美化係の聖女様

しずもり

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ガーナの街にて

黒いモヤとリカルドさん

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はヤバい!誰が見たってヤバい。


黒いモヤには形は無かった、例えば丸い形を想像しちゃうけど、ただ黒いだけ。


なのに、リカルドさんの周りで弾んでいる様な動きをしているように、私には見えた。

リカルドさんは、そんな様子に気付いていないのか、気にもせずに不機嫌そうにお酒を飲見続けている。


そんな信じられない光景に、つい何度も盗み見るようにしていたら


「聞いていると思うけど、が俺の親父。なんか気になる事があるの?」


と、ジョージ君に聞かれてしまった。慌てて否定したけれど、普通に考えても、何度も盗み見ていたら失礼だったよね。


その後、日を跨ぐ頃に私はルーナさんに仕事を上がるように言われて、部屋に戻る事になった。


部屋に戻って、お湯で絞ったタオルで体を拭いて、いつものジャージに着替える。そうしてベッドに入ったものの、リカルドさんとあの黒いモヤの事が頭から離れなかった。


黒いモヤが何か良くないモノ、だと言うのは誰が見たってそう思うだろう。


でも、は私以外の人には見えていない?


ジョージ君やリカルドさん本人だって、そんな素振りは一切見られなかった。食堂のお客さんたちだってそうだ。


でも、



何で?


まさか、霊的な何か?


こわっ!


いやいやいや、無理っ!私、そういうのダメなんだけど。霊感なんて全くない普通の人だったよ?今までも、これからも!!


じゃあ、何だろう、アレは。



・・・・・・。



考えていると、嫌な方に考えてしまいそうだから、この件は一先ず置いておこう!

うん、夜中に変な事を考えて、変なモノが来ちゃったら困るもんね。



でも、リカルドさんはどうしよう。


最初にルーナさんから、リカルドさんの肩と腕の症状を聞いた時に、もしかしたら、という病名が一つ浮かんだんだ。


私はガチガチの文系で医療系とは無縁の職種に就いていたから、病気の事なんて門外漢だ。


でも、あの症状と似た症状の人を知っている。側で見てきてもいた。

だから、もしかしたらリカルドさんもそうなんじゃないか、って思ったんだ。浅はかな素人考えだけれど。



でも、もし、リカルドさんの症状にが関係していたら?


私が知っている話をする事でルーナさんたちが期待をして、でも結局、少しもよくならなかったら酷くガッカリさせてしまう。


あんなに辛そうにリカルドさんを見ていたルーナさんをこれ以上、傷つけたくはない。


・・・・どうしよう。


でも、やらないよりはマシかな?

やらない後悔より、やって後悔する方がいい?


それも無責任だと思うけど、私は肩の原因を知っているかもしれない。


だったら、体を切ったり、怪しい薬を飲ませるとかではないし、ちょっとアドバイスをするだけなら、試してもみても良いよね。


よし、明日起きたら、先ずは食堂を掃除して、それからルーナさんにリカルドさんの事を相談してみよう!


そう決めてしまえば、長時間の馬車旅と店の手伝いの疲れが一気にきて、あっという間に眠ってしまっていた。




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