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旅の出会い
一人と一匹
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私が心地良い目覚めにムクッと体を起こし両手を上げて軽く伸びをした後、ふと横を向くと仔犬は仰向けで万歳をしているような姿で眠っていた。
「お腹、丸見えなんだけど、、、。服従のポーズ?」
SNSにアップされている犬や猫の可愛い姿の動画を見たことがあるけど、テントの中とはいえちょっと寛ぎすぎじゃない?
「私が起き上がったり声を出したりしているのに熟睡しているって、この仔、もしかして、、、。」
駄犬?
いやいや、まだ決め付けるのは早いよね。きっと黒いモヤの所為で魔獣になっちゃってたから疲れが溜まっているんだよね。だってまだ仔犬なんだもん。
仔犬を起こさないようにそっとテントから出て、もう一度両手を上げて大きく伸びをする。
「・・・体が痛い。シュラフ(寝袋)があれば良かったんだけどなぁ。
町に着いたら布団を買っておこうかな。でも冒険者がいるんだからシュラフはこの世界でもあるかも。」
いつかテントで野宿する事もあるかもしれないとは思っていたけど、まさかこんなに早くその日が来るとは思っていなかった。
グランドシートはキャンプバッグの中に入っていたから、半分に折って間に入って眠ったから寒くはなかったけど、体のあちこちがギシギシと痛い。
まぁ、予定外の野宿だから仕方ないよねぇ。
軽く体をほぐしてから朝食作りに取り掛かる。
朝食はウッドストーブを利用してフレンチトーストを作る事にした。
柔らかいパンを食べ慣れているのでやっぱりこの世界のパンは固いと感じて、そのままでは食べにくい。
フライパンを使って蒸したり表面をカリっと焼いて食べたりしたけれど、早めに天然酵母を作ってパン作りをしたいなぁ。
天然酵母の作り方自体は簡単で単純なんだけれど、成功するかどうか、なんだよねぇ。
昔、挑戦してみた事もあったんだけれど、同じように作ったつもりなのに失敗しているものもあって、ベーキングパウダーの有り難みが分かるって思った。今なら特に。
本当、元の世界は" 便利 "が溢れていたんだなぁ。
ハッハッハッハ。
ハッハッハッハッハ。
ん?
聞き覚えのある音にテントの方を振り返れば、仔犬がヨダレを垂らしてジィっとこっちを見てた。
やっぱり、、、駄犬かな?
「・・・・・もしかして、フレンチトーストを食べたいの?」
フライパンから皿に移したばかりのフレンチトーストを仔犬の方に向ければ、仔犬が勢いよくクルクルと興奮して回り始める。
「あ~、、、、はい、どうぞ。」
私は甘さ控えめが好きだったから、味付けもそんなに甘くはないけれど大丈夫かな?
仔犬は差し出されたフレンチトーストの匂いをクンクンと嗅ぐとムシャムシャと食べ始めた。
躊躇ないなぁ~。
一心不乱に食べている仔犬を見て思わず笑ってしまう。
私の分が焼き上がる頃には仔犬は食べ終わっていたんだけど、グフグフと悶えているように見えたので、もしかして、とミルクをボウルに入れて目の前に出してみた。
ボウルに顔を勢いよく突っ込むようにして飲み始めたのを見ると、どうやら喉を詰まらせていたと思ったのは正解だったみたい。
これはもう駄犬確定かな?
「さて、朝食も食べてテントの収納が終わったからそろそろ出発しようかな。
って、君はやっぱりあの集落から追って来ていたのかな?
