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断罪する日 4

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「聖女、サーヤ、、、だと?

何を馬鹿な事を!!

は十四、五のガキだった。お前はどう見てもそんな小娘ではなかろう!

大方、どこかで私とナターシャの輝かしい功績を聞き、兄上と企んで私たちを貶めようとする魂胆なのだろうが騙されんぞ!」


まぁ、信じられないのも無理はない。カイウス以外の人たちだって奇妙なモノ見る目付きになっている。

でもその目はちょっと傷つくなぁ。


「こちらの世界と異世界の違いなんていくらも有るでしょう?

私がこの世界を去って半年の間に、私のいた世界では実に十年もの月日が流れていたんですよ。信じられないでしょうけど。

残念だなぁ~。私、カイウス殿下の" すぐに再召喚するから"という言葉を信じて待っていたんですよ。

ほんのちょっとの間、だけですけどね。

だってカイウス殿下、私を騙していましたよね。

私が穢れを祓うところを誰にも見せず、神殿で祈りを捧げる姿も深夜に一人でやらせて、それを全てナターシャ様が行った事にしたのでしょう?

そうして瘴気溜まりの封印に成功してザラ神殿まで戻って来た時に、その水晶ごと私を元の世界へと追い返したんですもん。

まぁ、私も夢のような時間を過ごして貴重な体験をしたな、って良い思い出にしてたのに、、、。

まさか、まさかその後、ケインさんとダニエルさんを殺してただなんて、あなたたちはどれだけ罪深いんですかっ!

今回のザラ神殿の事もこの城での事も全てあなたたちが原因です!!」


私はカイウスだけでなく、ナターシャや魔術師たちに一人づつ視線を移しながら言った。


こんな事を言っても彼ら以外の人間は私の言葉が本当かどうかなんて分かりはしない。

だけど、カイウスは、一緒に旅に同行していた彼らはそれが真実だと知っている。
だから彼らは私がだと分かる筈だ。
事実、私の言葉に魔術師たちは動揺し、焦りの表情で私の顔を凝視している。


「・・・・・・・・ふっ。

ふははははっ、どうやら本当に聖女サーヤのようだな。

そうか、ザイルたちの聖女召喚は成功していたのか。

それでサーヤ?どうして最初に聖女サーヤと名乗らなかったのだ?

、クリスなどと名乗ったという事は、それほど旅に出て直ぐに元の世界へと逃げ帰った事が気まずかったのだろう?

何しろ、" 祈りは捧げた "と嘘までついた挙句に魔術師たちを脅し逃げ帰ったのだからな。」


カイウスも私を睨みつけるように見つめていたが不意に大きな声で笑いだした。
それでも私が聖女サーヤだと認めたと思ったのに、その先の言葉は今までの主張と何も変わらなかった。


「なっ!どうして自分の罪を認めないんですかっ。

キチンと調べれば私がずっと旅を続けていた事に気づいている人だっている筈です。

それに私は旅の間に立ち寄った神殿の事も瘴気溜まりの地の特徴だって全て言えます。
それは旅をしていなければ答えられない事でしょう?」


「はははっ。そんなの兄上に頼んで調べでもしたのだろう。

だが、旅の真実はここに居る旅の同行者たちに聞けばすぐに分かる事だ。

なぁ、お前たち。サーヤは最初の地であるザラ神殿でお前たちを騙して元の世界に帰ったのだろう?」


カイウスが余裕の笑みを浮かべて後ろを振り返り尋ねる。

「そ、そうです!あの時、サーヤ様は俺たちを脅迫して元の世界へと戻って行きました。」

「そうですよ。その後、ナターシャ様が聖女の代わりを務めてました!」


口々に答える魔術師や騎士の言葉にクラリと目眩を覚える。彼らが嘘を吐いているのは間違いないのに私にはそれを証明する事が出来ない。

旅の途中で休憩したり宿に泊まったりしたから誰かは私を見かけてはいる筈だ。

けれどカイウスから『聖女と気付かれないように』と、馬車や部屋以外ではフードを被るよう言われて、私は大人しく言い付けを守っていた。


どれだけの人が私を覚えていてくれるだろう。神殿でだって私は神官たちと会わせてはもらえなかったのだ。


何より私の無実を証明するのにどれだけの時間が掛かるのか。それよりもカイウスたちの強引な主張が通ってしまうだろう。


再召喚された時、カイウスたちの言葉に不信感を覚えて、咄嗟に聖女ではないフリをした事が" 後ろめたい事があるから "と受け止められる可能性に気付かなかった。
あの時はまさかが起こるとは思ってなかったからだけど。


このままではカイウスたちを断罪するどころか、私だけでなくアレクの立場を危うくしてしまうかも知れない。


「どうだ、サーヤ。お前が自分の罪を無かった事にしようと嘘を吐いても騙されるものなどいやしないぞ。

潔く罪認めたらどうだ?

あぁ、そうだ。此度の事はお前が逃げ出した事が原因なんだ。責任を取ってお前がザラ神殿に行け!

それに兄上もこの女がサーヤと知っていて匿っていたのでしょう?我々を貶めようと謀った罪も併せて責任を取ってもらいましょうか。」


魔術師たちの嘘の発言で私が黙ってしまった事で、自分の方が優位だと確信したカイウスは、面倒ごとを私に押し付けるだけでなくアレクまで追い込もうとしてきた。
このままでは断罪する筈が逆に断罪されてしまう。


出来るかどうかは分からないけれど、に証人になって、、、そこまで考えた時、『大丈夫だ。』と小さくアレクが囁いた。


「そうだな。私が責任を取ろう。」


アレクの言葉にカイウスがニヤリと嫌な笑みを浮かべる。


「そうですか。ではー。」


「私が責任を持って聖女サーヤの無実を証明しよう!」


カイウスの続く言葉に被せるようにアレクは部屋に居る全ての人に聞こえるようにハッキリと言い切った。
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