美化係の聖女様

しずもり

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聖女召喚は成功した、、、ハズ?

彼と彼の話 side ?????

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?」


「うむ、のでな。」


そう言って笑うの姿にもう文句を言う気にもなれない。


「体調を崩さないように気をつけてくれよ。」


それでも何か言わずにはいられなくてそう言えば



「分かっておる。ワレもまだ調では無いのだ。無理はすまい。しかし今日の宿の飯はハズレだったな。

折角宿屋に泊まったのにこれでは森で狩りをして食べるお前の料理の方が美味いぞ。」



「ただ獣を狩って焼いただけの物だろう?」


前から薄々思っていたがコイツは食に対して執念の様なモノを感じる。とにかく煩い。しかし美味い物を食べさせておけば大人しくしている。



「うむ、新鮮な肉かどうかの違いか?だが前に泊まった宿屋の飯は美味かったぞ。エールも一緒に飲みたいところだったがな。」



「ダメに決まっているだろ。あの時だって天候が悪かったから仕方なく宿屋に泊まっただけなんだ。今日だってお前が煩いから泊まったんだ。また明日からは森を通って進むぞ。」


あまり人の目には留まりたくなかった為に宿屋に泊まるのは最小限にする予定だった。けれどを出て森を抜けた辺りで雨に降られて仕方なく宿屋に泊まる事にした。


それから数日間、長雨に足止めをくらってしまったが、泊まった宿の食事が思いの外、美味しくて彼は終始ご機嫌だった。

それ以来、店で食事をしたがるようになり彼に押し切られて店に行く事が何度かあった。出来ればあまり人目の多い場所は避けたかったけれど、、、。



数日間泊まる事になってしまったあの宿屋は今はどうなっているのだろう。が長く留まっているのは良くはないだろうけど早々悪くなるモノでも無い、と信じたい。



本人曰く『は我でもどうしようもない。』らしい。悪意がある訳でもなくただしまうのだそうだ。


『魔力量が多い幼子と同じようなものだろう?』


そう言ってカカカっと笑うコイツを見ると、どうしても違和感を感じ得ずにはいられない。が違いすぎるのだ。


ー もしこのままの性格ならば、僕はを信用してもいいだろうか? ー




僕が生まれた村はちょっとな村だった。村の本当の名が何だったのか、もう誰も知らない程この村は『勇者村』という名が国中で周知されそう呼ばれていた。


遠い昔、魔王がこの世の全てを欲し、あちこちの国へと魔獣に襲わせ人と魔の者の争いは激しくなっていった。やがて1人の勇者と聖女が現れ力を合わせて魔王を討ち滅ぼしたのだそうだ。


言い伝えによると、勇者はこの村で生まれ育った青年だったという。ある時、この世界を作ったと言われる父神アイオス様の神託を受け力と勇者の剣を授かった。

同じく聖女も母神ナーシャ様の神託を受け魔を払い浄化する聖なる力を授かったと伝えられている。


2人は魔王に汚された地を浄化し、魔獣を倒しながら人々を救い魔王を倒す旅に出を続けた。やがて魔王を打ち倒した後、この国に戻ると聖女は国王の伴侶となった。

勇者は魔王討伐後、再びこの村に戻り西の果てからこの国の平穏を見守り続けたと、この国の者なら誰もが知る有名な物語として語り継がれている。


その後も幾度か魔王が復活しその度に僕の住む村から勇者となった者が生まれていると、この村では言われているが本当の所はどうか分からない。


初代勇者以降の勇者と聖女の話は物語としてもさほど有名ではなく、住む地域によって物語の内容が異なっているからだ。


けれども勇者村の村人たちは代々勇者を輩出している村、と言う誇りを持ち長い年月を西の辺境の地で暮らしている。


勇者の血を受け継ぐ為に、と村人同士の婚姻を繰り返し自給自足の生活は、やがて閉鎖的な思考へと繋がっていったのだと思う。

村人たちは一時の訪問者は歓迎しても他所からの移住希望者は勇者の血が薄くなる、と次第に拒むようになった。


そうやって閉鎖的な村は当然の如く衰退していった。今では僅か20人程の小さな村となっている。

自給自足ではやっていけないと漸く気がついたのはいつ頃だったのだろうか。


相変わらず移住者は拒否するものの訪問客にはお金を落としていって欲しい。村人はそう考える様になった。


しかし勇者村にはこれと言った特産物もなく村人が食べる分ほどの畑しかない。やがて村人たちはで商売をする事を思いついた。


『初代勇者が使用していた剣の鞘』

『3代目勇者が使っていた木剣』

『初代勇者が書き記した書の写本』

『初代勇者が飼っていた犬の首輪』


などといった訪れた冒険者や商人などに売り込む様になっていった。


確かに自給自足だけでで暮らしていくのは難しい。けれど勇者の子孫だと誇りを持ち鍛える事を日課としていた僕たちはそれなりに腕の立つ者も多い。食べる為に狩りもしている。


ならば詐欺の様な事をしなくても『冒険者となって稼ぐ事も出来るじゃないか、』と言った子どもの頃の僕の言葉は村人からは無視された。


勇者の子孫の自分たちが冒険者になど、と勇者の血に拘り続けた挙句の冒険者を下にみる考え方を持った村人たちは、食べる為の狩りはしても冒険者になろうとはしなかった。


そして勇者の子孫である自分たちがと売れば何処かで必ず買う人がいる。その事に気づいた村人たちの思考はどんどんおかしくなっていった。


掟の事もあり、村からは離れる事はなかったものの成人すると冒険者となって仕事をする様になった僕は村の異端者となった。


そして依頼先で出会った妻サーシャを娶ると、他所者と結婚し勇者の血を薄めたと批難され益々村の中で孤立していった。


村を出て行くかを悩み始めた頃、サーシャの妊娠が分かり結局村に残る事になった。しかし息子リュシアンが生まれると村人たちは一層僕たちを疎む様になっていったんだ。
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