45 / 54
旅の出会い
初キャンプ
しおりを挟む
人生初のキャンプは異世界の森でー。
いや、本当に何をやっているんだろうね、私。
ガーナの街から馬車で六、七時間の場所にあるクインズという町に行く筈が何故か森の中。
一度、トイレ休憩を挟んだ後に居眠りをしてしまった私は気付いたら馬車が止まっていて御者さんが居ない。
森の中から聞こえてきた悲鳴に助けに行ってみれば、御者さんは魔獣の前へと私を突き飛ばして逃げ去ってしまった。
魔獣に狙われた私は魔獣が黒いモヤ付きだった事に気付いてクリーンで何とかピンチを切り抜ける事が出来た。
そうして気を失った魔獣から黒いモヤを取り除いてみれば、魔獣の体は徐々に縮んでいって可愛い仔犬の姿になっている。
段々と綺麗な毛並みに戻っていくのが楽しくて、気付いたら時刻は午後五時だった。
森の中は鬱蒼と木々が生い茂っているので、まだ夜にはなっていないのに森の中は薄暗くなっている。
今は可愛い仔犬な元魔獣から逃げようとして闇雲に走ったので、今から馬車があった場所に戻れるとは到底思えない。
それに私を突き飛ばして逃げた御者さんがあの場所で待っていてくれるなんて事は絶対無いよね。
そうなると今からウロウロと森の中を歩くのはちょっと危険という事で地面が平らな場所を探す事にした。平らな場所は直ぐに見つかったので、いそいそと魔法鞄からキャンプバッグを取り出す。
お高い買い物だったけれど、買って良かったよね、この魔法鞄。
だって持っていなかったら、きっと荷物は馬車に置いたままだったと思う。
もし持っていたとしても大荷物を抱えたまま魔獣から逃げる事なんて出来なくて、魔法を使う隙もなく殺られちゃっていたかも。
しかし一々、元恋人関連のグッズが役立っているのが腹正しい。物に罪はないと割り切ったし元々は私が購入した物だからアイツに感謝するのもおかしな話だ。
浮気発覚後、断捨離の為に手に持っていた不用品が、この世界に来た時の所持品な訳だから仕方ないんだけどねぇ。
あ、このテント、めっちゃ設営が簡単!
ワンタッチドームテントって本当に設営に時間が掛からないんだ。説明書に六十秒で設営完了、だなんて書いてあるけれどフレームを上に引っ張ってロックするだけでいいんだ?
後はペグを地面に打ち付けるだけって、コレは女子でも簡単に出来るわ。そりゃソロキャンプも流行る訳だ。
テントは三人用だから中は広々と使えるし通気性もバッチリ、出入り口はメッシュスクリーン(網戸みたいなやつ)付きの二重構造だから虫対策も万全。
テントを設営し終わった頃、気を失ってた仔犬がモゾモゾと動き出した。
「あ、起きたんだ?大丈夫?どこか苦しいとか痛いところは無い?」
仔犬をヒョイと両手で持ち上げて、目線を合わせて思わず話しかける。
森の中に一人って、思った以上に寂しく感じてたのかな?
