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聖女召喚は成功した、、、ハズ?
なんか気になる。
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宿泊客用の部屋は2階に5部屋、3階はメアリーさんたちの居住スペースなのだそうだ。
2階の部屋は階段上がって目の前の部屋と左の部屋は3~4人が泊まれる部屋。この部屋は冒険者パーティーたちのようなグループが使う事が多いらしい。
そして右側と対面の部屋と突き当たりの部屋がシングルかダブルの部屋になる。私は右側の対面を使わせて貰っている。
この村に来る人は観光というより冒険者のような勇者村の先の国境付近に用がある人たちが泊まる事が多いのだそうだ。だから観光客向けの部屋というより寝に帰るだけ、というようなベッドとサイドテーブルが置かれただけの質素な作りの部屋になっている。
冒険者のルイスさんとジェリドさんは ー昨夜、唐揚げに感動した2人に握手求められてお互いに自己紹介したー 朝食を食べて仕事に行ったのでその間に各部屋の掃除を頼まれた。
使いなれた自分の掃除道具を持って部屋を出る。最初にルイスさんたちの部屋を掃除しようと思ったのだけれどどうにも気になるのだ。廊下の突き当たりの部屋が。
つまり私の部屋の横の部屋。昨日は夕方に着いたから廊下全体が薄暗かったので気付かなかった。
けれど朝食を食べに行こうと部屋を出たところで横の部屋の扉の前がなんか薄暗い。日が当たらないから?とも思ったんだけれど何か煤けて黒っぽいような感じに見えるんだよね。
2階の他の部屋の扉を見回してもそちらは気にならない。黒っぽくもないし薄暗くもない。廊下には窓があるわけでもないから同じ条件のはずなんだけどなぁ。
見ても考えても分からないなら仕方ない。よしっ、とりあえず綺麗にしよう!
プラ製の畳めるタイプのバケツに水を入れてアルカリ性の住宅用洗剤をワンプッシュ。まずはハタキで壁と天井付近をパタパタ。伸縮タイプのハタキって便利だよね。
それから箒で廊下全体を掃く。掃き終わったらバケツの水で雑巾を絞って雑巾掛け。ついでに壁も手の届く範囲だけでも拭く。気になる部屋の扉付近は『綺麗になれ~』と言いながら念入りに拭く。
良し、廊下はOK。気になる部屋の扉を開けて見ると、おぉぅっ!真っ黒なマリモもどきが居るんじゃなかろうか、というぐらい黒っぽく煤けてた。もしかしてこの部屋ってあまり使われていないのかな。
マスク装着して窓を全開にしてハタキを部屋全体に掛ける。ここでもやっぱり『綺麗になれ~。ついでに明るい部屋になれ~』と念じながらせっせとハタキをかけた。
それが終わると箒で部屋全体を隈なく掃く。何か埃が溜まりやすいのかね?部屋の隅も所々黒っぽい。カビ、、、でも無いんだよなぁ。
床と壁を最後に磨いてみると見違えるように部屋が明るくなった。完璧だ!
