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ガーナの街にて
街での出会いと『痛い痛いの飛んで行け〜!』
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昨夜、食堂に黒いモヤ付きで来たお客さんは四人も居た。
四人も、と思ったけれど、これが多いのか少ないのかはよく分からなかった。
だから昨日は気付かなかったけれど、街にはもっとお連れ様付きの人が居るのかもしれない。もしかしたら三日月亭を中心に発生したのかも知れないけれど、、、。
それが気になって翌日も昼間の空き時間に屋台が立ち並ぶ広場に行ってみる事にしたんだよね。人通りが多い所なら分かるかもと思ってね。
結果は見当たりませんでした!
あれだけ人が居てお連れ様付きの人が居ないなら大丈夫、と安心したんだけどね~。
帰り道に見つけてしまったのだ、お連れ様付きの人を。
神殿の前で。
神官様の腰にフヨフヨと付き纏っていたよ、黒いモヤが。
しかもね、その神官様がどうやら神殿にお願いに来ていたちびっ子を追い払っているところでね。
よく見たらそのちびっ子の右手首辺りにも薄っすらと黒いモヤっぽいものが見えちゃった。
そうなるとスルーしたくても出来ないよね。
「だからっ!治療して欲しければ、それ相応の治療費を持って来なさい、と言っておるのだ!」
えぇ~。神殿ってこんな塩対応な感じ?それともこの神官様だから?
「御免なさいっ。必ず払いますからお母さんの病気を治して下さい。お願いします。」
小学校低学年ぐらいの男の子かな?いや、この世界は大人びている人ばかりだから幼稚園生ぐらい?
一生懸命に縋り付く様に神官様にお願いしているけれど、不機嫌そうな神官様は男の子の手を乱暴に振り払っている。振り払われた拍子に男の子は尻もちをついてしまった。
神官様はそうして踵を返して神殿の方へと歩いて行く。
正直、こんな神官様は嫌だな。
だけど、、、、このまま黒いモヤを撒き散らされても困るなぁ。
はぁ~、仕方ない。
『綺麗になぁれっ!』
神官様の後ろ姿、特に腰を見つめて念じてみた。
あっ、一応黒いモヤは消えたね。あとは神殿の中に黒いモヤがいない事を祈るよ。
さて、尻もちをついた拍子に手首を痛めたのか、黒いモヤがちょっと増殖してしまった男の子に手を差し出す。
「大丈夫?自分一人で立てる?」
そう言って手を差し出せば、少し躊躇った後に左手を出して私の手を握った。
「・・・ありがとう。」
おぉ~、良い子だ。神官様にあんなに邪険にされて尻もちまでつかされたのに、直ぐにお礼の言葉が出るなんて良い子だね。
「どこかの痛い所は無い?右手は大丈夫?」
「・・・・・・うん。」
立ち上がった男の子のズボンの砂を落としながら聞くと右手首を反対の手でキュっと握りながら男の子が答えた。
「見せてみて?ちょっと手首を痛めちゃったかな?」
ソッと男の子の右手を私の左手に乗せると黒いモヤがフルフルと震えた。
どうやら私は黒いモヤに嫌われているみたい。
まぁ、人体に影響ありそうなモノに好かれてるも困るんだけどね。
右手で男の子の右手首を摩りながら必殺呪文を唱える。
「痛い痛いの飛んで行け~!」
小さな子には思わず言っちゃうよね。
そうしたら黒いモヤは私の手で追い払われたようにサァーっと空中に飛ばされて消えてしまった。
・・・・・・『痛い痛いの飛んで行け~!』も有効なんだね。
男の子は私の言葉と行動にビックリしたのか、目をパチクリしている。う~ん、可愛い!
それからハッとして右手をぐーぱー、ぐーぱーと動かしてから目をまんまるにして私の方に顔を勢いよく近づけてきた。
「お姉ちゃんは治癒師の人?」
目をキラっキラさせて言ってくるのは何を期待しているのかな?
えーっと『痛い痛いの飛んで行け~!」効果?
コレは小さな子に有効な呪文なんだよ~、と言っても意味分からないよねぇ。
「えーっと、、、ただの一般人かな?」
こことは違う世界から来ているから、ただの一般人かどうかはよく分からないけれど。
「ううんっ。だってホラっ!ちょっと前から痛くてぎゅって手を握ると痛かったのに全然痛く無いよっ?」
私の目の前でぎゅーっとゲンコツを作って見せてくれる男の子の期待に満ちた目が辛い。何を期待しているのかが、分かるだけにこのままフェードアウトしたいなぁ、、、。
「お姉ちゃん、お願い!僕のお母さんの病気を治して下さいっ。」
う~ん。やっぱりそう来るよね。
「ごめんね、私は治癒師でもお医者さんでも無いから病気を治す事は出来ないんだ。」
「ううんっ、だって僕の怪我を治してくれたよ!だからお母さんの病気を治してっ。お願いだよっ。」
今度は私が縋り付かれてしまった。
困った、、、。
リカルドさんの時と違って、きっと症状を聞いても病名なんて分からないし薬だって作る事も持ってもいないんだけどなぁ。
あぁ、でももし男の子の手首に薄っすらと黒いモヤがついていた様に、この子の家に黒いモヤが張り付いているのなら、それぐらいは何とか出来るかも知れないな。ポシェットの中に掃除道具も一式入れてあるから掃除も出来るか。
病気は治せないけれど、黒いモヤ退治なら出来る。
それならダメ元でこの子のお母さんに会ってみようかな。
よし、お見舞いに行こう!