もしそうだったら元はあの集落で飼われていたペットだった?」
トイレ休憩で寄ったあの集落の近くの林で感じた嫌な気配は魔獣化したこの仔だったんじゃないかなって気がするんだよね。
思い返してみれば、昨日の魔獣の雰囲気とよく似ていたんだよねぇ。嫌な感じが。
だから目の前で膨らんだお腹を見せつけるように転がっている仔犬に聞いてみた。
仔犬は私の問いかけに耳をピクッと動かしてから起き上がると首を横に振るような動作をした。
「えっ?本当に私の言うことが分かってるの!?」
キャンッ。
思わず出た言葉にまたも返事をするように返事をするように仔犬は鳴いた。
マジか。
「そ、そっか。じゃぁ、集落で飼われていた訳じゃないんだよね?」
確認の為、聞き返すとまたも『キャンッ。』と返事が返ってくる。
「そうなると野良犬、、、なのかなぁ?
このままこの森に住む?」
一応、聞いてみるとやっぱりというか、仔犬は首を振った。
このまま森の中に置いていかれるのは嫌だよねぇ。
「じゃぁウチの仔になる?」
ウチも何も私は宿無しなんだけどね。
生半可な気持ちでペットは飼ってはいけないのは分かるけど、此処に置き去りにする訳にもいかないし、黒いモヤに纏わりつかれちゃうような仔だからねぇ。
ちょっと放っておけない感じ?
キャンキャンッ!
私の言葉に同意する様に尻尾を高速でフリフリしている姿は可愛いんだけどね。
なんとなく" 可愛い "の前に、おバカな子ほど、という言葉が浮かんでしまうんだよね、この仔は。
「そっか。良し、じゃあ一緒に旅をしようか。
え~と、名前を付けなきゃ、だね。その前に、、、どっち?」
仔犬をヒョイと両手で持ち上げて確認しようとしたら、仔犬は手足をバタバタとさせ身を捩る。
「あ、男の子。
名前は、、、タロー、ジロー、ハチ、パトラッシュ。」
さっきまで暴れていた仔犬は諦めたのか、大人しくなったけど、プイッと横を向いて名前に反応しない。
「気に入らないかぁ。じゃあ、ラッシー、マメ、チョビ、カール、ジョリィ、ヨーゼフ。
全く反応しないねぇ。」
ペットを飼った事が無いから名付けなんてした事が無いんだよね。だから思い付く限りの、何処かで聞いたことのあるような名前を片っ端から上げてみたんだけど。
「ん~。ちゃんと考えなきゃダメかぁ。白銀色の毛並みに碧い瞳。
あれ?なんかでこういう犬を見た様な、、、、。
あぁっ!弟が好きな漫画で出てきた犬に似ているんだ!
えぇ~っと、あの犬、名前はなんだっけ?フェ、フェル?違うなぁ。フェルリル?ちょっと違うような、、、。
そうだっ!フェンリルだっ!!」
私が働き始めた頃に弟に誕生日プレゼントを要求された事があったんだよね。
当時、大人気の漫画でテレビアニメ化も決定してたってやつで68巻まで出てたんだよ!
今まで弟から誕生日プレゼントなんて貰った事も無いのに、『何で私が?』って聞き返したら『就職したら家族に初給料で何か渡すもんだろう。』とかほざいてきたんだよ。
それって普通は親に、じゃない?
そう思って拒否ろうとしたら、母から言われたんだよね。
『弟の喜ぶ顔が見たいから。』
とかなんとか言われて、既に初任給で両親には一泊二日の温泉旅行をプレゼントをしていたのに、しかも母に強請られて希望通りのプレゼントをしていたのに!
それで腹が立って渡す前に全巻一気読みしてから渡してやった。
それなのに誕生日プレゼントを強請っておきながら、速攻フリマアプリで売り払ってたんだよ、弟は!
本当に家族の中の私の扱いって酷いもんだった。
両親にとって私って、お金をかけないでお金を引き出せる的な子どもだったよねぇ。
私が居なくなって困っていればいいのに。
いやいやいや、元の世界に戻りたいと思っているけども!
キャンキャンッ。
おっと、懐かしいとも思えない嫌な記憶を思い出しちゃったよ。
あぁ、この仔の名前を付けるんだったね。
「フェンリル、、、言いにくいなぁ。フェン?ちょっと言い難いかな。フェルかリル?」
両手で持ち上げている仔犬も尻尾をブンブン振って碧い瞳をキラキラさせて上機嫌な感じ?
