と違って独特な匂いもするし。
「ティアナさんの商会の名前を教えて下さい。」
「はい、エトリナ商会と言う名で今日から開業です!」
私は青色のカードを取り出してエリックさんに見せた。
見せびらかしたかっただけではないよ。きちんと商人になった事を知ってもらう為だ。
青色のカードを手に取って確認したエリックさんは私に返しながら少し真面目な顔をして言った。
「アルデバランの商団が来た時にはエトリナ商会のティアナさんの事はしっかりと伝えておきます。そしてうちの店でも継続して仕入れたいと交渉するつもりです。」
「本当ですか!ありがとうございます。これらの料理は早めに登録するようにしますね。使った調味料もこちらのお店にある事をギルドには伝えるようにします。
継続仕入れを後押し出来るよう私もレシピ登録と屋台で宣伝していきます。
それに他の町に行ったらエリックさんと同じ様に調味料を持っている店があるかも知れませんよね?お店を見つけたら立ち寄るようにしてみます。」
そうだよ。エリックさんのお店には半年に1度でも商団の取引先は他にもあるハズだよね。
「そうかも知れませんね。アルデバラン商団と取引をしている店を幾つか知っていますので、後で紹介状と一緒にリストをお渡しします。
それから商団のについてギルド経由で連絡しますが、ティアナさんも用事が無くても偶には近況を教えて下さい。
折角こうして良い出会いがあったのですから、今後も商人として歳の離れた友人としても宜しくお願いします。次に会う時は妻と息子を紹介します。」
エリックさんが穏やかな目で右手を差し出して言った。
そうか、今回は偶々エリックさんが良い人だったからこうして話も聞いてくれて料理を披露する時間を作ってくれた。
けど、店に出していない商品をみせろとか、いきなり商団を紹介しろ、と言うのは図々しかったか、と今更だけど気がついた。
商売をするなら身元が分かればいい、ってもんじゃないよね。カードを見せたって店や商会の信用は別だ。しかも登録したばかりの商会で実績もない上に成人したての素人だ。
それが『料理のレシピを登録します』『屋台で稼ぎます』と言ったって『何を言っているんだ。』としか思われないのは当たり前だった。
美味しい料理を幾つも知っていても所詮、今は私の頭の中にあるだけなのに。
紹介状も無しに他の店を訪ねても門前払いされる可能性がある。その為に私を信用してお店のリストと紹介状を書いてくれるなんて感謝してもしきれないな。
「ありがとうございます。エリックさんの信用と信頼に応えられるように頑張ります。こちらこそ宜しくお願いします。」
私もそう言ってエリックさんと握手を交わした。
商売は頑張れば良い、というだけではなく結果も必要だと分かっている。けれど今の私には頑張るとしかまだ言えない。
きっと近況を教えてくれ、と言ったのは、私が商人としてやっていけるかと気にかけてくれたからだよね。エリックさんに安心してもらえる様に、私の仕事ぶりをしっかり報告しないといけないね。
帰り際、エリックさんに今日は買わなかった塩や砂糖などの調味料をお土産にたくさん貰ってしまった。
遠慮したのだけれど、料理のレシピ作成用に使ってくれ、と言われ、断るのも失礼になるので有り難く頂いて帰った。
私もお礼にエリックさんのお気に入りの肉じゃがのレシピをこっそりと教えた。商人として無料で情報を渡すのは本当ならダメなんだと思う。
でも商談との繋ぎをお願いしているし、エリックさんだって今のところ無償で動いてくれる事になる。
エリックさんにしたらまだ儲け話に繋がるかどうか分からない状態だ。だから私が渡せる対価として『家で作って食べて下さい』とさっと書いたレシピを渡した。
エリックさんも最初は辞退したけれど最終的には『レシピ登録されるまではこっそり家で食べます。』と言って受け取ってくれた。
思いがけず早い段階で調味料を手に入れる事が出来た事、作った料理も好評で商会のスタートとして弾みがつきそうで今日は最高に気分が良い日だった。
そして今日の最後の締めくくりは ー 。
さぁ、帰ったらお説教タイムが待っているぞ!
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