中学生の時に何故か推薦されて美化係をやらされた。週1回、放課後に美化係は集まって特別教室や資料室、中庭などを掃除をしていた。最初は嫌だし面倒だと思っていたけれど掃除ってやればやるだけ成果が出るよね。
埃っぽかった部屋や荒れた中庭が掃除をする事でスッキリとしたきれいな空間に戻る、というのがやり切った達成感を感じて癖になった。
それからは率先して美化係をやるようになっていた。美化係って面倒、というイメージがあったのか?人気のない係だったから立候補する人はいなかったんだよね。
美化係をやりたがる私を友達には不思議がられていたっけ。
一人暮らししていた時はトイレのタンクやキッチンの換気扇は勿論、お風呂のドアも外して掃除したりするのが楽しかったなぁ。あ、花瓶や壺みたいな磨く作業も結構好きだよ、あれも無心になれていいよね。
そんな感じでご機嫌で他の部屋も掃除して2階の掃除が終わると1階に降りた。
食堂ではモップを借りてせっせと床を磨き、テーブルは食器洗剤を入れた水で絞った雑巾で拭く。
ジャックさんに許可を取って厨房と鍋も磨かせて貰った。やり切った達成感にニヤニヤしている私にエミリーちゃんは呆れ顔だった。
「何かすごい綺麗になったねぇ。いつもの食堂が見違えて見えるよ。ありがとうね。」
超真剣な顔して一心不乱に掃除をしていた私を見ていたからか、メアリーさんもちょっと呆れたような顔をしていたけれど喜んでくれていた。
「あ、そうだ。リオの部屋の横の部屋のベッドの干し草をちょっと交換しようと思ってたんだった。それで昨日、荷馬車を借りて干し草を貰いに行ってたんだけど。」
「あぁ、あの部屋ねぇ。何かジメっとしているって言うか暗っぽいよね。」
エミリーちゃんが頷いている。やっぱりあの部屋を暗いと思ったのは私だけじゃなかったんだ。
「あー暗っぽい部屋でしたね。さっき換気しながら掃除したのでだいぶ明るくなりましたよ。ずっと使われて無かったんですか?」
部屋を思い出しながら疑問に思ったので聞いてみた。
「前はそんな事なかったんだけどね。ひと月前の長雨の時に親子連れのお客さんを泊めたのが最後かしら。あれから掃除しても暗っぽい感じで見た目が悪くなってね。
あの部屋は一番最後に貸すようにしたんだよ。それでも毎日掃除はしてたんだけどねぇ。
掃除の度に換気もしていたけど気のせいか、部屋に入ると体調がちょっと悪くなる気がしてね。ベッドの干し草を変えてみようって話になったんだよ。」
うーん、確かに暗っぽくてジメジメした部屋に居たら気分も滅入るわ。雨が続いて湿気が溜まっていたのかもね。カビは生えてはいなかったけれど。
念入りに掃除をしたから扉の前も部屋の中も明るくなって気にならなくなったと思う。ベッドの干し草も変えるならもう大丈夫だね。
2階の部屋は階段上がって目の前の部屋と左の部屋は3~4人が泊まれる部屋。この部屋は冒険者パーティーたちのようなグループが使う事が多いらしい。
そして右側と対面の部屋と突き当たりの部屋がシングルかダブルの部屋になる。私は右側の対面を使わせて貰っている。
この村に来る人は観光というより冒険者のような勇者村の先の国境付近に用がある人たちが泊まる事が多いのだそうだ。だから観光客向けの部屋というより寝に帰るだけ、というようなベッドとサイドテーブルが置かれただけの質素な作りの部屋になっている。
冒険者のルイスさんとジェリドさんは ー昨夜、唐揚げに感動した2人に握手求められてお互いに自己紹介したー 朝食を食べて仕事に行ったのでその間に各部屋の掃除を頼まれた。
使いなれた自分の掃除道具を持って部屋を出る。最初にルイスさんたちの部屋を掃除しようと思ったのだけれどどうにも気になるのだ。廊下の突き当たりの部屋が。
つまり私の部屋の横の部屋。昨日は夕方に着いたから廊下全体が薄暗かったので気付かなかった。
けれど朝食を食べに行こうと部屋を出たところで横の部屋の扉の前がなんか薄暗い。日が当たらないから?とも思ったんだけれど何か煤けて黒っぽいような感じに見えるんだよね。
2階の他の部屋の扉を見回してもそちらは気にならない。黒っぽくもないし薄暗くもない。廊下には窓があるわけでもないから同じ条件のはずなんだけどなぁ。
見ても考えても分からないなら仕方ない。よしっ、とりあえず綺麗にしよう!