犬と会話が出来るわけないのにね。
白銀色の毛の仔犬はポメラニアンとコリーを足して二で割ったような毛並みと顔立ちで、尻尾は狐の尻尾のような形をしている。
そのフッサフサなしっぽを上に向けてユラユラさせている姿が可愛い。
瞳の色は黒いモヤが消えて元の姿に戻ったからか、魔獣の時と違って澄んだ青い色をしていた。
キャンッ。
「んん、返事してくれたのかなぁ。大丈夫って事かな。お腹は空いてる?」
会話になっているのかは分からないけれど、続けて話しかければ尻尾をフリフリとしながら私の手をペロペロと舐めようとしている。
「じゃ、一緒に夜ご飯を食べようか。」
仔犬をそっと下ろしてから魔法鞄の中に手を入れる。
この魔法鞄には時間停止という機能がついていて、鞄に入れた時の状態を保持出来るらしい。
今日は慌ただしい一日だったというか、旅の途中で魔獣に襲われて、助かった後はこの元魔獣にこびりついていた黒いモヤを取るのに時間が掛かってお昼を食べ損ねていたんだよね。
だからお鞄中にはまだ昼に食べる予定だったハンバーガーもどきとサンドイッチが入っている。
他にも食材は色々と買い込んであったけれど、もう辺りは暗くなってきているので外で調理するのは怖い。
手回し式のランタンもあるんだけれどねぇ。テントの周りは静か過ぎていて暗さもプラスされて、無の世界が広がっている雰囲気なんだよ。
とてもじゃないけれど外には居たくない。テントを持っていて本当に良かった!
だから調理せずに食べられるものだけを食べるつもりなんだけれど、、、。
「ねぇ、君は何を食べるのかなぁ?生肉?それともミルクとか?
あまり人間が食べるような味付けの濃いものは食べさせちゃダメなんだっけ?
ペットを飼ってなかったからよく分からないなぁ。」
今の時代、飼い猫や飼い犬の食事も色々気を使うよね。ペット専用の市販の食品も人間が間違って食べてしまいそうな見た目のものも多くある。人間が見ても美味しそう見える商品も多いよねぇ。
その反面、人間の食事を分けたり食べ残しをあげるのはNGな感じ。
SNSでペットに自分が食べていたものを分けて食べさせていた動画が炎上したりするほどなんだよ。
ペットフードが無いこの世界では犬や猫には何を食べさせているんだろうね。
鶏肉、豚肉、牛肉全て持っているけれど、取り敢えず唐揚げ用に小さく切っておいたもも肉をお皿に入れてそっと仔犬の前に出してみた。
キャゥッ!
喜んでる?喜んでくれているのかなぁ~?
それ、私の手だからね?
仔犬は何故かお皿を飛び越えて私の手の平に戯れついている。
前足で私の手をフミフミしたり" 頭を撫でて!"と思っているのか、頭をぐりぐりと押し付けている。
可愛い。可愛いんだけれどね?
折角のもも肉がブンブン振られた尻尾で辺りに飛び散っているんだけれど。
仕方がないので抱き上げて私の膝の上に仔犬を乗せて、散らばったもも肉をお皿に回収する。
肩から下げたままの魔法鞄から雑巾と除菌シートを取り出してもも肉が落ちた辺りをササっと拭いた。
お皿に戻したもも肉を仔犬の目の前に差し出すと、ジィッと見つめていたけれど暫くしてからパクリと口に入れて咀嚼し始めた。
やっぱり生肉派だったんだ。
仔犬の食事が終わったら、膝から下ろして自分の食事に取り掛かる為に除菌シートで手を拭いてハンバーガーもどきをにガブリと齧り付く。
うん、美味い。
ハンバーガー用のパンズではないので、ハンバーガーというよりはサンドイッチに近いかもしれない。
ハッハッハッハ。
不意に荒い息遣いのようなものが近くで聞こえてビクッと下を向いたら、膝の上に仔犬がいつの間にか乗っている。
しかも盛大に涎を垂らしてハンバーガーもどきをガン見していた。
「えぇ~?
これ、人間用で味付けが濃いよ?」
そう言いながら飛びつかれないように、両手を上げてハンバーガーもどきを仔犬の目線に入らないようにする。
キャゥッ!?
クゥ~ン、クゥ~ン。
仔犬がこの世の終わりのような鳴き声を出しながら、座っている私の周りをクルクルと回り始めちゃったんだけど。
・・・・・。
どうしよっ。
めちゃめちゃ悩んだけれど諦めてくれないので、ハンバーガーもどきのパテ?(ハンバーグを薄く平たくして焼いただけなんだけど)を取り出してお皿に乗せたら、凄い勢いで食いついていた。
・・・・異世界の犬は人間と同じものを食べる。うん、そういう事にしておこう。
食事が終わったら、自分自身にクリーンをかけて綺麗サッパリと汚れを落としたら後は寝るだけ。
「もし獣とか近寄って来たら教えてね。」
ワゥッ!
