【 本編 完結 】結婚式当日に召喚された花嫁は、余興で呼ばれた聖女、でした!?

しずもり

文字の大きさ
上 下
46 / 52
【 番外編 】ざまぁ、な話。その後の話。

王太子アレクシス 〜 愛しい貴女の事情 〜

しおりを挟む

彼女との初めてのお茶会はー。

彼女が聖女サーヤだと証明される出来事とともに即求婚。

そして彼女から衝撃の事実を聞かされ、別れも覚悟したが、結局、彼女の本心と決意を聞き、正式に婚約する運びとなった。

何とも濃密なお茶会だった。

 あぁ、そういえば、この半年、カイウスたちの帰還後からの原因であろうの件もあったな。


あの時の彼女クリスの優美で洗練された浄化をする姿のなんと美しかった事か。


 穢れを祓う旅の成功で浄化され、もうこの世に存在しない筈の

穢れの目撃が報告され始めたのは三ヶ月ほど前。最初は『まさか!?』と誰もが思った。


 聖女ナターシャが瘴気溜まりの地を封印し、彼らが穢れを祓う旅から帰還してたったの三ヶ月しか経っていない。

それなのにもうが復活したのか!?


 結局は少ない目撃情報に『浄化のやり残しでは?』という意見で一旦、皆が納得した。カイウスたちは国にある十二の神殿を訪れ、穢れを浄化しながら瘴気溜まりの地へと赴いた。しかし、それは全ての穢れを祓い切った訳ではなかったのだろう、と。


だがしかし、その後の穢れの目撃証言は少しづつ増えていった。そして小さな異変は王城でも起こっていたのだ。


そうして偶然か、必然だったのか?理由は何であれ、再び聖女サーヤが召喚された。但し、その事に気付いたのは一部の者のみ。


 私はクリスが聖女サーヤであった事に浮かれ、正式に私の婚約者になった事に浮かれていたのだ。

この国の王太子である私は、もっと穢れに対して注意を払い、聖女サーヤが再召喚された本当の意味を考えねばならない立場であったのに。


だから私は再び深い暗闇の深淵を覗く羽目になったのか!?


 彼女との二度目のお茶会は、前回から五日後の事だった。前回と同じく庭園の四阿でテーブルを挟んで向かい合うこの距離がもどかしい。

テーブル、要らなくないか?

 そんな事を考えて彼女を見れば、何か私に言いたい事があるのか?ソワソワとした雰囲気で私をジッと見つめては直ぐに目を逸らす、を繰り返している。


「クリス。何か私に言いたい事でも?もしかして白亜宮に何か問題でもあっただろうか?」


 彼女には正式な婚約者となって直ぐに、母上が婚約者時代に住んでいた白亜宮へと移ってもらった。まだ正式に彼女が私の婚約者に決まった事は公には公表されていない。婚姻の日取りも決定していないが、として待遇をする事で既成事実を作り外野を黙らせる目的が私にはあった。


まぁ、宰相と国王ジジィにはそう言ってゴリ押ししたが、早く彼女を囲い込みたいだけの事だったのだが。


だって、まだ彼女は私の事は愛してはいないだろう!?


『やっぱり元の世界に戻りたい!』と言われれば、私は受け入れるしかないじゃないか!


「あ、いえっ。とても落ち着くというか、快適に過ごさせて頂いていて、、、。でも、こんな良い待遇を受けて良いのかと。」


「問題が無いのならば良かった。それでは別に何か悩み事でも?

 貴女はこの城の中に相談する様な相手はまだ居ないのだろう?
居たとしても貴女が何かに困ったり悩みを打ち明ける一番の相手は、いつも私でありたいのだ。
どんな些細な事でも良い。遠慮せずにどうか私にだけは打ち明けて欲しい。」


 彼女の黒というよりは琥珀色に近い瞳を見つめて、私の想いを伝えれば彼女は何かを決心したように小さく頷いた。そして左右に控える侍女と護衛たちを気にする素振りを見せた後、徐に立ち上がり座っていた椅子を持ち上げた。そして向かい側に座っている私の隣に移動してきたのだ。


何故、隣に?


内心驚いている私に気付かずに、彼女は更に驚きの行動に出た!

 彼女は他の者には聞かせたくなかったのか、腰を浮かせると私の方へと体を寄せてきた。そしてその愛らしい顔を私の耳元まで持ってくると、その姿を他の者には見せまいとするかのように、小さな愛らしい手で口元を隠し囁いてきたのだ。


「あ、あの、アレクシス殿下の正式な婚約者になってしまってから気付いたのですが、、、。

え~と、王太子の婚約者は、しょ、じゃなくて、、、純潔でなくても大丈夫でしょうか?」


はぅっ!!


か、か、か、彼女の囁き声が耳元でっ!


ふぁっ!?


い、今、彼女の息が頬を掠めたような?


こ、これは甘い誘惑、というやつでは?


 私の表情は周囲の者たちにはいつも通りに見えていただろう。だが脳内では『もっと彼女を堪能したい!』と本能のままに手が彼女の腰へと動こうとした瞬間、ふと彼女の言葉が脳内で再生された。


『純潔でなくても大丈夫でしょうか?』


・・・・・・。


何が?


王太子の婚約者?


王太子は私で、婚約者はクリスだ。


王太子の婚約者は、純潔でなくとも良いのか、だと?


そ、それはつまり、、、、。


っ!!


な"ぁぁぁぁあ~~!!!