プラ製の畳めるタイプのバケツに水を入れてアルカリ性の住宅用洗剤をワンプッシュ。まずはハタキで壁と天井付近をパタパタ。伸縮タイプのハタキって便利だよね。
それから箒で廊下全体を掃く。掃き終わったらバケツの水で雑巾を絞って雑巾掛け。ついでに壁も手の届く範囲だけでも拭く。気になる部屋の扉付近は『綺麗になれ~』と言いながら念入りに拭く。
良し、廊下はOK。気になる部屋の扉を開けて見ると、おぉぅっ!真っ黒なマリモもどきが居るんじゃなかろうか、というぐらい黒っぽく煤けてた。もしかしてこの部屋ってあまり使われていないのかな。
マスク装着して窓を全開にしてハタキを部屋全体に掛ける。ここでもやっぱり『綺麗になれ~。ついでに明るい部屋になれ~』と念じながらせっせとハタキをかけた。
それが終わると箒で部屋全体を隈なく掃く。何か埃が溜まりやすいのかね?部屋の隅も所々黒っぽい。カビ、、、でも無いんだよなぁ。
床と壁を最後に磨いてみると見違えるように部屋が明るくなった。完璧だ!
中学生の時に何故か推薦されて美化係をやらされた。週1回、放課後に美化係は集まって特別教室や資料室、中庭などを掃除をしていた。最初は嫌だし面倒だと思っていたけれど掃除ってやればやるだけ成果が出るよね。
埃っぽかった部屋や荒れた中庭が掃除をする事でスッキリとしたきれいな空間に戻る、というのがやり切った達成感を感じて癖になった。
それからは率先して美化係をやるようになっていた。美化係って面倒、というイメージがあったのか?人気のない係だったから立候補する人はいなかったんだよね。
美化係をやりたがる私を友達には不思議がられていたっけ。
一人暮らししていた時はトイレのタンクやキッチンの換気扇は勿論、お風呂のドアも外して掃除したりするのが楽しかったなぁ。あ、花瓶や壺みたいな磨く作業も結構好きだよ、あれも無心になれていいよね。
そんな感じでご機嫌で他の部屋も掃除して2階の掃除が終わると1階に降りた。
食堂ではモップを借りてせっせと床を磨き、テーブルは食器洗剤を入れた水で絞った雑巾で拭く。
ジャックさんに許可を取って厨房と鍋も磨かせて貰った。やり切った達成感にニヤニヤしている私にエミリーちゃんは呆れ顔だった。
「何かすごい綺麗になったねぇ。いつもの食堂が見違えて見えるよ。ありがとうね。」
超真剣な顔して一心不乱に掃除をしていた私を見ていたからか、メアリーさんもちょっと呆れたような顔をしていたけれど喜んでくれていた。
「あ、そうだ。リオの部屋の横の部屋のベッドの干し草をちょっと交換しようと思ってたんだった。それで昨日、荷馬車を借りて干し草を貰いに行ってたんだけど。」
「あぁ、あの部屋ねぇ。何かジメっとしているって言うか暗っぽいよね。」
エミリーちゃんが頷いている。やっぱりあの部屋を暗いと思ったのは私だけじゃなかったんだ。
「あー暗っぽい部屋でしたね。さっき換気しながら掃除したのでだいぶ明るくなりましたよ。ずっと使われて無かったんですか?」
部屋を思い出しながら疑問に思ったので聞いてみた。
「前はそんな事なかったんだけどね。ひと月前の長雨の時に親子連れのお客さんを泊めたのが最後かしら。あれから掃除しても暗っぽい感じで見た目が悪くなってね。
あの部屋は一番最後に貸すようにしたんだよ。それでも毎日掃除はしてたんだけどねぇ。
掃除の度に換気もしていたけど気のせいか、部屋に入ると体調がちょっと悪くなる気がしてね。ベッドの干し草を変えてみようって話になったんだよ。」
うーん、確かに暗っぽくてジメジメした部屋に居たら気分も滅入るわ。雨が続いて湿気が溜まっていたのかもね。カビは生えてはいなかったけれど。
念入りに掃除をしたから扉の前も部屋の中も明るくなって気にならなくなったと思う。ベッドの干し草も変えるならもう大丈夫だね。
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