四人も、と思ったけれど、これが多いのか少ないのかはよく分からなかった。
だから昨日は気付かなかったけれど、街にはもっとお連れ様付きの人が居るのかもしれない。もしかしたら三日月亭を中心に発生したのかも知れないけれど、、、。
それが気になって翌日も昼間の空き時間に屋台が立ち並ぶ広場に行ってみる事にしたんだよね。人通りが多い所なら分かるかもと思ってね。
結果は見当たりませんでした!
あれだけ人が居てお連れ様付きの人が居ないなら大丈夫、と安心したんだけどね~。
帰り道に見つけてしまったのだ、お連れ様付きの人を。
神殿の前で。
神官様の腰にフヨフヨと付き纏っていたよ、黒いモヤが。
しかもね、その神官様がどうやら神殿にお願いに来ていたちびっ子を追い払っているところでね。
よく見たらそのちびっ子の右手首辺りにも薄っすらと黒いモヤっぽいものが見えちゃった。
そうなるとスルーしたくても出来ないよね。
「だからっ!治療して欲しければ、それ相応の治療費を持って来なさい、と言っておるのだ!」
えぇ~。神殿ってこんな塩対応な感じ?それともこの神官様だから?
「御免なさいっ。必ず払いますからお母さんの病気を治して下さい。お願いします。」
小学校低学年ぐらいの男の子かな?いや、この世界は大人びている人ばかりだから幼稚園生ぐらい?
一生懸命に縋り付く様に神官様にお願いしているけれど、不機嫌そうな神官様は男の子の手を乱暴に振り払っている。振り払われた拍子に男の子は尻もちをついてしまった。
神官様はそうして踵を返して神殿の方へと歩いて行く。
正直、こんな神官様は嫌だな。
だけど、、、、このまま黒いモヤを撒き散らされても困るなぁ。
はぁ~、仕方ない。
『綺麗になぁれっ!』
神官様の後ろ姿、特に腰を見つめて念じてみた。
あっ、一応黒いモヤは消えたね。あとは神殿の中に黒いモヤがいない事を祈るよ。
さて、尻もちをついた拍子に手首を痛めたのか、黒いモヤがちょっと増殖してしまった男の子に手を差し出す。
「大丈夫?自分一人で立てる?」
そう言って手を差し出せば、少し躊躇った後に左手を出して私の手を握った。
「・・・ありがとう。」
おぉ~、良い子だ。神官様にあんなに邪険にされて尻もちまでつかされたのに、直ぐにお礼の言葉が出るなんて良い子だね。
「どこかの痛い所は無い?右手は大丈夫?」
「・・・・・・うん。」
立ち上がった男の子のズボンの砂を落としながら聞くと右手首を反対の手でキュっと握りながら男の子が答えた。
「見せてみて?ちょっと手首を痛めちゃったかな?」
ソッと男の子の右手を私の左手に乗せると黒いモヤがフルフルと震えた。
どうやら私は黒いモヤに嫌われているみたい。
まぁ、人体に影響ありそうなモノに好かれてるも困るんだけどね。
右手で男の子の右手首を摩りながら必殺呪文を唱える。
「痛い痛いの飛んで行け~!」
小さな子には思わず言っちゃうよね。
そうしたら黒いモヤは私の手で追い払われたようにサァーっと空中に飛ばされて消えてしまった。
・・・・・・『痛い痛いの飛んで行け~!』も有効なんだね。
男の子は私の言葉と行動にビックリしたのか、目をパチクリしている。う~ん、可愛い!
それからハッとして右手をぐーぱー、ぐーぱーと動かしてから目をまんまるにして私の方に顔を勢いよく近づけてきた。
「お姉ちゃんは治癒師の人?」
目をキラっキラさせて言ってくるのは何を期待しているのかな?
えーっと『痛い痛いの飛んで行け~!」効果?
コレは小さな子に有効な呪文なんだよ~、と言っても意味分からないよねぇ。
「えーっと、、、ただの一般人かな?」
こことは違う世界から来ているから、ただの一般人かどうかはよく分からないけれど。
「ううんっ。だってホラっ!ちょっと前から痛くてぎゅって手を握ると痛かったのに全然痛く無いよっ?」
私の目の前でぎゅーっとゲンコツを作って見せてくれる男の子の期待に満ちた目が辛い。何を期待しているのかが、分かるだけにこのままフェードアウトしたいなぁ、、、。
「お姉ちゃん、お願い!僕のお母さんの病気を治して下さいっ。」
う~ん。やっぱりそう来るよね。
「ごめんね、私は治癒師でもお医者さんでも無いから病気を治す事は出来ないんだ。」
「ううんっ、だって僕の怪我を治してくれたよ!だからお母さんの病気を治してっ。お願いだよっ。」
今度は私が縋り付かれてしまった。
困った、、、。
リカルドさんの時と違って、きっと症状を聞いても病名なんて分からないし薬だって作る事も持ってもいないんだけどなぁ。
あぁ、でももし男の子の手首に薄っすらと黒いモヤがついていた様に、この子の家に黒いモヤが張り付いているのなら、それぐらいは何とか出来るかも知れないな。ポシェットの中に掃除道具も一式入れてあるから掃除も出来るか。
病気は治せないけれど、黒いモヤ退治なら出来る。
それならダメ元でこの子のお母さんに会ってみようかな。
よし、お見舞いに行こう!
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