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ここまでお読み下さりありがとうございます。

「いいね」やエールでの応援もありがとうございます。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

すべてを思い出したのが、王太子と結婚した後でした

珠宮さくら
恋愛
ペチュニアが、乙女ゲームの世界に転生したと気づいた時には、すべてが終わっていた。 色々と始まらなさ過ぎて、同じ名前の令嬢が騒ぐのを見聞きして、ようやく思い出した時には王太子と結婚した後。 バグったせいか、ヒロインがヒロインらしくなかったせいか。ゲーム通りに何一ついかなかったが、ペチュニアは前世では出来なかったことをこの世界で満喫することになる。 ※全4話。

公爵夫人アリアの華麗なるダブルワーク〜秘密の隠し部屋からお届けいたします〜

白猫
恋愛
主人公アリアとディカルト公爵家の当主であるルドルフは、政略結婚により結ばれた典型的な貴族の夫婦だった。 がしかし、5年ぶりに戦地から戻ったルドルフは敗戦国である隣国の平民イザベラを連れ帰る。城に戻ったルドルフからは目すら合わせてもらえないまま、本邸と別邸にわかれた別居生活が始まる。愛人なのかすら教えてもらえない女性の存在、そのイザベラから無駄に意識されるうちに、アリアは面倒臭さに頭を抱えるようになる。ある日、侍女から語られたイザベラに関する「推測」をきっかけに物語は大きく動き出す。 暗闇しかないトンネルのような現状から抜け出すには、ルドルフと離婚し公爵令嬢に戻るしかないと思っていたアリアだが、その「推測」にひと握りの可能性を見出したのだ。そして公爵邸にいながら自分を磨き、リスキリングに挑戦する。とにかく今あるものを使って、できるだけ抵抗しよう!そんなアリアを待っていたのは、思わぬ新しい人生と想像を上回る幸福であった。公爵夫人の反撃と挑戦の狼煙、いまここに高く打ち上げます! ➡️登場人物、国、背景など全て架空の100%フィクションです。

どうも、死んだはずの悪役令嬢です。

西藤島 みや
ファンタジー
ある夏の夜。公爵令嬢のアシュレイは王宮殿の舞踏会で、婚約者のルディ皇子にいつも通り罵声を浴びせられていた。 皇子の罵声のせいで、男にだらしなく浪費家と思われて王宮殿の使用人どころか通っている学園でも遠巻きにされているアシュレイ。 アシュレイの誕生日だというのに、エスコートすら放棄して、皇子づきのメイドのミュシャに気を遣うよう求めてくる皇子と取り巻き達に、呆れるばかり。 「幼馴染みだかなんだかしらないけれど、もう限界だわ。あの人達に罰があたればいいのに」 こっそり呟いた瞬間、 《願いを聞き届けてあげるよ!》 何故か全くの別人になってしまっていたアシュレイ。目の前で、アシュレイが倒れて意識不明になるのを見ることになる。 「よくも、義妹にこんなことを!皇子、婚約はなかったことにしてもらいます!」 義父と義兄はアシュレイが状況を理解する前に、アシュレイの体を持ち去ってしまう。 今までミュシャを崇めてアシュレイを冷遇してきた取り巻き達は、次々と不幸に巻き込まれてゆき…ついには、ミュシャや皇子まで… ひたすら一人づつざまあされていくのを、呆然と見守ることになってしまった公爵令嬢と、怒り心頭の義父と義兄の物語。 はたしてアシュレイは元に戻れるのか? 剣と魔法と妖精の住む世界の、まあまあよくあるざまあメインの物語です。 ざまあが書きたかった。それだけです。

異世界に落ちたら若返りました。

アマネ
ファンタジー
榊原 チヨ、87歳。 夫との2人暮らし。 何の変化もないけど、ゆっくりとした心安らぐ時間。 そんな普通の幸せが側にあるような生活を送ってきたのにーーー 気がついたら知らない場所!? しかもなんかやたらと若返ってない!? なんで!? そんなおばあちゃんのお話です。 更新は出来れば毎日したいのですが、物語の時間は割とゆっくり進むかもしれません。

ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる

街風
ファンタジー
「お前を追放する!」 ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。 しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。

聖女としてきたはずが要らないと言われてしまったため、異世界でふわふわパンを焼こうと思います!

伊桜らな
ファンタジー
家業パン屋さんで働くメルは、パンが大好き。 いきなり聖女召喚の儀やらで異世界に呼ばれちゃったのに「いらない」と言われて追い出されてしまう。どうすればいいか分からなかったとき、公爵家当主に拾われ公爵家にお世話になる。 衣食住は確保できたって思ったのに、パンが美味しくないしめちゃくちゃ硬い!! パン好きなメルは、厨房を使いふわふわパン作りを始める。  *表紙画は月兎なつめ様に描いて頂きました。*  ー(*)のマークはRシーンがあります。ー  少しだけ展開を変えました。申し訳ありません。  ホットランキング 1位(2021.10.17)  ファンタジーランキング1位(2021.10.17)  小説ランキング 1位(2021.10.17)  ありがとうございます。読んでくださる皆様に感謝です。

婚約破棄され逃げ出した転生令嬢は、最強の安住の地を夢見る

拓海のり
ファンタジー
 階段から落ちて死んだ私は、神様に【救急箱】を貰って異世界に転生したけれど、前世の記憶を思い出したのが婚約破棄の現場で、私が断罪される方だった。  頼みのギフト【救急箱】から出て来るのは、使うのを躊躇うような怖い物が沢山。出会う人々はみんな訳ありで兵士に追われているし、こんな世界で私は生きて行けるのだろうか。  破滅型の転生令嬢、腹黒陰謀型の年下少年、腕の立つ元冒険者の護衛騎士、ほんわり癒し系聖女、魔獣使いの半魔、暗部一族の騎士。転生令嬢と訳ありな皆さん。  ゆるゆる異世界ファンタジー、ご都合主義満載です。  タイトル色々いじっています。他サイトにも投稿しています。 完結しました。ありがとうございました。

処理中です...