お、力の入ったいい返事。
動物どころか虫の音も聞こえないシンとした森だけど、それでも安全かは分からない。
でも、睡魔には勝てない。今日はめちゃくちゃ動いて頑張ったからね。
取り敢えず仔犬の鼻を信じて任せる事にした。
任せる事にしたんだけれど、、、仔犬だからかな?
私よりも早くあっという間に眠っちゃったんだけど、、、。
仕方がないのでテントの中から外に向かって、
「変な虫は入って来ませんよ~に!」
「黒いモヤが近付いてきませんよ~に!」
「肉食な獣が近づいて来ませんよ~に!」
「あ、魔獣も近付いてきませんよ~に!」
東西南北全ての方角に向かって手を合わせ祈ってから眠った。
疲れていたせいか、こんな状況でも案外とぐっすりと眠れて翌朝の目覚めは快適だったよ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ここまでお読み下さりありがとうございます。
主人公、相変わらず無自覚で聖女の力を使っています。
今回は何気にテントを守るように結界を張っちゃっています。
いや、本当に何をやっているんだろうね、私。
ガーナの街から馬車で六、七時間の場所にあるクインズという町に行く筈が何故か森の中。
一度、トイレ休憩を挟んだ後に居眠りをしてしまった私は気付いたら馬車が止まっていて御者さんが居ない。
森の中から聞こえてきた悲鳴に助けに行ってみれば、御者さんは魔獣の前へと私を突き飛ばして逃げ去ってしまった。
魔獣に狙われた私は魔獣が黒いモヤ付きだった事に気付いてクリーンで何とかピンチを切り抜ける事が出来た。
そうして気を失った魔獣から黒いモヤを取り除いてみれば、魔獣の体は徐々に縮んでいって可愛い仔犬の姿になっている。
段々と綺麗な毛並みに戻っていくのが楽しくて、気付いたら時刻は午後五時だった。
森の中は鬱蒼と木々が生い茂っているので、まだ夜にはなっていないのに森の中は薄暗くなっている。
今は可愛い仔犬な元魔獣から逃げようとして闇雲に走ったので、今から馬車があった場所に戻れるとは到底思えない。
それに私を突き飛ばして逃げた御者さんがあの場所で待っていてくれるなんて事は絶対無いよね。
そうなると今からウロウロと森の中を歩くのはちょっと危険という事で地面が平らな場所を探す事にした。平らな場所は直ぐに見つかったので、いそいそと魔法鞄からキャンプバッグを取り出す。
お高い買い物だったけれど、買って良かったよね、この魔法鞄。
だって持っていなかったら、きっと荷物は馬車に置いたままだったと思う。
もし持っていたとしても大荷物を抱えたまま魔獣から逃げる事なんて出来なくて、魔法を使う隙もなく殺られちゃっていたかも。
しかし一々、元恋人関連のグッズが役立っているのが腹正しい。物に罪はないと割り切ったし元々は私が購入した物だからアイツに感謝するのもおかしな話だ。
浮気発覚後、断捨離の為に手に持っていた不用品が、この世界に来た時の所持品な訳だから仕方ないんだけどねぇ。
あ、このテント、めっちゃ設営が簡単!
ワンタッチドームテントって本当に設営に時間が掛からないんだ。説明書に六十秒で設営完了、だなんて書いてあるけれどフレームを上に引っ張ってロックするだけでいいんだ?