「良しっ!決めた!!
君の名前は、アオだよ!」
キャゥン!
私の言葉に被せるように仔犬の嬉しそうな鳴き声が森に大きく響き渡った。アオはそれにビックリしたのか?今は目を見開いて固まっている。
「良かった!アオ、気に入ってくれたんだねぇ。
そうだっ!リードは持っていないけど、犬の首輪は持ってたんだった。
「アオ、私と旅をするなら飼い犬だって分かるように首輪をつけようね。
ちょっと使い込んであるけど、赤い石が付いていて可愛いし勇者の首輪っていう名前が付いているんだよ!カッコいいでしょ?
たぶん" 勇者 "っていう名前の犬がしていた首輪なんだろうけどさ。これを付けたらきっとアオも勇者っぽい強い犬になれるよ!」
名前が決まって大人しくなったアオを膝の上に乗せて魔法鞄の中からロイ君に貰った首輪を取り出す。
まさかこんなに早く首輪の出番がくるとは思わなかったよねぇ。一応、部屋に戻ってから綺麗に拭いた甲斐があったよ。
首輪を見たらバタンバタンっと急に尻尾を振り出したアオは喜んでいるのかな?
ギャウッ、ギャウッ。
興奮して落ち着きがなくなったアオに首輪を着けると、少し大きめに見えた首輪はアオの首にピッタリと収まった。
「うん、可愛いよアオ。
これを着けていれば飼い犬だってちゃんと分かるね。
それじゃクインズの街目指して出発しようか。アオ、これから宜しくね!」
慣れない首輪にまだ違和感があるのか?大人しくなったアオの前足を握手をするように握って話しかける。
アオからはちょっと弱々しい返事が返ってきたけど、一人旅に仲間が増えて少しだけ心細いような不安な気持ちが減った気がする。
一人と一匹ではあるけれど、私とアオが家族のような存在になれるといいなぁ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
ここまでお読み下さりありがとうございます。
「お腹、丸見えなんだけど、、、。服従のポーズ?」
SNSにアップされている犬や猫の可愛い姿の動画を見たことがあるけど、テントの中とはいえちょっと寛ぎすぎじゃない?
「私が起き上がったり声を出したりしているのに熟睡しているって、この仔、もしかして、、、。」
駄犬?
いやいや、まだ決め付けるのは早いよね。きっと黒いモヤの所為で魔獣になっちゃってたから疲れが溜まっているんだよね。だってまだ仔犬なんだもん。
仔犬を起こさないようにそっとテントから出て、もう一度両手を上げて大きく伸びをする。
「・・・体が痛い。シュラフ(寝袋)があれば良かったんだけどなぁ。
町に着いたら布団を買っておこうかな。でも冒険者がいるんだからシュラフはこの世界でもあるかも。」
いつかテントで野宿する事もあるかもしれないとは思っていたけど、まさかこんなに早くその日が来るとは思っていなかった。
グランドシートはキャンプバッグの中に入っていたから、半分に折って間に入って眠ったから寒くはなかったけど、体のあちこちがギシギシと痛い。
まぁ、予定外の野宿だから仕方ないよねぇ。
軽く体をほぐしてから朝食作りに取り掛かる。
朝食はウッドストーブを利用してフレンチトーストを作る事にした。
柔らかいパンを食べ慣れているのでやっぱりこの世界のパンは固いと感じて、そのままでは食べにくい。
フライパンを使って蒸したり表面をカリっと焼いて食べたりしたけれど、早めに天然酵母を作ってパン作りをしたいなぁ。
天然酵母の作り方自体は簡単で単純なんだけれど、成功するかどうか、なんだよねぇ。
昔、挑戦してみた事もあったんだけれど、同じように作ったつもりなのに失敗しているものもあって、ベーキングパウダーの有り難みが分かるって思った。今なら特に。
本当、元の世界は" 便利 "が溢れていたんだなぁ。
ハッハッハッハ。
ハッハッハッハッハ。
ん?