後はペグを地面に打ち付けるだけって、コレは女子でも簡単に出来るわ。そりゃソロキャンプも流行る訳だ。
テントは三人用だから中は広々と使えるし通気性もバッチリ、出入り口はメッシュスクリーン(網戸みたいなやつ)付きの二重構造だから虫対策も万全。
テントを設営し終わった頃、気を失ってた仔犬がモゾモゾと動き出した。
「あ、起きたんだ?大丈夫?どこか苦しいとか痛いところは無い?」
仔犬をヒョイと両手で持ち上げて、目線を合わせて思わず話しかける。
森の中に一人って、思った以上に寂しく感じてたのかな?
犬と会話が出来るわけないのにね。
白銀色の毛の仔犬はポメラニアンとコリーを足して二で割ったような毛並みと顔立ちで、尻尾は狐の尻尾のような形をしている。
そのフッサフサなしっぽを上に向けてユラユラさせている姿が可愛い。
瞳の色は黒いモヤが消えて元の姿に戻ったからか、魔獣の時と違って澄んだ青い色をしていた。
キャンッ。
「んん、返事してくれたのかなぁ。大丈夫って事かな。お腹は空いてる?」
会話になっているのかは分からないけれど、続けて話しかければ尻尾をフリフリとしながら私の手をペロペロと舐めようとしている。
「じゃ、一緒に夜ご飯を食べようか。」
仔犬をそっと下ろしてから魔法鞄の中に手を入れる。
この魔法鞄には時間停止という機能がついていて、鞄に入れた時の状態を保持出来るらしい。
今日は慌ただしい一日だったというか、旅の途中で魔獣に襲われて、助かった後はこの元魔獣にこびりついていた黒いモヤを取るのに時間が掛かってお昼を食べ損ねていたんだよね。
だからお鞄中にはまだ昼に食べる予定だったハンバーガーもどきとサンドイッチが入っている。
他にも食材は色々と買い込んであったけれど、もう辺りは暗くなってきているので外で調理するのは怖い。
手回し式のランタンもあるんだけれどねぇ。テントの周りは静か過ぎていて暗さもプラスされて、無の世界が広がっている雰囲気なんだよ。
とてもじゃないけれど外には居たくない。テントを持っていて本当に良かった!
だから調理せずに食べられるものだけを食べるつもりなんだけれど、、、。
「ねぇ、君は何を食べるのかなぁ?生肉?それともミルクとか?
あまり人間が食べるような味付けの濃いものは食べさせちゃダメなんだっけ?
ペットを飼ってなかったからよく分からないなぁ。」
今の時代、飼い猫や飼い犬の食事も色々気を使うよね。ペット専用の市販の食品も人間が間違って食べてしまいそうな見た目のものも多くある。人間が見ても美味しそう見える商品も多いよねぇ。
その反面、人間の食事を分けたり食べ残しをあげるのはNGな感じ。
SNSでペットに自分が食べていたものを分けて食べさせていた動画が炎上したりするほどなんだよ。
ペットフードが無いこの世界では犬や猫には何を食べさせているんだろうね。
鶏肉、豚肉、牛肉全て持っているけれど、取り敢えず唐揚げ用に小さく切っておいたもも肉をお皿に入れてそっと仔犬の前に出してみた。
キャゥッ!
喜んでる?喜んでくれているのかなぁ~?
それ、私の手だからね?
仔犬は何故かお皿を飛び越えて私の手の平に戯れついている。
前足で私の手をフミフミしたり" 頭を撫でて!"と思っているのか、頭をぐりぐりと押し付けている。
可愛い。可愛いんだけれどね?
折角のもも肉がブンブン振られた尻尾で辺りに飛び散っているんだけれど。
仕方がないので抱き上げて私の膝の上に仔犬を乗せて、散らばったもも肉をお皿に回収する。
肩から下げたままの魔法鞄から雑巾と除菌シートを取り出してもも肉が落ちた辺りをササっと拭いた。
お皿に戻したもも肉を仔犬の目の前に差し出すと、ジィッと見つめていたけれど暫くしてからパクリと口に入れて咀嚼し始めた。
やっぱり生肉派だったんだ。
仔犬の食事が終わったら、膝から下ろして自分の食事に取り掛かる為に除菌シートで手を拭いてハンバーガーもどきをにガブリと齧り付く。
うん、美味い。
ハンバーガー用のパンズではないので、ハンバーガーというよりはサンドイッチに近いかもしれない。
ハッハッハッハ。
不意に荒い息遣いのようなものが近くで聞こえてビクッと下を向いたら、膝の上に仔犬がいつの間にか乗っている。
しかも盛大に涎を垂らしてハンバーガーもどきをガン見していた。
「えぇ~?
これ、人間用で味付けが濃いよ?」
そう言いながら飛びつかれないように、両手を上げてハンバーガーもどきを仔犬の目線に入らないようにする。
キャゥッ!?
クゥ~ン、クゥ~ン。
仔犬がこの世の終わりのような鳴き声を出しながら、座っている私の周りをクルクルと回り始めちゃったんだけど。
・・・・・。
どうしよっ。
めちゃめちゃ悩んだけれど諦めてくれないので、ハンバーガーもどきのパテ?(ハンバーグを薄く平たくして焼いただけなんだけど)を取り出してお皿に乗せたら、凄い勢いで食いついていた。
・・・・異世界の犬は人間と同じものを食べる。うん、そういう事にしておこう。
食事が終わったら、自分自身にクリーンをかけて綺麗サッパリと汚れを落としたら後は寝るだけ。
「もし獣とか近寄って来たら教えてね。」
ワゥッ!
お、力の入ったいい返事。
動物どころか虫の音も聞こえないシンとした森だけど、それでも安全かは分からない。
でも、睡魔には勝てない。今日はめちゃくちゃ動いて頑張ったからね。
取り敢えず仔犬の鼻を信じて任せる事にした。
任せる事にしたんだけれど、、、仔犬だからかな?
私よりも早くあっという間に眠っちゃったんだけど、、、。
仕方がないのでテントの中から外に向かって、
「変な虫は入って来ませんよ~に!」
「黒いモヤが近付いてきませんよ~に!」
「肉食な獣が近づいて来ませんよ~に!」
「あ、魔獣も近付いてきませんよ~に!」
東西南北全ての方角に向かって手を合わせ祈ってから眠った。
疲れていたせいか、こんな状況でも案外とぐっすりと眠れて翌朝の目覚めは快適だったよ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ここまでお読み下さりありがとうございます。
主人公、相変わらず無自覚で聖女の力を使っています。
今回は何気にテントを守るように結界を張っちゃっています。
120
お気に入りに追加
179
あなたにおすすめの小説
公爵令嬢の私に騎士も誰も敵わないのですか?
海野幻創
ファンタジー
公爵令嬢であるエマ・ヴァロワは、最高の結婚をするために幼いころから努力を続けてきた。
そんなエマの婚約者となったのは、多くの人から尊敬を集め、立派な方だと口々に評される名門貴族の跡取り息子、コンティ公爵だった。
夢が叶いそうだと期待に胸を膨らませ、結婚準備をしていたのだが──
「おそろしい女……」
助けてあげたのにも関わらず、お礼をして抱きしめてくれるどころか、コンティ公爵は化け物を見るような目つきで逃げ去っていった。
なんて男!
最高の結婚相手だなんて間違いだったわ!