聞き覚えのある音にテントの方を振り返れば、仔犬がヨダレを垂らしてジィっとこっちを見てた。
やっぱり、、、駄犬かな?
「・・・・・もしかして、フレンチトーストを食べたいの?」
フライパンから皿に移したばかりのフレンチトーストを仔犬の方に向ければ、仔犬が勢いよくクルクルと興奮して回り始める。
「あ~、、、、はい、どうぞ。」
私は甘さ控えめが好きだったから、味付けもそんなに甘くはないけれど大丈夫かな?
仔犬は差し出されたフレンチトーストの匂いをクンクンと嗅ぐとムシャムシャと食べ始めた。
躊躇ないなぁ~。
一心不乱に食べている仔犬を見て思わず笑ってしまう。
私の分が焼き上がる頃には仔犬は食べ終わっていたんだけど、グフグフと悶えているように見えたので、もしかして、とミルクをボウルに入れて目の前に出してみた。
ボウルに顔を勢いよく突っ込むようにして飲み始めたのを見ると、どうやら喉を詰まらせていたと思ったのは正解だったみたい。
これはもう駄犬確定かな?
「さて、朝食も食べてテントの収納が終わったからそろそろ出発しようかな。
って、君はやっぱりあの集落から追って来ていたのかな?
もしそうだったら元はあの集落で飼われていたペットだった?」
トイレ休憩で寄ったあの集落の近くの林で感じた嫌な気配は魔獣化したこの仔だったんじゃないかなって気がするんだよね。
思い返してみれば、昨日の魔獣の雰囲気とよく似ていたんだよねぇ。嫌な感じが。
だから目の前で膨らんだお腹を見せつけるように転がっている仔犬に聞いてみた。
仔犬は私の問いかけに耳をピクッと動かしてから起き上がると首を横に振るような動作をした。
「えっ?本当に私の言うことが分かってるの!?」
キャンッ。
思わず出た言葉にまたも返事をするように返事をするように仔犬は鳴いた。
マジか。
「そ、そっか。じゃぁ、集落で飼われていた訳じゃないんだよね?」
確認の為、聞き返すとまたも『キャンッ。』と返事が返ってくる。
「そうなると野良犬、、、なのかなぁ?
このままこの森に住む?」
一応、聞いてみるとやっぱりというか、仔犬は首を振った。
このまま森の中に置いていかれるのは嫌だよねぇ。
「じゃぁウチの仔になる?」
ウチも何も私は宿無しなんだけどね。
生半可な気持ちでペットは飼ってはいけないのは分かるけど、此処に置き去りにする訳にもいかないし、黒いモヤに纏わりつかれちゃうような仔だからねぇ。
ちょっと放っておけない感じ?
キャンキャンッ!
私の言葉に同意する様に尻尾を高速でフリフリしている姿は可愛いんだけどね。
なんとなく" 可愛い "の前に、おバカな子ほど、という言葉が浮かんでしまうんだよね、この仔は。
「そっか。良し、じゃあ一緒に旅をしようか。
え~と、名前を付けなきゃ、だね。その前に、、、どっち?」
仔犬をヒョイと両手で持ち上げて確認しようとしたら、仔犬は手足をバタバタとさせ身を捩る。
「あ、男の子。
名前は、、、タロー、ジロー、ハチ、パトラッシュ。」
さっきまで暴れていた仔犬は諦めたのか、大人しくなったけど、プイッと横を向いて名前に反応しない。
「気に入らないかぁ。じゃあ、ラッシー、マメ、チョビ、カール、ジョリィ、ヨーゼフ。
全く反応しないねぇ。」
ペットを飼った事が無いから名付けなんてした事が無いんだよね。だから思い付く限りの、何処かで聞いたことのあるような名前を片っ端から上げてみたんだけど。
「ん~。ちゃんと考えなきゃダメかぁ。白銀色の毛並みに碧い瞳。
あれ?なんかでこういう犬を見た様な、、、、。
あぁっ!弟が好きな漫画で出てきた犬に似ているんだ!
えぇ~っと、あの犬、名前はなんだっけ?フェ、フェル?違うなぁ。フェルリル?ちょっと違うような、、、。
そうだっ!フェンリルだっ!!」
私が働き始めた頃に弟に誕生日プレゼントを要求された事があったんだよね。
当時、大人気の漫画でテレビアニメ化も決定してたってやつで68巻まで出てたんだよ!
今まで弟から誕生日プレゼントなんて貰った事も無いのに、『何で私が?』って聞き返したら『就職したら家族に初給料で何か渡すもんだろう。』とかほざいてきたんだよ。
それって普通は親に、じゃない?
そう思って拒否ろうとしたら、母から言われたんだよね。
『弟の喜ぶ顔が見たいから。』
とかなんとか言われて、既に初任給で両親には一泊二日の温泉旅行をプレゼントをしていたのに、しかも母に強請られて希望通りのプレゼントをしていたのに!
それで腹が立って渡す前に全巻一気読みしてから渡してやった。
それなのに誕生日プレゼントを強請っておきながら、速攻フリマアプリで売り払ってたんだよ、弟は!
本当に家族の中の私の扱いって酷いもんだった。
両親にとって私って、お金をかけないでお金を引き出せる的な子どもだったよねぇ。
私が居なくなって困っていればいいのに。
いやいやいや、元の世界に戻りたいと思っているけども!
キャンキャンッ。
おっと、懐かしいとも思えない嫌な記憶を思い出しちゃったよ。
あぁ、この仔の名前を付けるんだったね。
「フェンリル、、、言いにくいなぁ。フェン?ちょっと言い難いかな。フェルかリル?」
両手で持ち上げている仔犬も尻尾をブンブン振って碧い瞳をキラキラさせて上機嫌な感じ?
「良しっ!決めた!!
君の名前は、アオだよ!」
キャゥン!
私の言葉に被せるように仔犬の嬉しそうな鳴き声が森に大きく響き渡った。アオはそれにビックリしたのか?今は目を見開いて固まっている。
「良かった!アオ、気に入ってくれたんだねぇ。
そうだっ!リードは持っていないけど、犬の首輪は持ってたんだった。
「アオ、私と旅をするなら飼い犬だって分かるように首輪をつけようね。
ちょっと使い込んであるけど、赤い石が付いていて可愛いし勇者の首輪っていう名前が付いているんだよ!カッコいいでしょ?
たぶん" 勇者 "っていう名前の犬がしていた首輪なんだろうけどさ。これを付けたらきっとアオも勇者っぽい強い犬になれるよ!」
名前が決まって大人しくなったアオを膝の上に乗せて魔法鞄の中からロイ君に貰った首輪を取り出す。
まさかこんなに早く首輪の出番がくるとは思わなかったよねぇ。一応、部屋に戻ってから綺麗に拭いた甲斐があったよ。
首輪を見たらバタンバタンっと急に尻尾を振り出したアオは喜んでいるのかな?
ギャウッ、ギャウッ。
興奮して落ち着きがなくなったアオに首輪を着けると、少し大きめに見えた首輪はアオの首にピッタリと収まった。
「うん、可愛いよアオ。
これを着けていれば飼い犬だってちゃんと分かるね。
それじゃクインズの街目指して出発しようか。アオ、これから宜しくね!」
慣れない首輪にまだ違和感があるのか?大人しくなったアオの前足を握手をするように握って話しかける。
アオからはちょっと弱々しい返事が返ってきたけど、一人旅に仲間が増えて少しだけ心細いような不安な気持ちが減った気がする。
一人と一匹ではあるけれど、私とアオが家族のような存在になれるといいなぁ。
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