自国でも隣国でも結婚相手に恵まれず、結婚相手を探すだけの社交界から離れたくなった私は、遠い北の地に住む母の元へ行くことに決めた。
遠い2000キロの旅路を執事のシュヴァリエと共に行く。
仕える者に対する態度がなっていない最低の執事だけど、必死になって私を守るし、どうやらとても強いらしい──
しかし、シュヴァリエは私の方がもっと強いのだという。まさかとは思ったが、それには理由があったのだ。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。

いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持
空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。
その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。
※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。
※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。
公爵令嬢のRe.START
鮨海
ファンタジー
絶大な権力を持ち社交界を牛耳ってきたアドネス公爵家。その一人娘であるフェリシア公爵令嬢は第二王子であるライオルと婚約を結んでいたが、あるとき異世界からの聖女の登場により、フェリシアの生活は一変してしまう。
自分より聖女を優先する家族に婚約者、フェリシアは聖女に嫉妬し傷つきながらも懸命にどうにかこの状況を打破しようとするが、あるとき王子の婚約破棄を聞き、フェリシアは公爵家を出ることを決意した。
捕まってしまわないようにするため、途中王城の宝物庫に入ったフェリシアは運命を変える出会いをする。
契約を交わしたフェリシアによる第二の人生が幕を開ける。
※ファンタジーがメインの作品です

叶えられた前世の願い
レクフル
ファンタジー
「私が貴女を愛することはない」初めて会った日にリュシアンにそう告げられたシオン。生まれる前からの婚約者であるリュシアンは、前世で支え合うようにして共に生きた人だった。しかしシオンは悪女と名高く、しかもリュシアンが憎む相手の娘として生まれ変わってしまったのだ。想う人を守る為に強くなったリュシアン。想う人を守る為に自らが代わりとなる事を望んだシオン。前世の願いは叶ったのに、思うようにいかない二人の想いはーーー

リリゼットの学園生活 〜 聖魔法?我が家では誰でも使えますよ?
あくの
ファンタジー
15になって領地の修道院から王立ディアーヌ学園、通称『学園』に通うことになったリリゼット。
加護細工の家系のドルバック伯爵家の娘として他家の令嬢達と交流開始するも世間知らずのリリゼットは令嬢との会話についていけない。
また姉と婚約者の破天荒な行動からリリゼットも同じなのかと学園の男子生徒が近寄ってくる。
長女気質のダンテス公爵家の長女リーゼはそんなリリゼットの危うさを危惧しており…。
リリゼットは楽しい学園生活を全うできるのか?!
白い結婚を言い渡されたお飾り妻ですが、ダンジョン攻略に励んでいます
時岡継美
ファンタジー
初夜に旦那様から「白い結婚」を言い渡され、お飾り妻としての生活が始まったヴィクトリアのライフワークはなんとダンジョンの攻略だった。
侯爵夫人として最低限の仕事をする傍ら、旦那様にも使用人たちにも内緒でダンジョンのラスボス戦に向けて準備を進めている。
しかし実は旦那様にも何やら秘密があるようで……?
他サイトでは「お飾り妻の趣味はダンジョン攻略です」のタイトルで公開している作品を加筆修正しております。
誤字脱字報告ありがとうございます!

出来損ないと呼ばれた伯爵令嬢は出来損ないを望む
家具屋ふふみに
ファンタジー
この世界には魔法が存在する。
そして生まれ持つ適性がある属性しか使えない。
その属性は主に6つ。
火・水・風・土・雷・そして……無。
クーリアは伯爵令嬢として生まれた。
貴族は生まれながらに魔力、そして属性の適性が多いとされている。
そんな中で、クーリアは無属性の適性しかなかった。
無属性しか扱えない者は『白』と呼ばれる。
その呼び名は貴族にとって屈辱でしかない。
だからクーリアは出来損ないと呼ばれた。
そして彼女はその通りの出来損ない……ではなかった。
これは彼女の本気を引き出したい彼女の周りの人達と、絶対に本気を出したくない彼女との攻防を描いた、そんな物語。
そしてクーリアは、自身に隠された秘密を知る……そんなお話。
設定揺らぎまくりで安定しないかもしれませんが、そういうものだと納得してくださいm(_ _)m
※←このマークがある話は大体一人称。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる